国政報告

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"所信質疑 嘉手納爆音訴訟の不当判決と、山城博治さんに対する不当な長期拘留について抗議、成人年齢の18歳引き下げ、ハーグ条約、選択的夫婦別姓、旧姓の通称使用"

第193回国会 2017年3月9日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

金田法務大臣の所信、そして来年度予算案の御説明を伺って、まず率直な感想を申し上げますと、治安・テロ対策、出入国管理、公安調査庁を中心とする取組の強化など、社会防衛的な考えが強力に打ち出されている、そのように受け止めました。金田大臣は、国の機関として人権擁護に取り組む最高責任者でもあるわけですから、そちらにもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

そこで、本日は人権問題を中心に質問したいと思います。

まず、質問に入ります前に二つの司法判断について言及したいと思います。

米軍嘉手納基地周辺の住民二万二千四十八人が、深夜、早朝の米軍飛行機、つまり米軍機の飛行差止めと損害賠償などを求めた第三次嘉手納爆音訴訟において、那覇地裁沖縄支部は二月二十三日、飛行差止めの請求を棄却した一方で、騒音が受忍限度を超えていると認定をし、過去最高となる総額三百二億円の損害賠償の支払を命じました。

藤倉裁判長は判決理由で、第一次訴訟の判決確定から十八年以上経過したが、米国や国による対策に特段の変化は見られず、違法な被害が漫然と放置されていると批判をし、騒音によって会話やテレビ視聴、勉強などの妨害のほか、高血圧症のリスク増大も生じていると厳しく指摘いたしました。にもかかわらず、米軍機の飛行差止めについては、日本政府には米軍の行動を規制する権限はないとする第三者行為論などを理由に退けました。沖縄県民の生存権を脅かす違法な被害を漫然と放置しているこの責任は司法にもあるということを申し上げておきたいと思います。

そしてもう一つは、基地建設に反対する抗議行動に絡んで逮捕、さらに起訴された沖縄平和運動センターの山城博治議長が長期勾留されている問題であります。

最高裁は二月二十日、保釈を認めない決定をいたしました。これは、基地があるゆえに引き起こされる騒音や環境破壊、米軍関係の相次ぐ事件、事故により、沖縄県民は長い間苦しんでまいりました。命と暮らしを脅かす基地建設に抗議することさえも許さない政府に追随するような司法判断に怒りを覚え、強く抗議いたします。

検察の対応、そして司法判断については、反対運動の現場だけでなく、元裁判官、刑法学者、国際人権団体など、各方面から疑問視する声が上がっています。

木谷明元高裁判事は、厳し過ぎる、精神的な支援を遮断して自白を迫る人質司法の手法だ、重大事件でもないのにいつまでも勾留しておくような判断は残念だと指摘をしています。

また、明治大学のローレンス・レペタ特任教授は、山城氏に対する警察、さらに日本政府の対応は国際人権法に反していると批判しています。自由権規約第九条では、恣意的な逮捕と長期の公判前勾留を禁じ、勾留者は妥当な期間内に裁判を受けるか保釈される権利を有するとあります。レペタ教授は、恣意的な逮捕は世界中で独裁政府が反対派を黙らせるための常套手段として使われている、このため、八八年の国連総会で長期勾留を禁じる原則が採択された際には、拘禁された者又は受刑者と外部、特に家族や弁護人との間のコミュニケーションを数日以上拒否してはならないと明記している、これに違反していると指摘をしています。

最高裁元判事の泉徳治氏は、国民の基本的人権、民主的な政治過程、少数者の権利を守ることは司法の役目であり、この役割を果たすことは裁判官の使命であると述べておられます。

最高裁の判断も近い将来断罪されるものと確信をしているということを強く申し上げて、質問に入りたいと思います。

まず、質問について、一番目でございますが、民法改正等について伺います。

成人年齢の十八歳引下げの民法改正案の審議が見送りという、このような報道がありますが、これは事実でしょうか。もしそうであれば、その理由を、金田法務大臣、お聞かせください。

