国政報告

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山城博治さんに対する不当な長期拘留について抗議、共謀罪

第193回国会 2017年3月22日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

本日は、昨日閣議決定されましたいわゆる共謀罪法案について質問いたします。

安倍政権の下、二〇一三年に特定秘密保護法、二〇一五年に戦争法と呼ばれた安保関連法が成立し、昨年五月には盗聴捜査の拡大を含む刑事訴訟法の改正が行われました。安倍首相は、改憲の発議の意向も示されています。そして、昨日、政府は共謀罪法案の名称をテロ等準備罪と変えて国会に上程しました。合計二百七十七もの犯罪について共謀の段階から取り締まろうとするこの法案に強く反対するという立場に立って質問をいたします。

まず一点目ですが、刑法の構成要件の保障機能が損なわれることについて伺います。

刑法は、犯罪構成要件に当てはまる行為だけを処罰すると定めています。つまり、犯罪構成要件に当たるような行為をしない限り、人は処罰されることはありません。我が国の刑法では既遂処罰が原則であり、重大な犯罪は未遂処罰を認めています。更に重大な犯罪、殺人、強盗、放火などは予備段階から、更に限定された爆弾犯罪や内乱罪などは共謀段階から処罰が可能です。それらは合計七十余りと伺っています。

今回、政府は、合計二百七十七の犯罪について共謀の段階から処罰できるとしています。その本質的危険性は、犯罪が成立する要件のレベルを大幅に引き下げ、犯罪として取締りのその対象とされる行為が曖昧にされるところにあると思います。

このような危険性の指摘について、金田大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員の御質問にお答えをいたします。

本法律案のテロ等準備罪は、かつての組織的な犯罪の共謀罪に対して示された、かつての共謀罪に対して示された正当な活動を行う団体も対象となるのではないか、内心が処罰されることとなるのではないかといった不安や懸念を踏まえて検討を行いました。

そして、一つには、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定をすることにより、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が適用対象とはならないことを一層明確にするとともに、また、犯罪の計画行為だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることによりまして、内心を処罰するものでもないということについても一層明確にするとともに、処罰範囲も限定するなど、犯罪の構成要件を適正かつ明確なものとした次第であります。

このように、本法案は、国家の刑罰権を法律の定める限度に制限することによって、個人の権利、自由を擁護しようとする罪刑法定主義に反しないものとなっておりますとともに、一般の方々が対象になるのではないかといった不安や懸念を払拭する内容となっているものであります。

糸数慶子君

私の頭の中では余り理解できないところがあるわけですが、後ほどまた、今の答弁に係る質問をさせていただきたいと思います。

警察の捜査権限が拡大されることについて伺いたいと思います。

共謀罪は、人と人との意思の合致によって成立をします。したがって、その捜査は会話、電話、メールなど日常的に市民のプライバシーに立ち入って監視するような捜査がなされる可能性があり、監視社会がもたらされる危険性があります。予算委員会の質疑で金田大臣は、共謀罪を通信傍受の対象とすることは将来の検討課題だと答弁されていますが、警察が市民生活の全てを監視しようとする監視社会になるのではないでしょうか、お伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員の御質問にお答えします。

捜査の在り方につきましては個別具体的な事案に応じて様々であり一概にお答えはしかねるのですが、テロ等準備罪についても、現在行われている他の犯罪と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従い必要かつ適正な捜査を行うこととなります。

通信傍受につきましてですけれども、テロ等準備罪は通信傍受の対象犯罪ではなくて、テロ等準備罪をその対象犯罪に追加する法改正を行うことは予定をいたしておりません。加えて、テロ等準備罪の対象となる団体は、重大な犯罪を行うことを目的とするテロリズム集団その他の組織的犯罪集団に限定をしておりまして、一般の方々がテロ等準備罪による処罰の対象となることもありません。

