国政報告

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外国人研修制度の適正化策、出入国管理及び難民認定法改正案

第192回国会 2016年11月17日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

出入国管理及び難民認定法改正案について伺います。

まず、先週の私の質問の入管法七十条の二に関連した質問ですが、不法入国等により起訴され、そして刑事裁判となった場合に、条約難民のみが刑を免除され、日本政府が認めた人道配慮による在留許可者は刑が免除されないということがあるのかどうか、伺います。難民としては認定されないものの、人道配慮による在留許可を受けた人は刑が免除されない可能性はあるのでしょうか、また、その場合の対処方法を法務省はどのように考えていらっしゃいますか、お伺いいたします。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

お尋ねの入管法七十条の二の規定は、不法入国等の罪を犯した者につきまして、難民条約上の難民に当たる場合その他法定の要件を満たす場合にはその刑が免除されるという規定でございます。

この規定は、難民条約の三十一条という規定を受けて設けられた規定でございますので、同条の趣旨に従って解釈をしておりますので、そこで言うところの難民は条約上の難民に当たりますので、我が国の難民認定手続において、難民とは認められず、人道的配慮から特に在留を許可されたにすぎない者につきましては、ここの条文における難民には当たらないわけでございます。

では、本法案で新設される不正上陸の罪、これも七十条の二の対象になるわけでございますが、その罪で起訴された場合に刑の免除が得られるのはどのような場合かといいますと、その刑事裁判において条約難民と認められて法律上の他の要件も満たした場合でございます。

したがいまして、仮に、条約難民ではない、在留特別許可であったとした場合には免除は法律上は得られないわけでございますが、実際の罰則の適用に当たりましては、それは虚偽申告をするに至った事情なども情状として考慮されると思われますし、入国管理局といたしましても、そうした事情を踏まえて、真に処罰に値する事案について捜査機関に処罰を求めていくことになります。

糸数慶子君

是非善処していただきたいと要望したいと思います。

次に、UNHCRなどの関係機関との更なる研修協力による人材教育プログラムの充実強化はどのようになされているのでしょうか。難民調査官等には参与員も含むものと思われますが、UNHCRの研修の充実強化としてどのくらいの頻度でやるのでしょうか。実際に充実強化に着手しているのでしょうか。しているとすればどんなことをしているのか、お伺いいたします。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

委員御指摘の件につきましては、昨年九月に法務省が公表した難民認定制度の運用の見直しの概要において、UNHCRの協力を得て、管理者クラスを対象とした難民認定実務者研修を新たに実施するとともに、これまで定期的に実施している出身国情報に関する研修、事例研究等の実務研修についても、内容の更なる充実や回数の増加を図ることとして取り組んでおるところでございます。

敷衍して申し上げますと、まず難民調査官等に対する研修についてでございますが、従来から申請者の出身国情報に係る研修でありますとか事例研究に関する研修等を行ってきているところでございますが、その内容を充実させたり回数を増加させるなどしておるところであります。

また、昨年十一月以降、新たに管理者クラスの職員を対象とした研修を実施しておるほか、今年度からは初任者研修のフォローアップを目的とした研修や、難民調査官のニーズに基づくより実践的な研修も実施する予定にしております。

次に、難民審査参与員の関係でございますが、従来から年に一回、UNHCRと日弁連の共催による難民審査参与員との懇談会が実施されているところですが、昨年十一月以降、UNHCR本部職員や外国の政府職員との意見交換会を実施したり、UNHCRによる難民審査参与員に対するブリーフィングを実施しております。その結果、研修の頻度としましては、平成二十八年度にはUNHCRの協力を得て行う研修の数が十三件となります。

入国管理局といたしましては、引き続きこのような取組を通じて難民認定制度に携わる人材の育成に努める所存であります。

糸数慶子君

形式的なものではなく、現場の調査官にHCRがしっかりと食い込んでいけるような内容そして頻度のものでなければならないと思いますが、改めてお伺いいたします。

政府参考人(井上宏君)