国務大臣(金田勝年君)

成年年齢を十八歳に引き下げるという内容の民法改正案につきましては、これまでも私も記者会見等で述べてまいりましたが、早ければ今国会に提出することも一つの選択肢であると申し述べてきました。そういう状況に変わりはないのであります。

いずれにしましても、法務省としては適切な時期に民法改正案を提出する考えであります。従前どおりであります。

糸数慶子君

適切な時期にということなんですが、この適切な時期とはいつなんでしょうか。

国務大臣(金田勝年君)

私から法務省の所管事務を全体を見渡しておりまして、今、法案に係る課題が非常に密集しているというんでしょうか、たくさんございます。そういう中で、しっかりとそれらを仕上げていくという思いを持って拝見しておりますので、そういう思いを込めた、そして今国会に早ければ提出するということを述べてまいりましたが、そういう中で御理解を賜りたいと思います。

糸数慶子君

民法というこの基本法は通常国会でしっかり議論すべきであるというふうに思います。

婚姻年齢については、法制審答申から二十一年が経過をしております。国連からも、男女差別の解消、児童婚を解消すべきとして改正が求められているということを強調しておきたいと思います。

次に、ハーグ条約について質問いたします。

ハーグ条約に加盟してから三年が経過いたしました。ハーグ条約は、監護権の侵害を伴う国境を越えた子の連れ去り等は子の利益に反すること、どちらの親が子の監護をすべきかの判断は子の元の居住国で行われるべきであること等の考慮から、まずは原則として子を元の居住国へ返還すること、そのことを義務付けています。ところが、米軍基地が集中する沖縄では、米軍人の夫が妻に無断で基地から本国に連れ去るという解決が困難なケースもあるわけです。

先日、ハーグ条約に基づき、アメリカで暮らす一歳の娘の返還を求めていた母親の訴えが認められました。これは、米国で妊娠中にDVを受けたことなどから帰国し、沖縄で出産をし、三か月後に夫の親族の結婚式で渡米をした際に娘と引き裂かれたケースであります。母親がフロリダ州連邦地裁に申し立て、返還命令が出されたものであります。

沖縄では国際結婚が年間二万件を超しています。離婚も増えており、子の連れ去りも深刻な問題になっているわけですが、条約加盟から三年がたち、条約がどのように運用され、子供の利益がどう守られたかの検証が必要だと思いますが、今後の取組について伺います。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

ハーグ条約を実施するために必要となる手続などを規定しております国内法のいわゆるハーグ条約実施法でございますが、これにつきましては、衆参の法務委員会における附帯決議によりまして、政府は、ハーグ条約実施法の施行状況等について、当分の間、一年ごとに国会に報告するとともに、施行後三年を目途として施行状況を検討し、検討結果に基づいて必要な措置を講ずることとされております。

したがいまして、法務省といたしましては、引き続きハーグ条約実施法の運用状況を見ながら、関係機関などとも適時適切に連携しつつ、先ほど申し上げましたような措置を講ずる必要性を含め、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

よろしくお願いいたします。

次に、選択的夫婦別姓と通称使用についてお伺いいたします。

今年一月三十一日の参議院予算委員会での選択的夫婦別姓に関する答弁で、安倍首相は、直近の内閣府における世論調査では反対が三六・四%、容認が三五・五%と答弁をされました。しかし、政府は、二〇一四年三月十三日の参議院法務委員会では、政府広報室長が、人口を補正すると賛成は三六・六%、反対は三四・六%と答弁されています。

委員会で訂正されたのですから、その後の答弁もそうするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

御指摘いただきました内閣府の答弁は、平成二十四年の選択的夫婦別氏制度の導入に関する世論調査について、議員からの求めに応じて、性・年齢別の回答結果に総務省人口推計による性・年齢別の人口構成比率を掛けて、その上で試算したものというふうに聞いておりまして、これによりますと、制度の導入に賛成する旨の回答が公表数値よりもやや増加することになるものと承知しております。