したがって、テロ等準備罪の新設により、捜査機関が常時国民の動静を監視するといったような監視社会となることにはなりようがないということであります。

糸数慶子君

監視社会にはなりようがないと大臣はっきりおっしゃいましたけれども、これ、今後の状況をしっかり見ていきたいと思います。

テロ対策となり得るかについてお伺いしたいと思いますが、テロ行為は未然に防がなくてはもちろんこれはならないわけですが、日本は国連のテロ対策条約全て批准済みであります。政府は、どのような対策が欠けているのか全く説明もできていません。最近のテロ行為は単独犯行のものも多く、むしろ、テロとは無関係の多くの犯罪の共謀を取り締まることをテロ対策とする方が危険ではないかというふうに思います。

共謀罪法案は、国連の越境組織犯罪条約を批准するために立案されたのは事実です。この条約は既に百八十七か国が批准しており、その批准は進めるべきだと私も思います。しかし、世界各国の状況を見る限り、日本の政府案のような広範な共謀罪を立法した国としては、ノルウェーとブルガリアしか報告されておりません。この条約は、物質的利益のための越境組織犯罪について取締りを求めたもので、テロ対策とは関係がありません。

金田大臣は、テロとは関係のない多くの犯罪の共謀を取り締まるところをテロ対策と考えていらっしゃるのでしょうか、お答えください。

国務大臣(金田勝年君)

まず、テロ等準備罪の創設によりまして、テロ組織を含む組織的犯罪集団によります犯罪の実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となる、こうした犯罪によります重大な結果の発生を未然に防止することができるようになると考えております。また、TOC条約第五条の犯罪化義務を担保して本条約を締結することによりまして、我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴となることを防ぐとともに、国際的な逃亡犯罪人引渡しや捜査共助が可能ないし更に充実するほか、情報収集において国際社会と緊密に連携をしていくことが可能になるということであります。

さらに、今日の国際社会においては、テロ行為そのものへの対処に加えまして、テロ行為を可能とする資金源を絶つことがテロの最終的な根絶に向けて効果的な方策になっておりますものと承知をいたしております。また、処罰を免れることを目的とする司法妨害への対処も重要であります。

そこで、テロ組織を含む組織的犯罪集団を対象として、テロの実行に関する罪のほか、組織の資金源となる罪とともに、司法妨害に関する罪をテロ等準備罪の対象犯罪とすることがテロ対策に効果的である、このようにした次第であります。

糸数慶子君

次に、政府は、法案は修正されているので濫用の危険性がないと説明しています。この濫用の危険性が払拭されていないことについてお伺いをしたいと思います。

まず、組織的犯罪集団の定義は、対象とされる犯罪を共同で行う目的のある団体とされ、元々適法な会社や団体でも、罪を犯したときに共同の目的があれば組織犯罪集団という認定は可能だと説明されていますが、団体の過去の経歴、組織メンバーの前歴も問題とはされていません。普通の会社の経営が厳しくなり詐欺に手を染めれば、会社全体が組織犯罪集団になるという最高裁判例もあります。

政府の修正によって危険性はなくなったと言えるのでしょうか、金田大臣にお伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

テロ等準備罪につきましては、対象となる団体を組織的犯罪集団に限定をいたしております。組織的犯罪集団は、一定の重大な犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする集団をいうわけであります。このように、適用対象となる団体を明確に限定したことによりまして、一般の方々がテロ等準備罪の処罰の対象となることはなく、また、捜査機関がテロ等準備罪を濫用的に適用するということはできないものと考えております。

糸数慶子君

今、沖縄県民が最も危惧している、市民の異議申立てへの力による封じ込めの意図があるのではないかということについてお伺いをしたいと思います。

沖縄の高江では、ヘリパッドの建設に抵抗して市民が座込みをしたことに対し、警察は全国から機動隊を動員し、多数の市民を負傷させ、また抗議行動のリーダーである山城博治さんを始め多くの仲間を逮捕、勾留をいたしました。山城さんは十八日に釈放されましたが、勾留は何と昨年の十月十七日の逮捕以来五か月にも上りました。沖縄県民からすれば、政府に抵抗する行為を未然に一網打尽にする意図が今の政府には明らかにあると疑わざるを得ません。