ただいまお答えをいたしました研修につきましては、UNHCRから全面的なその充実についての協力を得ることができておりまして、先方からこんな研修はどうだという御提案もいただいたりしている中でプログラムを増加させておる状況でございますので、今後とも、そのような関係を維持しつつ、中身のより詰まったものにしていきたいと考えております。

糸数慶子君

ありがとうございます。

次に、通訳人に対する研修の構築や通訳人の能力を客観的に評価する仕組みの導入はどのようにしているのでしょうか。通訳が粗悪であれば、正しい事実認定は不可能です。

法務省としては、当然、通訳予算を十分に確保されて、質の高い、また中立的、通訳倫理に従う通訳の確保が必要だと思います。そのための具体的なめど、そして方策の検討には着手していらっしゃるのでしょうか。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

委員御指摘のとおり、通訳人の能力というのは非常に重要な要素でございます。

昨年九月に法務省が公表した運用の見直しの概要におきまして、難民認定行政に係る体制・基盤の強化の項目の中で、難民認定申請手続又は異議申立て手続に携わる通訳人に対する研修を実施することとしておりまして、現にそれを実施しておるところでございます。

具体的に申し上げますと、有識者の協力を得ながら、昨年十一月、二日間にわたって難民認定手続等に携わる通訳人に対しまして研修を実施いたしました。また、本年七月には二回、UNHCRの協力を得まして、同じく難民認定手続等に携わる通訳人に対しまして研修を実施しておるところでございます。

このように、当局では、現在、難民認定手続等に携わる通訳人の質の向上などに向けた取組に着手しており、引き続きこのような研修を実施していくこととしておりますが、そのことを通じまして質の向上を図るとともに、今後通訳人の能力を客観的に評価する仕組みの導入についても検討していく所存でございます。

糸数慶子君

以上のような、政策懇、そして難民問題専門部会から提言があった検討課題は棚ざらしにされずにきちんと実行に向けて実施されていくことが重要と考えます。そこで、大臣にお伺いをしたいと思います。

国務大臣(金田勝年君)

第六次出入国管理政策懇談会及び難民認定制度に関する専門部会からは、真の難民を迅速かつ確実に保護する観点から難民認定制度の在り方に関して様々な御提言をいただいております。

法務省では、これらの御提言を踏まえまして制度の運用の見直しを検討し、昨年の九月には難民認定制度の運用の見直しの概要としましてその内容を取りまとめをしております。

十一月十五日の委員会並びに本日の委員会で私どもの入国管理局長からも御説明をさせていただいているように、現在具体的な施策の実施に取り組んでおりまして、既に実現しているものもあるわけではございます。

法務省としては、今後も、有識者の方々からいただきました提言を生かしまして、難民の迅速かつ確実な保護に努めてまいるつもりであります。

糸数慶子君

ありがとうございました。引き続き、しっかりとお願いをいたしたいと思います。

次に、外国人研修制度の適正化策についてお伺いをいたします。

対象職種の拡大については、現在、技能実習制度推進事業等運営基本方針におきまして、厚生労働省職業能力開発局長が有識者により構成する技能実習評価試験の整備に関する専門家会議を開催し、同会議におきまして、評価の基準、評価の方法、試験実施体制等を確認の上、認定し、当該評価制度に係る職種、作業を公表するものとするというふうにされています。

職種の拡大が関係業界の意向に沿った恣意的なものとならないよう、対象職種の拡大について、厚生労働省に置かれた専門家会議での議論を公開し、透明性を確保する必要があると思います。具体的には、専門家会議での対象職種に関わる試験の採点基準や合否の判定基準はともかく、職種の追加に関しては公開し、議事録作成を含めて透明性を確保すべきと考えます。また、同専門家会議には、既存の対象職種の検証を行い、その技能実習ニーズを再確認する機能を持たせるべきと考えますが、どうでしょうか。厚生労働省にお伺いいたします。

政府参考人(宮野甚一君)

