国政報告

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質問主意書

質問第五八号

我が国の難民認定申請及び迅速処理手続に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

平成二十八年十二月十三日

糸 数 慶 子

参議院議長 伊 達 忠 一 殿

我が国の難民認定申請及び迅速処理手続に関する質問主意書

一 我が国の難民認定申請

1 難民認定申請の受理・不受理について

平成五年四月二十七日の参議院内閣委員会において、増島俊之総務庁行政管理局長は、行政手続法第七条の立法趣旨について「許認可の握りつぶし、いわゆる握りつぶし的なことにつきましては、まさにこの行政手続法で、この申請が行政庁の事務所に到達したときには遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならないという旨を規定しておりまして、また申請が形式上の要件に適合しない場合には、申請の補正を求めるか、あるいは許認可等を拒否するのかを申請者に速やかに明らかにすべきだ、そういうことを規定することを予定しているわけでございます」と述べている。しかし、難民認定申請手続には同法の適用がないため、難民認定申請書の受理を拒否したり、申請書を受け取った上で正式に申請書を受理するまでは申請がなされていないとの取り扱いが行われていたりする可能性がある。そこで、以下質問する。

(1) 難民認定申請は原則として本人のみ行うことができると運用されている趣旨を明らかにされたい。

(2) 難民認定申請者が申請書を提出した際に、受理を拒否することがあるのか。ある場合、過去五年間の難民認定申請処理件数と申請書の受理を拒否した件数を年ごとに示されたい。

(3) 難民認定申請者が申請書を提出し、これを担当官が受け取ったにもかかわらず、申請がなされていないとの取り扱いが行われていることがあるのか。ある場合、過去五年間でそのような取り扱いをした件数を年ごとに示されたい。

(4) 前記一の1の(2)及び(3)のような事実がある場合、行政手続法第七条が難民認定申請に適用されないことが原因であると思われるが、見解を示されたい。

難民認定申請手続における不受理、留保、返戻を防止するため、行政手続法第七条と同様の規定を出入国管理及び難民認定法に置くことや、難民認定申請手続についても部分的に行政手続法の適用対象とすることなどの法改正を行う必要があるのではないか、見解を示されたい。また、難民認定申請手続における不受理、留保、返戻が行われないよう、運用を改善する取り組みを行う意思はあるのか。意思がある場合、取り組む内容を具体的に示されたい。

2 未成年者の難民認定申請について

未成年者の難民認定申請は成年者に比してより困難を伴うことが想定されるが、我が国における難民認定申請手続における未成年者の難民認定申請件数やその取り扱い等の実情はまったく不明である。そこで、以下質問する。

(1) 過去五年間の未成年者の難民認定申請件数とその年齢別内訳を年ごとに示されたい。また、いわゆる保護者のいない未成年者の難民認定申請件数も年ごとに示されたい。

(2) 未成年者の難民認定申請について、成年者の難民認定申請と取り扱いを異にしている点があれば、その具体的内容を示されたい。

(3) 未成年者の難民認定申請の取り扱いを定めた事務処理要領等は存在するか明らかにされたい。存在する場合、その名称を示されたい。

3 難民認定申請手続、審査請求手続の代理について

難民認定申請者には弁護士等による法的支援が不可欠であるが、その現状について、以下質問する。

(1) 難民認定申請者に弁護士等の代理人がつくことを望ましいと考えるか、見解を明らかにされたい。また、難民認定申請手続を弁護士等が代理することは法律上禁じられているか明らかにされたい。禁じられている場合、その理由を示されたい。

(2) 代理人が難民認定申請手続を行うことが法律上可能である場合、過去五年間の代理による難民認定申請手続の件数を年ごとに示されたい。

(3) 過去五年間の審査請求手続(異議申立て手続を含む。)を代理人が行った件数を年ごとに示されたい。その際、代理人を弁護士が務めた件数及び行政書士が務めた件数も併せて示されたい。

二 難民認定申請の迅速処理手続

二〇一五年九月十五日、法務大臣は、第五次出入国管理基本計画を策定し、同日、法務省入国管理局は、真の難民の迅速かつ確実な庇護を推進するため、難民認定制度の運用の見直しの概要を公表した。同日に改正された難民認定事務取扱要領は、効率的な審査の実現のためとして、難民認定申請案件を「難民条約上の難民である可能性が高い案件、又は、本国が内戦状況にあることにより人道上の配慮を要する案件」(A案件)、「難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している案件」(B案件)、「再申請である場合に、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件」(C案件)及び「上記以外の案件」(D案件)の四種類に振り分け、特にB案件とC案件については申請から三か月以内に告知まですると示している。

また、難民認定申請の迅速処理手続は、他の難民条約締結国でも導入されているところであるが、例えば、イギリスでは迅速処理案件の審査でも日本の難民認定率より高い認定割合で難民認定がされており、スウェーデンでは迅速処理の審査過程で通常案件に戻される案件があり、効率性を重視するあまりに真の難民が不認定にされることのないような仕組みが確保されているところである。そこで、我が国の難民認定申請の迅速処理手続について、以下質問する。

1 案件を振り分ける運用が開始された日を示されたい。

2 どのような過程を経て案件を振り分けているのか具体的に示されたい。

3 B案件、C案件及びD案件に振り分けられた案件のうち、難民認定された事例があれば、その件数を示されたい。

4 難民調査官によってB案件又はC案件への振り分けが確認された後に、A案件又はD案件に振り直された事例があれば、その件数を示されたい。

5 案件を振り分ける運用を開始してから二〇一六年十一月末日までに振り分けた案件について、A案件、B案件、C案件及びD案件の件数をそれぞれ示されたい。その際、二〇一五年における難民認定申請件数の上位十か国(ネパール、インドネシア、トルコ、ミャンマー、ベトナム、スリランカ、フィリピン、パキスタン、バングラデシュ、インド)については、国ごとの件数をそれぞれ併せて示されたい。

6 難民認定申請案件の振り分けは、真の難民を迅速かつ確実に庇護することがその趣旨であると思われるが、現在、迅速かつ確実に難民認定制度が運用されていると考えるか、見解を示されたい。

右質問する。

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