国政報告

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民法(債権) 辺野古護岸建設工事について抗議、本法律案の提出理由、法律案提出の経緯、民法(家族法)改正、世界の中の債権法、暴利行為、消費者

第193回国会 2017年4月25日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

質問に入ります前に一言申し上げたいと思います。

本日、沖縄防衛局は、沖縄県民の民意に反して、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部の護岸建設工事に着手いたしました。県民の民意は、名護市長選挙、知事選挙、衆議院選挙、参議院選挙において、辺野古新基地建設の反対を主張する候補者が完勝いたしました。そのことでも民意は明白に示されてまいりました。また、地元メディアの調査でも、沖縄県内の有権者の六一%が辺野古新基地建設に反対していることが明らかになっています。そうした民意を一顧だにしない政府の強硬姿勢は、地方自治をないがしろにするものであり、憲法に反するものではないでしょうか。

政府は、辺野古埋立承認に付された留意事項である沖縄県との協議を打ち切っており、承認の留意事項に違反をしています。さらに、沖縄県の岩礁破砕許可申請は必要ないと一方的に判断し、手続を恣意的にねじ曲げております。このような政府のやり方は将来にも大きな禍根を残す重大な過ちであるということを強く申し上げ、質問に入りたいと思います。

それでは、質問いたします。

民法は、私法の一般法と言われ、私たちの市民生活の最も基本的なルールであります。この民法が一八九六年、明治二十九年に制定されてから百二十年が経過し、今回初めて債権法が大改正されることになりました。

まず、全体的な点から質問したいと思います。本法律案の提出理由の、制定以来約百二十年間の社会経済の変化への対応についてお伺いをいたします。

本法律案の提出理由として、制定以来約百二十年間の社会経済の変化への対応と国民一般に分かりやすいものとするということが挙げられています。制定以来約百二十年間の社会経済の変化への対応ということですが、この百二十年は到底一言では言い表せないような大きな社会経済の変化がありました。今回初めて債権法が大改正されるわけですが、制定から百二十年経過して初めて社会経済の変化への対応の必要性が生じたということでしょうか。金田大臣にお伺いをいたします。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員の御質問にお答えいたします。

社会経済の変化へのこれまでの対応はどういうものであったかという問いかけがあろうと思います。

したがいまして、まずは、民法制定以来、様々な社会経済の変化が生じているわけでありますけれども、民法は条文自体がシンプルに書かれておりまして、その規定内容の抽象度が高いということから、社会経済情勢の変化に対しては、その改正をしなくても、条文の解釈によりまして一定程度対応することが可能であったものと考えられます。また、一定の分野における社会経済情勢の変化に対しましては、民法の特則を定めた法律を個別に制定すること等で対応してきたという面もあろうかと思います。

他方で、民法の債権関係の規定は取引社会を支える最も基本的な法的なインフラでありますことから、その規定内容の見直しは取引社会に多大な影響を及ぼすおそれがあると。そのために、民法の見直し作業は、法律の専門家でない国民各層からも広く意見を聴取をしながら慎重に進められる必要があるといった、個別に特則を制定することと比べてその改正に伴う社会的なコストというものが極めて大きいものと考えられてきたのだと考えております。そのため、民法の債権関係の規定につきましては、本格的な改正に着手されないまま現在に至ったものと考えられます。

今回、ではなぜ改正する必要性があったかということになろうかと思いますが、もっとも、特に消滅時効期間や法定利率制度の見直し、あるいは定型約款に関する基本的な規律の創設といったことは、まさに民法において行うことが必要とされるものでありまして、民法自体を見直さざるを得ない状況に直面していたものと認識をいたしております。

このような観点から、今般、民法制定以来初めて債権関係の規定の全般的な見直しを行うことといたしまして、法制審議会における慎重な審議を経た上で、約百二十年ぶりとなる民法の大幅な改正案を提出するに至ったものであります。

糸数慶子君

変化への対応の必要が生じたことですが、これは今回初めてではないわけですが、最初に大改正が必要だった社会経済の変化が生じたのはいつ頃だったでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

