国政報告

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最高裁判事の人事に官邸が介入したことについての懸念、裁判所の男女共同参画、最高裁職員の旧姓の通称使用

第193回国会 2017年4月11日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

質問に入ります前に、最高裁の人事について一言申し上げたいと思います。

最高裁裁判官の人事については、憲法七十九条で、内閣でこれを任命すると定めています。

二〇〇二年に首相官邸のウエブサイトで公表されました、資料として提出しておりますが、「最高裁裁判官の任命について」によりますと、最高裁裁判官の任命は、最高裁長官の意見を聞いた上で内閣として閣議決定する、最高裁長官に意見を聞くのは、最高裁の運営の実情を踏まえたものとなるように人事の万全を期すため慣例として行っている、最高裁長官の意見は、一般的には出身分野、候補者複数名と最適任候補に関するものである、候補者については、主として裁判官、弁護士、検察官の場合は最高裁長官から複数候補者について提示を受け、行政、外交を含む学識経験者については原則内閣官房で候補者を選考し、いずれの場合も内閣総理大臣の判断を仰いだ上で閣議決定するとあり、その際、最高裁裁判官は国民審査を受ける重い地位であることに鑑み、極力客観的かつ公正な見地から人選しているというふうに明記されております。

ところが、今年三月二日の朝日新聞に「最高裁人事、慣例崩す」という見出しの記事がございました。安倍政権が長期化するにつれ、最高裁判事をめぐる慣例が徐々に変わりつつあると書かれています。例示されたのが今年一月に任命された弁護士出身判事の後任人事のことであり、弁護士枠を維持した形ではありますが、この方は刑法が御専門の大学の名誉教授で、昨年八月に弁護士登録をされたばかりのようであります。日弁連が最高裁を通じて示した推薦リスト七人にも入っておりませんでした。

今回の人事については懸念の声が上がっています。最高裁で人事を担当していた元経験者も、明らかに異例とコメントされています。「日本の最高裁判所」という本の編著者でもある立命館大学法科大学院の市川正人教授は、慣例は政治権力による露骨な人事介入に対する防波堤の役割を果たしてきた側面がある、今後、最高裁が過度に擦り寄ってしまわないかが心配だと指摘されています。

日弁連や最高裁が、今後、人事権を持つ内閣の意向をそんたくしてしまうのではないかと疑念を持たれることのないようにしていただきたい、そういうことを申し上げて、質問に入りたいと思います。

まず一点目ですが、裁判所における男女共同参画についてお伺いをいたします。

最高裁判所は、二〇一三年の八月一日、九千五百人の書記官のトップである大法廷首席書記官に曽根啓子さんを命じました。大法廷首席書記官は、憲法判断や判例の見直しをする際に開かれる大法廷の審理にも立ち会い、全国の書記官の指導も担うと承知しております。この最高ポストに女性が就任するのは初めてでございましたので、メディアでも取り上げられました。当時、多くの女性たちの励みになったと記憶しておりますが、残念ながらその後、男性に替わられたと伺っております。

そこで、最高裁にお尋ねいたしますが、現在、裁判官、調査官、書記官など、この裁判所の職員に占める女性の割合はどれくらいなのか、お伺いいたします。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答え申し上げます。

平成二十八年度の数字でございますが、それぞれの官職の女性割合について申し上げますと、裁判官に占める女性の割合は二一・三%でございます。裁判官以外の裁判所職員につきましては、裁判所書記官が三四・六%、家裁調査官補を含みます家裁調査官につきましては五一・二%、裁判所事務官は四一・一%となっております。

糸数慶子君

それでは、管理職に占める女性の割合はいかがでしょうか。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

裁判官以外の裁判所職員についての管理職の割合についてお答え申し上げますと、平成二十八年度の数字でございますが、最高裁の課長相当職以上に占める女性の割合は一二・一%でございます。下級裁判所の課長と最高裁の課長補佐相当職に占めます女性の割合は二五・一%となっております。さらに、係長相当職に占める女性の割合は四二・九%でございます。

糸数慶子君

それでは、最高裁は、女性の採用それから登用拡大への取組についてでございますが、具体的にどのような取組が行われているのでしょうか、お伺いいたします。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

裁判官以外の裁判所職員につきましては、女性職員の採用、登用の拡大に努めているところでございまして、平成二十八年三月に策定をいたしました女性活躍法に基づきます裁判所特定事業主行動計画に基づき、その取組を進めてきているところでございます。

