国政報告

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民法(債権) 法定利率、中間利息控除、消滅時効、保証

第193回国会 2017年5月9日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

前回は民法全体についてお尋ねいたしましたが、本日は民法の審議の第二回目ということで、個別の問題について質問したいと思います。

まず、法定利率について伺います。

法定利率は、今まで百二十年以上ずっと五%だったのが、今回三%に引き下げられることとなります。長く続く低金利時代において三%というのはまだ高いように思われますが、新しい法定利率を三%とした理由をお尋ねしたいと思います。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

現行法の第四百四条は、その制定当時の市中におけます一般的な貸出金利を前提として法定利率を年五%といたしました。当時も、言わば年五分というのがそういう意味では普通、当然であるという理解の下でそのような定めが置かれたようでございます。

しかし、その制定以来約百二十年もの間見直しがされていないために、昨今の超低金利の情勢の下では法定利率が市中金利を大きく上回る状態が続いております。しかし、法定利率が市中金利を大きく上回っておりますと、これは法定利率が機能する場面といたしますと、債務者が支払うべき利息、これは合意で定めていない場合に当然定まるのが法定利率でございますので、債務者が支払うべき利息ですとか、あるいは遅延損害金の額が著しく多額となる一方で、損害賠償額を算定する際の中間利息の控除の場面では、これも法定利率が機能する場面とされておりますので、不当に賠償額が抑えられるなど、当事者間の公平を害する結果となっているとの指摘がされているところでございます。そこで、現在の市中金利の水準に合わせて法定利率を引き下げる必要があると考えられたわけでございます。

市中金利の指標には様々なものがございますが、貸金債権の利息を算定する場面ではもちろんのこと、金銭債務の遅延損害金を算定する場面でもほかから金銭を調達するときの利息分が主な損害として想定されるということから見ますと、法定利率の引下げ幅の検討に当たりましては、これは預金金利などではなく貸出金利の水準を参照すべきであるというふうに考えられます。また、その際には、法定利率の適用場面は様々でありますため、借り手が大企業や中小企業である場合のほか、一般消費者である場合の水準も広く考慮に入れる必要があると考えられます。

さらに、法定利率の引下げの際には、遅延損害金の額が低くなり過ぎると、これは債務の不履行を助長する結果ともなりかねませんことや、やはりこれまで百二十年にわたって年五%で実務運用がされてきたこととのバランスも考慮する必要があろうかというふうに考えております。

そこで、改正法案におきましては、以上の様々な事情を総合的に判断するとともに、簡明な数値とする必要性なども勘案いたしまして、法定利率を年三%に引き下げるということとしたものでございます。

糸数慶子君

今回の改正で法定利率が三%に引き下げられるとともに金利の変動制が導入されることとなるわけですが、この金利変動の仕組みについて具体的にお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

御指摘いただきましたとおり、改正法案におきましては、法定利率を引き下げるということにとどまりませんで、金利の一般的動向を示す一定の数値を指標といたしまして、その数値が大きく変動した場合に法定利率をその変動に合わせて緩やかに上下させる変動制を採用することとしております。

具体的な内容でございますが、国内銀行が全ての融資の際に付した短期貸付けに係る約定金利の平均値として日本銀行が公表しております貸出約定平均金利というものがございますので、この貸出約定平均金利を指標といたしまして、その過去五年分の平均値を基準割合と位置付けた上で、法定利率の見直しはこれは三年に一回行うこととしておりまして、かつ、その際も、前回の変動時と比較して基準割合に一%以上の変動があった場合にのみ一%刻みの数値で、すなわち、これは一%未満の端数があった場合にはそれを切り捨てるという前提で法定利率の変動が生ずるようにしております。

その上で、この基準割合については、三年をもって一期とされるそれぞれの期の初日の属する年の六年前の年の一月から前々年の十二月までの合計五年、六十か月分になりますが、六十か月の短期貸付けの平均利率の合計を六十で除して計算しまして、これをその期の基準割合として法務大臣が告示することとしております。このような定めを置きまして、法定利率の変動の制度を設けたということでございます。

糸数慶子君

法定利率の変動の際に用いられる基準割合は短期貸付けの平均利率の平均値を用いることになるわけですが、この短期貸付けの平均利率は具体的にどのような金利のことをいうのでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

短期貸付けの平均利率とは、具体的には、これは国内銀行が新規に短期、すなわち約定時の貸出期間が一年未満で貸付けを行う際の金利の平均値でありまして、日本銀行が公表している数値であります。この対象となる国内銀行には、都市銀行、それから第一地銀、第二地銀、信託銀行などが含まれているものでございます。

糸数慶子君

三%というこの法定利率は、第四百四条第二項に規定されることとなるわけですが、法定利率が三%から変動した場合、新しい利率はどこに規定されることになるのでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

改正法案では、当初の法定利率を三%と定めます。これは四百四条の二項でございます。その上で、法定利率の変動の仕組み自体を、先ほど申し上げました三年ごとに見るというようなことなどの仕組み自体を規定しておりまして、他方で、その変動後の数値自体は将来の不確定な数値に基づいて算出されるものでありますため、現時点では当然ながら具体的なものとして規定するわけではございません。

実際に法定利率が変動する場合には、法務省といたしましては、変動後の法定利率がどのようなものとなるのかを国民各層に対して、これはもう非常に重要な点でございますので、十分に周知していくという所存でございます。