民法の規定は国民生活の様々な場面に適用されます一般ルールでありますために、その全般的な見直しが必要とされるほどの社会経済の変化が生じたと、こういう判断をすることには著しい困難を伴うものと考えております。

このため、これまでは、先ほども出ましたように、社会経済情勢の変化に対して民法自体の改正をするのではなく、個別の条文の解釈や民法の特則を定めた法律を個別に制定していくと、こういった手法によりまして対応してきたという面がございます。

これに対しまして、今般の状況でございますが、消滅時効期間や法定利率制度の見直し、あるいは定型約款に関する基本的な規律の創設など、民法の規定の改正を要するような個別の項目について、これはいつの時点ということではなく、言わばその変化が徐々に積み重なりまして改正に向けた機運を醸成されてきたことなどから、初めて民法の債権関係の規定を全般的に見直すべき社会経済の変化が生じたと判断に至ったものでございます。

糸数慶子君

社会経済の変化としては、取引の高度化、高齢化、情報化社会の進展等が挙げられていますが、民法を改正して対応すべき約百二十年間の社会経済の変化について、主な立法事実を具体的に挙げてください。

政府参考人(小川秀樹君)

今回の改正におきましては、社会経済の変化に対応するための改正事項が少なくないわけですが、ここで言う社会経済の変化といたしましては、具体的には、取引量の劇的な増大、取引の内容の複雑化、高度化、情報伝達の手段の飛躍的な発展などのほか、超低金利状態の長期継続なども挙げることができようかと思われます。これらが言わば立法事実の概要でございます。

主な立法事実の具体例ということになりますと、例えば、先ほど申しました取引量の増大や取引内容の複雑化、高度化というものが約款を利用しました取引の言わば劇的な増大を招いておりますことから、改正法案においては、このような事態に対応するため、定型約款に関する基本的な規律を創設することとしております。

また、先ほど申し上げました昨今の超低金利の情勢、この下では法定利率が市中金利を大きく上回る状態が続いておりまして当事者間の公平を害する結果となっていることから、法定利率の見直しを行う必要があると考えられたわけでございます。

改正法案におきましては、これらの問題に対応するために所要の改正を行うこととしております。

糸数慶子君

債権法は法制審議会の答申に従って改正案が提出されましたが、債権法よりも前に法制審議会の答申が出て、いまだに改正案が出ていない家族法についてお伺いをいたします。

約百二十年間の社会経済の変化については、家族の在り方についても同様のことが言えると思います。百二十年前に明治民法ができるまでは、婚姻後の妻の氏は所生、いわゆる実家の氏を名のるとされたので、戸籍上も夫婦別姓でありました。明治民法ができて、婚姻は配偶者の一方が実家を出て婚家に入り、婚家の氏を名のることになり、夫婦同姓となりました。

戦後、民法の親族、相続編は大幅に改正されましたが、新憲法の理念に反する家制度廃止に重点が置かれ、大改正作業に十分な時間がなかったことから、夫婦の氏などの規定については、衆議院司法委員会で、本法は可及的速やかに将来において更に改正する必要があると附帯決議が付されました。夫婦別姓を認めるかどうかの議論はこの民法改正直後から行われており、様々な経緯を経て一九九六年に法制審議会が選択的夫婦別姓制度導入を答申しました。残念ながらいまだに実現しておりません。

家族についても約百二十年間の変化は明らかだと思いますが、法務省にお伺いをいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

御指摘がありましたとおり、法制審議会民法部会身分法小委員会では、平成三年一月、民法の婚姻に関する規定の見直しに着手いたしまして、法制審議会は平成八年二月に選択的夫婦別氏制度を導入することなどを内容とする民法の一部を改正する法律案要綱を答申いたしました。

法務省は、この法制審議会の答申を重く受け止めまして、平成八年及び平成二十二年、法案の提出に向け、この答申を踏まえた改正法案を準備いたしましたが、各方面から法制審議会の答申に疑問を呈する意見を含め様々な意見が出されましたことから、国民の意識に配慮しつつ更に慎重な検討を行う必要があると考えて、法案の国会への提出を見送っているものでございます。