まず、採用に関しましては、これまでも男女を問わず優秀な人材の確保に積極的に取り組んできているところでございますが、例えば、女性職員につきましては、仕事と家庭生活を両立させ、働きやすい職場環境の整備に努めますとともに、採用試験の広報活動におきまして、採用試験のパンフレットやホームページ等を通じて、仕事と家庭生活を両立させながら活躍しております女性職員を積極的に取り上げるなどの取組を続けてまいりました。その結果、採用した職員に占める女性職員の割合はここ数年来五〇%を超えておりまして、平成二十七年度に実施した採用試験では五九・八%となっております。

女性職員の登用の拡大に関しましては、先ほど申し上げました行動計画におきまして、平成三十二年度末において、最高裁の課長相当職に占める女性割合を一八%、下級裁判所の課長と最高裁の課長補佐相当職に占める女性割合を三〇%、係長相当職に占める女性割合を四五%といたしますことを目標として設定をいたしまして、多様な職務経験の付与や職員に対する意欲増進等に向けた研修などの各種取組を進めているところでございます。

こういたしました取組を通して、引き続き、職員の計画的な育成やキャリア形成支援を図りながら、管理的地位の女性職員が占める割合を増やしてまいりたいと考えているところでございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

次に、裁判所の職員の旧姓の通称使用についてでございます。

国家公務員の旧姓の通称使用については、これ二〇〇一年から認められ、地方公務員についても、総務省との取組など、認められるようになっておりまして、現在かなり進んでおりますが、裁判所の職員についてはどこまで認められているのでしょうか、お伺いいたします。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答え申し上げます。

裁判所におきましても、行政府省と同様に、男女共同参画社会の実現に向けての社会情勢の動き等に鑑みまして、平成十三年十月から職場での呼称や一定の文書等について旧姓使用を認めてきているところでございまして、その後、順次旧姓使用が認められる文書の範囲を拡大してきているところでございます。

具体的な例を挙げさせていただきますと、人事異動通知書や出勤簿、休暇簿等の裁判所内部で使用する文書について旧姓使用を認めているところでございます。

糸数慶子君

かつて行政官出身の裁判官の女性がおっしゃっていたことなんですが、役所で通称使用が認められていたのに、裁判官は戸籍名しか認められず大変悔しい思いをしたということでありました。行政サービスが通称使用でも認められるような時代に戸籍名しか認めないというのは女性の活躍推進に逆行しているとも言えるわけですが、裁判の決定書、判決書ですが、これが戸籍名でなければならないという理由は何なんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答え申し上げます。

判決書等の裁判文書につきましては、作成者の作成権限を明確にし混乱を避けるといった観点から、現在のところ旧姓使用を認めていないところでございますが、この点につきましては今後検討してまいりたいと考えているところでございます。

糸数慶子君

ありがとうございました。検討していただけるという前向きの御答弁がございました。

御存じのとおり、政治家は通称使用が認められております。選挙活動にも戸籍名しか認めなかった当選証書、これが今では通称を書くことができるようになりました。国会の質疑の議事録、さらには法案の発議者そして賛成者も通称で書かれ、国会の正式な記録となるわけです。

そういうことから考えましたら、あらゆる場面で通称使用ができるようにするために、マイナンバーにも希望に応じてこの通称が付記されることになっているわけです。そうなれば、戸籍名だけが信頼に足りるということではなくなるかというふうに思います。そこで、裁判所でも裁判官の皆さんが他の場面と同様に通称使用というのが可能になるということを大変期待しております。今後前向きに検討していただけるということで、大変期待をしたいと思います。

それから最後に、これは質問ではございませんけれども、日本の最高裁判所、最高裁には憲法問題を調査している専門職が一人もいないというふうに伺っております。他方、韓国の憲法裁判所には憲法研究官が約八十人もいるようです。そのほかの附属機関として憲法裁判研究院が置かれているというふうにも聞いております。

日本の場合、裁判所が具体的な訴訟事件を裁判するときに、その前提として解決に必要な限度で適用される法令の違憲審査を行う、いわゆる付随的違憲審査制度ですから、憲法裁判所を持つ韓国とは簡単に比較することはできませんが、しかし、最高裁は憲法によって違憲立法審査権が付与されているわけですから、憲法の専門職がないというのは、これは改める必要があるのではないかというふうに思うわけですが、ちょっと時間もございますので、この件に関して法務大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。

国務大臣(金田勝年君)

突然の、通告がなかったこともございます、しかし最高裁の憲法の専門職がいらっしゃらないことにつきまして、私の方から御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

糸数慶子君

確かに突然、通告なしにお伺いをいたしましたけれども、法務大臣としてやはり今後是非検討していただきたいと思います。

国会図書館にはちゃんとしたその憲法問題を調査する職員がいらっしゃるということもございます。あわせて、今後御検討いただきますように希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。