このような懸念を払拭できるのでしょうか、大臣にお伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

市民運動を行う一般の方々がテロ等準備罪による処罰の対象となることはないと、このように申し上げております。

その理由でございますが、テロ等準備罪につきましては、対象となる団体を組織的犯罪集団に限定をいたしております。組織的犯罪集団は、一定の重大な犯罪等を行うことを構成員の結合関係の基礎としての共同の目的とする集団をいうことから、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などに限られまして、一般の会社や市民団体や労働組合などの正当な活動を行っている団体は適用対象とはなりません。

このような適用対象となる団体の限定によりまして、市民運動を行う一般の方々がテロ等準備罪の処罰の対象となることはなく、政府に対する言論が封じられてしまうとの懸念は当たらないものであります。

糸数慶子君

私が今、山城議長のことを申し上げたのは、実はこれ沖縄の地元の新聞です。三月の十九日、琉球新報、そして、同じ三月の十九日、沖縄タイムス、地元の新聞にこのように大きく紹介されておりますけれども、先ほど大臣がお答えになったことと私はもう全く真逆のことを今の日本政府はやっているのではないかと思います。

なぜかといいますと、山城議長は、有刺鉄線を切った器物損壊の罪はもちろん認めております。しかし、それ以外のことは否認をしております。たかだか二千円の有刺鉄線を切ったという、それだけの理由で長期勾留をしている。この状況はまさに、捜査の中で、基地反対運動に関わる関係者や、それからメールのそれこそ送受信記録、それを警察が手中にしたと言われておりますけれども、まさに県民が心配しておりますのは、この共謀罪を先取りするような権力の濫用ではないか、それが今、山城議長のこの長期勾留に表れていると、そのことについて県民は大変な懸念を払拭することができません。

私、これまで大臣がいろいろ御答弁をしていただきましたけれども、到底納得できる答弁ではございません。日本の刑法体系を根底から覆し人権侵害をもたらす、このような法案に対しては断固として反対という立場を表明をして、次の質問に入りたいと思います。

まず、二〇一七年度予算で、共生社会実現に向けた人権擁護施策の推進は確かに前年度より増えております。しかし、十分ではありません。三月十七日に発表された二〇一六年における人権侵犯事件の取組状況を見ますと、インターネット上の人権侵害情報に関する事件数、障害者に対する差別待遇に関する事件数が過去最高件数を記録しています。これは、人権侵害事件が増えているということより、むしろ潜在化していたものが人権意識の向上や相談窓口が増えるなどして顕在化しやすくなったとも言えるかと思います。

今月からはスマートフォンに対応した相談窓口が開設されて、より利用しやすい環境の整備が行われ、若い世代の相談が増えてくるものと思われますが、様々な取組が行われておりますこの状況の中で、まだ日本は予算が足りない、積極的に相談、立件、救済などを行う必要があると思いますが、金田大臣の共生社会実現に向けた人権擁護施策の取組に対する御決意をお伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員からの御指摘にお答えをいたします。

我が国の人権状況に関しましては、取り組むべき様々な人権課題があると認識をいたしております。法務省の人権擁護機関では、これまで人権相談、人権侵犯事件の調査・救済活動、そして人権啓発活動といった取組を通じまして、これらの人権課題の解決に向けて努力を続けてきたところであります。

人権擁護行政を担当する法務大臣として、引き続いてこれらの取組を積極的に推進していかなければいけない、様々な人権課題の解決に向けた努力をより一層重ねていきたいと、このように考えておる次第であります。

糸数慶子君

先ほど、私は、いわゆる沖縄におけるこの山城議長のことをるる申し上げました。片っ方で、今の大臣の御答弁にもございましたけれども、やはり人権を擁護するというその立場に立っていただきますと、過去のこの沖縄の基地問題に関わる人権の課題、そして今沖縄で起こっているこの課題、とりわけ過去のといいますと、沖縄戦では多くの沖縄の県民が、沖縄の地元の言葉でお年寄りが話をしたというだけでスパイ視されて日本の軍隊に殺害されたということもあります。

そのような懸念から、やはりこの共謀罪に対する県民の不安というのは払拭できていない、払拭できないということを改めて申し上げまして、私はこの法案には反対だということを再度申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。