選択的夫婦別氏制度の導入の問題は、我が国の家族の在り方に深く関わる事柄でありまして、国民の大方の理解を得て行うべきものと考えておりますが、平成二十四年の世論調査の結果を見ましても、国民の意見が大きく分かれている状況にございます。

今後も引き続き国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら慎重に対応を検討してまいりたいと考えております。

糸数慶子君

重く受け止めたというふうにおっしゃいましたけれども、ただいまの答弁の中で、その世論の動向を見てということですが、もっと主体的に国会の中で議論をしていくべきだというふうに思います。この問題についてはまた改めてお伺いをしたいと思います。

次に、債権法の中の、世界の中の債権法についてお伺いをいたします。

私法の一般法である債権法の改正を検討するに当たり、世界の中の日本という観点が重要だと思います。我が国の民法は制定当時から、世界初の民法典といわれるナポレオン法典を持つフランスやドイツから大きな影響を受けてきました。世界の債権法に関する現状について御説明をお願いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

諸外国におきましても、二十一世紀に入りましてから、民法のうち特に契約に関するルールの全般的な改正作業が行われつつあるものと承知しております。

御指摘のありましたドイツ、フランスの状況でございますが、その状況をごく簡単に御紹介いたしますと、例えばドイツでは、二〇〇二年に、民法のうち債務法と呼ばれます、これは債権法に相当する部分をドイツでは債務法というふうに称しますが、債務法と呼ばれる分野について全般的な改正が行われております。また、フランスでは、二〇一六年に契約に関するルールについて全般的な改正が行われたところでございます。

糸数慶子君

我が国では、制定後百二十年経過して初めて債権法が大改正されることになりました。フランス、ドイツでは、どれくらいの頻度で改正されたのでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

まずフランスから申し上げたいと思います。フランス民法は、御指摘ありましたように、一八〇四年に制定されたものでございますが、契約に関するルールの全般的な改正は、先ほど申し上げました二〇一六年の改正まで行われていなかったものと承知しております。

次に、ドイツでございますが、ドイツ民法は一九〇〇年に制定されたものでございますが、契約に関するルールの全般的な改正は、これも二〇〇二年の改正まで行われていなかったものと承知しております。

糸数慶子君

今回の改正に当たっては、フランス、ドイツ等、この外国の民法を参考にされたのでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

まず、改正法案は民法制定以来の社会経済の変化への対応を図ることを改正の主な目的の一つとしておりまして、この観点からは、今日、国際的な取引が著しく増大していることなどを踏まえ、契約に関する我が国の法制が国際的にも調和の取れたものとなることが望ましいと考えられるわけでございます。

しかし、国際的な調和を重視する余り国内における取引実務と合わない法制に改めることは適切でないと考えられます。そこで、今回の改正では、我が国の民法の規定を外国の法律や条約の内容などに合わせる、そういったこと自体を改正の目的としているわけではございません。

もっとも、我が国の民法は、その制定過程やその後の解釈の進展において、先ほど来お話がありますフランス法やドイツ法などの影響を受けておりますため、改正に当たりましては、これらの母法国の法制度等を参照することが有益であります上、一般的にも、新たな法制度を検討するに当たって諸外国の法制度などを比較参照することは、これは当然に必要な作業であると考えられます。

また、民法のうち債権関係の規定は、国内取引、国際取引を問わず広く適用され得る基本的なルールを定めるものであるため、それが国際的な視点から理解し難いものになっていないかといった点には留意する必要があると考えられます。

以上のことから、改正法案の立案に当たりましては、外国法制などに合わせることは改正の目的としないといったことを、これは前提とした上で、諸外国における法制度や議論の状況を十分に参照しながら、例えばフランスやドイツといった国になりますが、我が国の取引実務の実情に適した制度の在り方について議論が進められたところでございます。

糸数慶子君

本法律案の提出理由の、国民一般に分かりやすいものとするということについてお伺いをいたします。

国民一般に分かりやすいものとするという観点からの改正には、意思能力、将来債権の譲渡、賃貸借終了時のルールなどがあると答弁されていますが、それ以外の具体例について御説明ください。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