また、世論調査では、若い年代の女性の方が選択的夫婦別氏制度の導入に賛成する方が多い傾向にあるということが言えようかと思います。もっとも、世論調査の全体を見ますと、選択的夫婦別氏制度に賛成すると答えた者の割合と同制度に反対すると答えた者の割合は拮抗しておりまして、選択的夫婦別氏制度の導入について国民各層の意見が分かれていることが示されたものと認識しております。

答弁におきまして、世論調査結果を御紹介するに当たりましては、基本的には世論調査を実施した内閣府から公表されております客観的な数値を利用すべきものというふうに考えております。

糸数慶子君

今の答弁によりますと、特に若い人たち、若い女性がやはり求めているという、これから結婚する人たちがそういうことを求めているわけですから、是非積極的に進めていただきたいと思います。人口補正するとその賛否が逆転するため、これは今、私あえて言及したわけですが、いずれにいたしましても、少数者の権利を世論の多寡に委ねることについては、この件に関して国連からも厳しく指摘をされているということを強く申し上げて、次の質問に参りたいと思います。

先ほども申し上げましたけれども、いわゆる夫婦別姓訴訟では、最高裁法廷では、二〇一五年の十二月十六日、現行民法について、選択的夫婦別氏制度に合理性がないと断ずるものではないとした上で、国会で論ぜられ判断されるべき事柄であると、議論を立法府に委ねるという判断をいたしました。

しかし、国会で法案をきちんと議論する場はなく、政府は、個別の議員の質問に、判を押したように、この問題は我が国の家族の在り方に深く関わるものであり、国民の間に様々な意見があることから、最高裁判決における指摘や国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応する必要があるという、このような答弁を繰り返しています。

慎重に対応するとは、これは議論を封じることになるのでしょうか。国会で論ずる場を設けるべきだと思いますが、金田法務大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(金田勝年君)

民法第七百五十条の規定で、夫婦同氏を定める規定がございます。

平成二十七年十二月十六日の最高裁判決において合憲との判断が示されたわけでありますが、他方で、その判決におきまして、選択的夫婦別氏制について、制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄であるとの指摘がされたと、このように承知をいたしております。御指摘の国会での議論の場というものをどのような形で設けるかという点につきましては、立法府において御判断をいただくべき事柄であると考えている次第であります。

この問題は、委員もただいまお話に引用されていましたが、我が国の家族の在り方に深く関わるものでありまして、国民の間にも様々な意見があるということではあります。法務大臣としては、私といたしましては、最高裁判決における指摘を踏まえて、まずは国会における議論の動向を注視しながら慎重に対応を検討していくべきものと考えております。

糸数慶子君

先ほども御質問の中で、国会で論ずる場を設けていただきたいというふうに申し上げておりますし、さらに、今、安倍総理大臣は女性の活躍に対する大変関心をお持ちの方です。昨日、三月八日、国際女性デーで、多くの女性たちがその活躍の場をあらゆる形で設けていただきたいという、そのような運動もあったわけですが、そのことに関連して、きちんと論ずる場を設けていただきたいというふうに申し上げたわけですが、再度御決意を伺いたいと思います。

国務大臣(金田勝年君)

ただいまもございましたが、国会での議論の場というものをどのような形で設けていくのかという点が重要だと思います。

糸数委員の御指摘は私も理解している一人でありますが、その国会での議論の場の設け方につきましては立法府において御判断をいただくべき事柄であろうかと思いますので、その点も前提として踏まえて、またお考えも教えていただきながら検討を進めていきたいと、このように思います。