お答えいたします。

まず、専門家会議の審議内容でございますけれども、実習生が受検する試験の採点基準など非公開部分を除きまして、現在におきましても議事要旨を公開しているところでございます。今後とも透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。

続きまして、御指摘の既存の職種の検証についてでございますけれども、送り出し国側の技能実習ニーズに疑義がある場合につきましては、必要に応じ専門家会議におきまして議論をしていただくということにしたいと考えております。

糸数慶子君

送り出し国側の技能実習ニーズについてでありますが、客観的に確認する手続を採用すべきです。既に厚生労働省からは、技能実習のニーズがあることを送り出し国の行政機関からの要望書によって確認をする旨の答弁がなされていますが、それだけでは不十分ではないでしょうか。

送り出し国にある日本大使館あるいはジェトロ、JICA等の在外機関を通じて送り出し国の社会経済状況等を把握した上で、技能実習ニーズについて判断すべきであると思いますが、いかがでしょうか。厚生労働省に伺います。

政府参考人(宮野甚一君)

お答えいたします。

送り出し国の技能実習ニーズの把握でございますけれども、これにつきましては、複数国の公的機関からの要望書により確認をいたしております。これによりまして、送り出し国におきます技能実習ニーズ及びその背景となる社会経済状況等につきまして、直接かつ客観的に把握できるものであるというふうに考えております。

糸数慶子君

有識者懇談会報告書では、地域ごとの産業特性を踏まえた職種、企業単独型において社内検定を活用する職種、これを実習職種に追加するとしています。しかし、これらの職種は、地域限定あるいは受入れ企業特有の職種に基づくもので、国際的な技能移転という制度目的との整合性が失われており、対象職種に加えるべきではないというふうに考えますが、いかがでしょうか。厚生労働省に伺います。

政府参考人(宮野甚一君)

お答えいたします。

御指摘の、地域ごとの産業特性を踏まえた職種や企業単独型において社内検定を活用する職種を追加する場合にも、現行制度と同様に、同一の作業の反復のみではないこと、送り出し国の実習ニーズに合致すること、実習の成果を評価できる公的評価システムがあることといった要件を満たすことを厚生労働省に設置している専門家会議で確認することとしております。国際的な技能移転という制度本来の目的に沿って追加の可否を判断をする、これにつきましては従前と同様というふうに考えております。

糸数慶子君

では、改めまして、出入国管理及び難民認定法改正案についてお伺いしたいと思います。

入管法第二十二条の四第一項第五号の在留資格取消し事由の追加に関して質問いたします。

一点目に、第五号、「他の活動を行い又は行おうとして在留していること」という事由を追加した立法事実をどのように把握しているのでしょうか。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

まず、現行法のことでございます。入管法第二十二条の四第一項第六号に、三か月以上にわたって在留資格に応じた活動を行っていないと認められる場合には在留資格の取消しが可能であると定めてあります。これは、一定期間にわたり、許可された在留資格に応じた活動を行っていないことから、既に当該在留資格は形骸化していると認められ、そのような在留資格を与え続けることは在留資格制度の適切な管理の観点から適当でない場合に対応できるようにするものでございます。

しかし、実際には、深刻化している技能実習生の失踪問題等に関連しまして、例えば実習先から失踪した技能実習生が全く別の事業場で就労している場合など、三か月の経過を待つまでもなく、既に当初の在留資格が形骸化していると認められ、在留資格を与え続けておくのが適当ではない事案が発生しているところでございます。

現行法の規定に基づくと、このような者を発見しても在留資格の取消しを行うことができません。一旦は有効に与えられた在留資格とはいえ、それが既に形骸化していると認められる場合にもこれを是正するための措置がとられないのでは、在留資格制度の適正な管理の観点から問題があると考えられます。

また、三か月の経過を待つ間に再び失踪してしまって、その結果、不法就労や不法残留に移行する事例もあり、そのような事態を防止する必要もございます。

そこで、単に所定の活動を行っていないにとどまらず、正当な理由がないのに他の活動を行い又は行おうとして在留している場合には、本法において行おうとする活動が既に当初の申告内容から変質してしまっており、在留資格が形骸化し、在留資格制度の適正な管理の観点から、もはや当該在留資格を与え続けておくのが適当でないと認められることから、三か月を待たずに在留資格の取消しを可能とする取消し事由を追加することとしたものでございます。