民法を国民一般に分かりやすいものとする観点からの改正項目、これは従来から、御指摘ありましたように、意思能力と将来債権の譲渡と賃貸借の終了時の敷金返還ですとか原状回復に関する基本的な規律を例としてよく申し上げておりますが、これらの明文化のほかにも多数ございます。

本日取り上げますのは、例えば契約自由の原則の明文化、それから、もうこれは学説などで一致して認めております債務引受けに関する規律を明文化したもの、さらに、契約上の地位の移転ということも、これも学説、判例などでも認められるわけですが、こういったことに関する規律の明文化などを挙げることができようかと思われます。

糸数慶子君

では、次に本法律案の提出の経緯についてお伺いをいたします。

まず、法制審議会の民法部会が二〇一一年四月十二日に決定した中間的な論点整理において五百以上あった項目が、二〇一五年二月十日に決定した要綱案では約二百になったということですが、法制審議会における議論の過程及び項目数が半数以下に減少した理由についてお伺いをいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

まず、部会での審議の経過について申し上げたいと思います。

法制審議会の民法(債権関係)部会における審議の初期の段階では、改正検討項目の性急な絞り込みをせずに、まずは見直しの必要性が指摘されていた項目を幅広く拾い上げる作業方針が取られておりましたため、中間的な論点整理の段階では改正項目は約五百項目と多数に上っておりました。その後、関係団体の代表などの委員が参画する部会がございますので、この部会における議論の場で改正の要否などについて精力的な審議を行いますとともに、パブリックコメントの手続を二度にわたって行いまして、関係諸団体へのヒアリングも実施してまいりました。

部会におきましては、このように審議が重ねられました上で、理論的な観点と実務的な観点の双方から項目の絞り込みや内容面についての検討が進められました結果、最終的には改正項目は約二百項目となりまして、中間的な論点整理の段階から見ますと半数程度に減少することとなったものでございます。

糸数慶子君

この議論の過程で改正の対象から外れた項目のうちで、主なものを挙げていただきたいと思います。

政府参考人(小川秀樹君)

法制審議会におけます審議の過程で改正項目に挙げられながら、改正法案、最終的な改正法案では改正の対象外となりました項目は幾つかございますが、主な項目として挙げますと、例えば一つ、暴利行為に関する規定を設けること、それから保証人の責任の制限に関する規定を設けることなどが挙げられようかと思われます。

糸数慶子君

この改正対象から外れた暴利行為についてお伺いをいたします。

改正の対象から外れた項目の一つとして先ほど暴利行為というのを挙げていらっしゃいますが、暴利行為とは具体的にどういうものでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

暴利行為とは、一般的には、他人の窮迫、無経験などに乗じて著しく過当な利益を得ることを目的とするような行為をいうなどと理解されておりまして、このような行為は公序良俗に反するものとして現行法第九十条、民法九十条により無効であると判断した古い判例がございます。

糸数慶子君

それでは、暴利行為が改正の対象から外れたのはなぜでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

先ほど申し上げました意味での暴利行為ですが、これが公序良俗違反として民法第九十条により無効であるという結論を導きますことは民法九十条の文言それ自体からは必ずしも容易ではありませんため、法制審議会においては、予測可能性を確保するために、先ほど申し上げました判例を参考にしまして暴利行為を無効とする明文の規定を設けることが検討されました。しかし、何をもって暴利行為というかを抽象的な要件で規定いたしますと取引への萎縮効果が生ずるとして、経済団体を中心に明文の規定を設けることに反対する意見がございました。

また、近時の下級審裁判例では暴利行為として無効となる範囲が広がりつつあるとの見方もありましたが、無効とされるべき暴利行為の内容が確立しているとは言い難い現状において、このような近時の裁判例をも踏まえてその要件を適切に設定することは困難であり、必ずしも予測可能性を確保するという目的を達することはできない上、現時点で一定の要件を設定することでかえって将来の議論の発展を阻害しかねないとも考えられたところでございます。

そこで、改正法案におきましては、法制審議会におけるこういった議論の状況を踏まえまして、暴利行為に関する規定を設けることとはせず、引き続き、個別の事案に応じました現行法の民法第九十条の解釈に委ねることとしたものでございます。