糸数慶子君

検討していただくとはおっしゃっていらっしゃいますけれども、具体的にどのような形でやっていただけるのかと私は伺ったつもりなんですけれども、それに対する御答弁はございません。前向きにきちんとやっていただくということをお約束していただきたいと思います。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員のこの課題に対します御熱意は私も理解しているつもりでありますが、この問題は何分にも、最高裁のこの中で出ておりますように、国会で論ぜられ判断されるべき事柄であるという、その国会での議論の場というものを踏まえて対応していく必要があるということは理解していかなければいけないのではないかと考えております。

糸数慶子君

まさにこの場できちんと論じていただくということで質問しておりますけれども、立法府でやるべきことだというふうに最高裁でも委ねられているわけですから、積極的に取り上げてやっていただくということを強く要望したいと思います。

次に、最高裁大法廷では、女性に関わる不利益を認めながら、これらの不利益はその氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得るといたしました。しかし、通称使用が認められない職場もあり、不利益が緩和されるどころか訴訟になる事案もあるわけです。

そこで、通称使用についてお伺いいたします。

今、お手元に資料としてお配りをいたしておりますのは、実はこれ、私の地元の沖縄県と県内四十一市町村の旧姓の通称使用の状況を調査した一覧であります。これを見てもお分かりのとおり、都市部で認める自治体が多い一方で、離島などでは認めていない自治体が多いことが分かりました。

これは全国的に見ても同じ傾向ではないかと思いますが、そこで総務省に伺います。都道府県及び政令指定都市で通称使用を認めていない自治体はあるのでしょうか。

政府参考人(安田充君)

お答えいたします。

地方公共団体における職員の旧姓使用の実態についてでございますけれども、総務省におきまして個別に聞き取ったところでございますが、都道府県及び政令指定都市におきましては全団体で旧姓使用が可能となっているところでございます。

糸数慶子君

政府は、二〇〇一年七月の十一日に、国の行政機関での職員の旧姓使用について、各省庁人事担当課長会議、これは課長会議の申合せを行って、同年十月一日より国家公務員の旧姓の通称使用を認めています。また、昨年五月二十日に決定した女性活躍加速のための重点方針二〇一六において、地方公務員が旧姓使用しやすくなるよう地方公共団体に働きかけると明記しています。さらに、総務省は、昨年八月二十五日に開催した全国人事担当課長・市町村担当課長会議におきまして、職員が旧姓使用しやすくなるような環境づくりに向けた取組をしっかり進めるよう要請したと承知をしております。

しかし、政府の働きかけは地方自治体に十分に届いているとは言えません。政府の方針を文書等で周知することも一つの方法と考えますが、今後の取組についてお伺いいたします

政府参考人(安田充君)

お答えいたします。

地方公共団体における職員の旧姓使用についてでございますけれども、御指摘ございましたように、平成十三年七月に国において旧姓使用に関する各省庁の申合せがなされたことを受けまして、総務省から各地方公共団体に対しましてこの申合せについての周知を行ったところでございます。

また、平成二十八年五月に決定されました女性活躍加速のための重点方針二〇一六におきまして、これも御指摘ございましたように、地方公務員が旧姓使用をしやすくなるよう地方公共団体に働きかける、この旨が明記されたことを受けまして、昨年八月及び本年の一月にもでございますけれども、全国の地方公共団体の人事担当課長・市町村担当課長会議におきまして、職員が旧姓を使用しやすくなるよう、各団体において取組を進めていただくよう要請したところでございます。

今後も、総務省といたしましては、地方公共団体における取組が進むよう各種会議の場などを通じた働きかけを行うとともに、職員が旧姓使用をしやすくなるような環境づくりを促す通知の発出についても検討してまいりたいと思っております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

是非ともこの文書等での通知をお願いをしたいと思います。

時間がありませんので、私、あと二問ほど通告をしてございましたけれども、金田大臣に関しましては、これからは、まだ、この通常国会の中で、先ほど申し上げましたように、是非とも女性が活躍できる、そのような状況を積極的にこの場でしっかりと議論できるような対応をしていただくことを強く要望して、私の質問は終わりたいと思います。

ありがとうございました。