糸数慶子君

他の活動を行おうとして在留するというのはどのような場合を想定しているのか、具体的かつ詳細に教えてください。例えば、次のようなケースは正当な理由に該当するのでしょうか、それとも第五号に該当する可能性があるとして意見聴取を行う対象となるのでしょうか、お伺いいたします。

まず、具体的に申し上げますと、在留資格、この留学の例をお伺いしたいのですが、日本語学校や専門学校で学ぶ外国人の中には、夢を抱いて来日したけれども、実際には母国で伝えられた情報とは異なっていたということが少なくありません。以前は、日本語教育振興協会、日振協が日本語学校を認定した上で、留学、旧就学ですが、この留学の在留資格のチェックをしていましたが、現在では日振協による事前チェック機能がなくなったため、悪質な日本語学校が乱立しております。また、専門学校に入学したけれども、学びたい授業内容ではなかったり、専門によっては卒業後日本で就職できないという方もいらっしゃいます。

このように、自らの夢を実現するために最初に入学した日本語学校に通うのをやめ他の学校へ再入学しようとした場合、新たな第五号の取消し事由に該当するのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

行おうとして在留しているということでございますが、例えば、不法就労先のあっせんを受けて転居した場合のように、まだ他の活動自体は開始されていないけれども行おうとしている在留状態にあると認められる場合のことをいいます。

具体的に、行おうとして在留していると言えるかどうか、どのように考えるかということでございますが、対象となる外国人が本来の在留資格に応じた活動を行わなくなった経緯などの本来の活動に戻る可能性や、他の活動に向けた準備状況などの他の活動を開始する蓋然性に係る客観的事実を総合的に考慮して、在留の目的が当初の申告内容から変質し、在留資格が形骸化していると言えるかどうかによって判断されます。

それで、これ、お示しの例についてどうかということでございますが、いずれにつきましても、個別の事案に応じましてその証拠関係に基づいて判断することになりますので、一般論としての御説明で御容赦いただきたいと思いますが、在留資格に応じた活動を開始する現実的な見込み、留学の場合は当初の通っていた学校で再び学び続けるかどうかということでございますが、それがどの程度あるかということと、それから、新たな学校、ここをどのように探そうとしているのか、ただ考えているだけなのか、その新たな活動、他の活動を開始する現実的な見込みがあるのかと、そのような、どのような準備をされているかという、その準備の期間や内容はどの程度のものであるかなどの様々な事実関係を総合いたしまして、これは、その本来の活動を停止している状態が正当な理由と認められるかどうかを判断していくことになります。

糸数慶子君

現在、技能の在留資格を持って調理師として働いている者が、自らの語学能力を発揮したいと考えるようになり、調理師としての仕事を休んで貿易会社等への就職活動を行い始めた、このような場合、新たな第五号の取消し事由に該当するのでしょうか。法務省にお伺いいたします。

政府参考人(井上宏君)

ただいまのお尋ねも一般的な形での御説明で御容赦いただきたいと思いますが、この場合には、従来の技能の活動を既に休んでおるということと、次に行おうとしている活動が、技能ではなくて別の、技術・人文知識等の新しい、別の在留資格になるということで、そちらの在留資格を得られる具体的な要件を持っているかどうかとか、そのような事実関係なども考慮いたしまして、個別の証拠に基づいて、当初の活動を停止したことに正当な理由があると認められるかどうかを判断することになります。

糸数慶子君

入管法第二十二条の四第三項で、意見聴取の際にはあらかじめ意見聴取通知書を当該外国人に送達しなければならないわけですが、「ただし、急速を要するときは、当該通知書に記載すべき事項を入国審査官又は入国警備官に口頭で通知させてこれを行うことができる。」というふうにされています。