糸数慶子君

これは、今後も立法化に向けた検討を続ける予定はあるのでしょうか。私は、暴利行為は民法に規定を設けるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

今回の民法改正法案は、社会経済の変化に対応することを目的の一つとしておりまして、今後も民法を社会経済の変化に対応させていくことは重要であると認識しております。他方で、民法の債権関係の規定は取引社会を支えます最も基本的な法的インフラでありますことから、その規定内容を変更することに伴う社会的なコストにも留意が必要でございます。

そこで、法務省といたしましては、社会経済の変化への対応の必要性と改正に要する社会的なコストを勘案しつつ、改正法案の施行後の状況を注視した上で、更なる民法改正の必要性について検討すべきものと認識しております。

なお、暴利行為の明文化につきましては、先ほど申し上げましたとおり、暴利行為という法理自体を否定的に評価する立場だけでなく、肯定的に暴利行為を評価する立場からも、あるべき要件を具体的に設定することの困難さという点が指摘されていると言えます。

したがいまして、暴利行為に関する明文の規定を設けるには、少なくとも、具体的な事案を前提とした最高裁判例や下級審の裁判例が蓄積し、これについての学説上の議論が積み重ねられて、暴利行為についての適切な要件設定の議論が可能となることが必要であるというふうに考えられるところでございます。

糸数慶子君

それでは、改正対象とならなかった消費者についてお伺いをしたいと思います。

この暴利行為のほか、改正対象とならなかった項目として消費者に関する規定があります。二〇一一年四月に決定された中間的な論点整理においては、民法に消費者に関する規定を設けることの是非を検討すべきであるとされました。また、二〇一三年二月に決定された中間試案において、信義則等の適用によって、消費者と事業者との間で締結される契約のほか、情報の質及び量並びに交渉力の格差がある当事者間で締結される契約に関して、その格差を考慮すべきであるとの項目がありました。

諸外国においても、ドイツにおいては、二〇〇〇年の民法改正によって民法に消費者概念が導入され、消費者に関する規律が民法典に置かれることになりました。また、スイス、イタリア、オランダなどでは、そもそも民法と商法の区別がなく、同一の法典に規定が置かれているとのことであります。

民法は私法の一般法であるため、全ての人に区別なく適用されるルールのみを規定すべきであるとの考えもあると思いますが、民法制定以来百二十年間の社会経済の変化の一つとして、市民社会の構成員の多様化も挙げられるのではないでしょうか。現代社会において消費者は現実に存在しており、消費者と事業者の間には情報の質及び量並びに交渉力の格差があります。これらに着目し、消費者の利益擁護を図ることを目的とする消費者契約法という法律ありますが、私法の一般法である民法に消費者概念を明記するべきだと考えます。

なぜ消費者概念の導入が改正の対象から外れたのでしょうか。また、今後、消費者概念を民法に導入することを検討する予定があるのかについてもお伺いをいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

法制審議会におきましては、市民社会の構成員が多様化し、構成員の間には経験、知識などにおいて格差が生じていることなどから、消費者の概念を民法に取り入れるかどうか、取り入れる場合にこれらの概念をどのように定義するか、取り入れる場合にどのような規定を民法に設け、どのような規定を特別法に委ねるのかなどについて議論がされました。

しかし、民法は私法の一般法であり、そのことを踏まえますと、取引当事者の情報や交渉力の格差の是正を図るなど、消費者の保護、それ自体を目的とする規定を設けるのであれば、特別法である消費者契約法などによることが基本になるものと考えられます。そこで、改正法案におきましては、消費者の概念を民法に取り入れるなどの改正は行わないこととしたものでございます。

今後の検討についてですが、このように、御指摘の問題は民法と特別法との間の役割分担に関わる問題でありまして、現時点では更なる改正を想定しておりませんが、いずれにいたしましても、法務省としては、改正法案の施行後の状況を注視した上で、更なる民法改正の必要性について検討してまいりたいと考えております。

糸数慶子君

まだ通告した部分もございますけれども、時間が参りましたので、次回に回したいと思います。

ありがとうございました。