これまで口頭通知を行ったケースがあるのでしょうか。ありましたら、これは何件あったのでしょうか。その場合、急速を要するときと判断した事情について、具体的に教えていただきたいと思います。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

在留資格の取消しの手続に際しましては、意見聴取の手続の期日を設けまして、そこで弁明をきちんと聴くということになってございまして、その意見聴取の期日につきましては通知書を送達して通知するということになっておるところでございますが、その例外として、御指摘のように、急速を要するときには通知書に記載すべき事項を口頭で通知させることができるという規定があるわけでございます。

この急速を要するときに当たるとして口頭で通知した件数については、これ統計を取っておりませんので数字でお答えすることができません。ただ、ここで急速を要するときとはどのような場合かということにつきましては、例えば、在留資格取消し手続を始めたが所在不明になってしまっていた者を摘発先でたまたま発見した場合などが挙げられると思います。

糸数慶子君

是非、この急速を要するときと判断した事情について、あるいはまたどういうケースがあったのかということを改めて調査をしていただきたいということを要望いたします。

次に、入管法第二十二条の四第四項で、「当該外国人又はその者の代理人は、前項の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠を提出することができる。」とあるわけですが、ここで言う代理人の範囲はどこまででしょうか。行政書士や当該外国人を支援してきた団体も含まれるのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

意見聴取の期日において意見を述べること等のできる代理人の範囲でございますが、在留資格の取消し対象となった外国人が代理人として委任した者であれば代理人に当たることになります。入管法令上、当該外国人が委任する代理人の範囲に限定はございませんので、当該外国人を支援してきた団体の職員であっても代理人となることができます。

ただし、弁護士以外の者が業として当該外国人の代理人としての活動を行うことは弁護士法七十二条に抵触するおそれが高いことから、行政書士が代理人として意見聴取に業として参加することは適当でないものとして取り扱っているところでございます。

糸数慶子君

在留資格取消しに係る手続において取られる本人への意見聴取の際、多言語対応はどこまで保障されているのでしょうか。具体的に以下の二点について教えていただきたいと思います。

一点目に、意見聴取の際の通訳者について、そして二点目に、事前に送付される意見聴取通知書のその翻訳文、この二点についてお伺いいたします。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

最初に、通訳人の関係でございます。意見聴取に際しまして、当該外国人の日本語理解能力が十分でないなど通訳人を必要と認める場合には、通訳人を手配することとしております。

次に、通知書の点でございます。意見聴取通知書の翻訳の取扱いにつきましては、地方局ごとに取扱いが異なっているのが現状でございます。例えば、在留資格取消し件数が最も多いのは東京入国管理局でございますが、東京局の取扱いについて申し上げますと、英語、中国語、韓国語及びタガログ語に翻訳した文書を利用してございます。

糸数慶子君

本法案が成立した場合、対象となる別表一の在留資格を持つ外国籍住民に対する多言語による周知を行う責任が法務省にはあります。また、在留資格が取り消された具体的な事例や、正当な理由を除くに関する判断基準を早急に公表すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

政府参考人(井上宏君)

お答えいたします。

最初に、多言語による広報でございます。在留資格取消し手続につきましては、現在、入国管理局のホームページにおきまして、日本語のほか、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語及びスペイン語により周知しているところでございまして、引き続き制度の周知を行う取組を行ってまいります。

次に、正当な理由の判断基準の公表に関するお尋ねがございました。正当な理由の有無につきましては、個別具体的な状況に基づいて判断されるものであり、一般的な形で基準を示すことは困難であると考えております。ただし、どのような場合が正当な理由がある場合に該当するかについて広く理解を得ることは重要であり、同様の規定のある第二十二条の四、一項第七号に関しましては、正当な理由がある場合に該当すること等により在留資格の取消しを行わないこととした具体例を既に入国管理局のホームページに掲載しておるところでございます。

そこで、今後新設される規定等に係る同様な具体例につきましても、同じように掲載することを検討してまいります。

さらに、在留資格が取り消された事例の概要につきましても、委員の御指摘を踏まえまして、今後、入国管理局のホームページで公表することを検討してまいります。

糸数慶子君

この第五号については、外国人が逃亡すると疑うに足りる相当の理由があると法務省が判断したときは出国準備期間も与えずに退去強制に付すことができるというふうにあります。これは第二十二条の四第七項、第二十四条二号の三でありますが、第六号、活動を継続して三か月以上行わないで在留していることの場合は、三十日を超えない範囲内での出国準備期間を指定することになっています。

第五号において、なぜこれほどまでに厳しい対応を取ることにしたのか、合理的な説明をお伺いいたします。合理的な説明ができないのであれば、退去強制の取扱いについては削除すべきではないでしょうか。法務省に伺います。

政府参考人(井上宏君)

御指摘の逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある場合につきましては、出国猶予期間を付与しないこととしておるわけでございますが、その理由でございます。

従来の活動場所から逃亡して他の活動に従事しているような者は、入管当局に発見されて在留資格を取り消されても、出国猶予期間内に出国せず再び逃亡して我が国に不法に残留しようとするおそれが高いと言えるわけであります。このような事案に適切に対処できなければ、在留資格を取り消しても結果的に不法残留を許してしまうことになり、適正な在留管理を実現することができません。

そこで、外国人が逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある場合には、第五号により出国猶予期間を与えることなく取消しを行い、直ちに退去強制に移行できることとしたものでございます。

なお、現行法上も、不正な手段で上陸許可等を受けた者について在留資格を取り消すときには、直ちに退去強制に移行する仕組みになっております。

糸数慶子君

この入管法の改正法案は、これはこれまでの質疑の中でも随分出てまいりましたけれども、在留資格「介護」の新設とそれから偽装滞在者対策の強化を図るものであり、やはり偽装滞在者対策の一つに罰則の整備が挙げられております。

これまでの質疑でも明らかになりましたけれども、政府は不法残留者についても平成二十七年には約二十二年ぶりに増加に転じ、平成二十八年も増加したというふうに説明しております。しかし、平成二十七年の不法残留者数は六万七人で、平成二十八年は六万二千八百十八人であり、ピーク時の平成五年の二十九万八千六百四十六人の約五分の一の程度になっています。また、最少だった平成二十六年の五万九千六十一人に比べると、平成二十八年の不法残留者数の増加は僅かです。

今までの質問いたしましたまとめとしても、この罰則の整備の必要性についても政府から十分な説明が行われないままに偽装滞在者対策の必要性が強調されているというふうに考えます。こういう罰則のうち、第七十条第一項第二号の二の偽りその他の不正の手段によりというその構成要件に対しては曖昧であるため、難民支援者から懸念が寄せられております。

出身国での迫害から逃れてきて庇護を希望した者は、短期滞在などの在留資格で上陸許可を受け、その後に難民認定申請を行う場合が多いというふうに指摘をされておりますが、やはり今回の改正はこうした申請を行う者やその支援者などが罰則の対象となり得る可能性を否定できません。これでは難民認定申請への萎縮効果をもたらすというふうに思います。

この外国人技能実習法及び入管法改正法案に対しては、まだまだ多くの課題が存在するということを強く指摘を申し上げますが、それに対しまして法務大臣の御答弁をお願いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

委員の御指摘を、偽装滞在に対する罰則整備の必要性をお尋ねになったというふうに受け止めておりますので、これに対しましては、私の方としましては、新たな不法就労の手段として、近年、偽装滞在の問題が深刻化しているという状況、それから二つ目には、不法入国や不法上陸と同程度の悪質性、重大性があるにもかかわらず、現行法上罰則に穴があるということ、それから発見困難な偽装滞在者に対する抑止策が不十分であるということを踏まえまして、かつては不法就労の手段として不法入国や不法残留といった単純な手口が横行していたわけですけれども、近年、単純な手口による不法滞在者の数は大幅に減少する一方、新たな不法就労の手段として偽装滞在の問題が深刻化してきているというふうに受け止めております。

したがって、例えば、上陸拒否事由に該当する事由があること、あるいは本邦での活動内容を偽って不正に上陸許可等を受けたこと等を理由とする在留資格取消しの件数というものも年々増加してきているわけでございますから、こういう罰則に穴があるということに対しまして、こうした行為に対しましては現行制度でも在留資格の取消しは可能なんですけれども、やはりこの罰則整備をいたしまして、不法入国や不法上陸と並ぶ法の整備を行って罰則を設けることにしたというふうに考えております。

したがいまして、不法残留者の数の減少により偽装滞在者対策の必要性が増大をしているということを踏まえての対応でございますので、そういうふうに考えて努力をしていきたいと、このように考えているわけであります。

糸数慶子君

終わります。

<反対討論>

糸数慶子君

私は、沖縄の風を代表して、外国人技能実習法案及び入管法改正法案の両法案に反対の立場から討論を行います。

外国人技能実習制度は、国際貢献のため技能等の移転を図る制度です。この点は政府から繰り返し答弁されてきましたが、同制度に対しては、長時間労働、賃金不払などの労働関係法令違反の問題、実習実施機関等による人権侵害行為の問題、保証金の徴収の問題、技能実習生に対する強制帰国の問題など、数多くの問題点が内外から指摘されております。国際貢献の名の下に外国人の技能実習生が安価な労働力として扱われてきたという実情は、本委員会においても多くの委員が指摘してきたところであります。

政府は、外国人技能実習法案を外国人技能実習制度の適正化を図るものであると説明し、法案には、技能実習計画の認定制及び監理団体の許可制が新たに設けられ、技能実習生に対する人権侵害行為についての禁止規定や外国人技能実習機構の設立に係る規定などが整備されております。

しかし、委員会における審査において、保証金の徴収、強制帰国などの問題への政府の対応を確認したところ、それらの答弁には、これらの問題の解決に向けた積極的な姿勢が示されておりません。保証金を徴収する送り出し機関への規制が不十分であるとともに、現行制度においても、強制帰国の実態があるにもかかわらず、法案は強制帰国も想定して規定されていないことなどを踏まえれば、技能実習生が直面する様々な問題を根本的に解決するものではありません。

加えて、今回の法案は、外国人技能実習制度の適正化を図るとともに、技能実習期間の延長、介護の技能実習の実現などの拡充策をも行おうとするものであります。外国人技能実習制度を国際貢献の制度に改めるには、まずは適正化を行い、その効果を確認してから拡充策を講ずるべきと考えます。

次に、入管法改正法案は、在留資格「介護」の新設と偽装滞在者対策の強化を図るものであり、偽装滞在者対策の一つに罰則の整備が挙げられております。

先ほども申し上げましたが、政府は、不法残留者数について、平成二十七年に約二十二年ぶりに増加に転じ、平成二十八年も増加したと説明しています。しかし、平成二十七年の不法残留者数は六万七人、平成二十八年は六万二千八百十八人であり、ピーク時の平成五年の二十九万八千六百四十六人の約五分の一程度です。また、最少だった平成二十六年の五万九千六十一人と比べても、平成二十八年の不法残留者数の増加は僅かです。罰則の整備の必要性について政府から十分な説明が行われないまま、偽装滞在者対策の必要性が強調されていると考えます。

また、罰則のうち、第七十条第一項第二号の二の偽りその他の不正の手段によりという構成要件に対しては、曖昧であるため、難民支援者から懸念が寄せられております。出身国での迫害から逃れてきた庇護希望者は、滞在期間、短期滞在などの在留資格で上陸許可を受け、その後に難民認定申請を行う場合が多いと指摘されておりますが、今回の改正は、こうした申請を行う者やその支援者などが罰則の対象となり得る可能性を否定できません。これでは、難民認定申請への萎縮効果をもたらします。

以上の指摘は、それぞれの法案に対する反対理由の一例です。外国人技能実習法案及び入管法改正法案に対してはまだまだ多くの課題が存在するということを強く申し上げ、私の反対討論といたします。