糸数慶子君

この法定利率は、不法行為に基づく損害賠償請求権の遅延損害金の算定に用いられる等、重要な意味を持っているというふうに思います。民法を見ただけでは法定利率が分からないというのは、これは国民一般に分かりやすい民法という観点から問題があるのではないでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

法定利率の数値は関係者間の利益対立が先鋭化する事柄でありますために、合理的な変動の仕組み、これをあらかじめ法律で定めておきまして、それに従って機械的に数値を変動させることにより、社会全体として法定利率の予測可能性を高めるというのがより適切であると考えられたわけでございます。そこで、改正法案では法定利率の変動制を採用しております。法定利率の変動制を採用する場合には、変動後の法定利率は、これは一律には定まらないというのが変動制の意味でございますので、その利率について民法中に具体的な数値として規定することは、これは困難と言うほかないところでございます。

もっとも、改正法案の仕組みの下では、法定利率が変動することが確定してから現に変動するまでの間には一年程度の期間の猶予がございます。これは、周知期間としてその分を取ることが前提でございまして、そのため、実際に法定利率が変動する場合には、法務省としては、この猶予期間内に、一年程度の期間の猶予がございますので、十分な広報を行いまして、変動後の法定利率がどのようなものとなるのかを国民各層に対しまして十分に周知していきたいというふうに考えております。

糸数慶子君

次に、中間利息控除についてお尋ねいたします。

不法行為等によって人が亡くなった場合、被害者の逸失利益を算定するに当たり、将来得たであろう収入を現在価値に換算するために利息相当額を除外することとされています。この中間利息控除といい、新しく第四百十七条の二に規定が設けられることになっていますが、同条によりますと、利息相当額を計算するのに用いる利率は法定利率となっていますが、この利率を法定利率とした理由をお聞かせください。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

まず、中間利息控除に用いる率を法定利率とした理由でございますが、これは基本的に、やはり判例が大きな意味を持つものというふうに考えております。

最高裁の判例は、これは平成十七年六月十四日のものでございますが、将来において取得すべき利益又は負担すべき費用を現在価値に換算するために控除すべき、これがいわゆる中間利息の考え方でございますが、その中間利息の割合については法定利率の割合によらなければならないものとしております。これが平成十七年の判例の基本的な内容でございます。

この判例は、年五%の固定制を、もちろん現行法の下でございますので年五%の固定制を前提としたものでございますため、法制審議会の中での審議の過程では、法定利率を引き下げて変動制に改める場合であっても、中間利息の控除については改正後の変動制の法定利率を適用せずに現状の年五%を維持するという考え方もございました。

しかし、遅延損害金の算定などに用いられます法定利率を引き下げつつ中間利息控除に使用する利率のみを現状維持とするのは、不法行為の被害者の請求可能な金額がこれは単純に減少するということになりますので、こういったことを考慮いたしますと、関係者間の公平に欠ける面があって、改正法案を検討する過程で行ったパブリックコメント手続においても同様の指摘が多数寄せられたところでございます。

そこで、改正法案の内容でございますが、改正法案においては、法定利率の適用場面に関する現状の制度の枠組みを維持することといたしまして、中間利息の控除を行う際には、損害賠償の請求権が生じた時点を基準時として、その時点における法定利率を適用するということとしたものでございます。

糸数慶子君

中間利息控除については、利率が低いほど控除される金額も少なくなり、被害者が受け取ることのできる金額も大きくなるわけですから、より被害者保護となります。中間利息控除の算定に用いる利率に市場金利よりも高い法定利率を採用することは被害者救済の視点、観点からは酷であり、利率の高さは切実な問題となります。

被害者保護のため中間利息控除の利率は法定利率より低くするべきであるというふうに思いますが、この点についての御認識を伺います。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

先ほど申し上げましたとおり、改正法案におきましては、法定利率の適用場面に関する現状の制度の枠組みを維持することといたしまして、中間利息の控除を行う際には、損害賠償の請求権の発生時点、例えば交通事故の場合を例に取ってみますと、そういった交通事故の発生した時点を基準時といたしまして、その時点における法定利率を中間利息控除の場面で適用するということとしております。

被害者の保護の観点から見ますと、中間利息控除に用いる利率については運用利率を参照することとし、法定利率よりも更に引き下げるべきではないか、委員の御指摘ございましたような御意見があったのも承知しております。

もっとも、法定利率は、交通事故の損害賠償に関して見ても、一方で遅延損害金の割合に用いられ、他方で逸失利益の中間利息の控除に用いられるなど、その適用場面は一様ではございません。したがって、このうち、中間利息控除に用いる利率のみを引き下げることは、これはかえって不公平感を増すことにもなります上、その引下げ幅によっては損害賠償額が今度は著しく高額化し過ぎるという問題も生じまして、現在の損害賠償実務を混乱させるおそれもございます。

また、運用利率を参照するといいましても、厳密に言えば運用主体の属性や状況、想定される運用期間などによって異なるものでございまして、その制度趣旨を踏まえた適切な数値の設定が極めて困難であるという問題もございます。

そこで、改正法案におきましては、以上申し上げましたような点を考慮いたしまして、中間利息の控除を行う際の利率といたしましては法定利率を用いることとしたものでございます。

糸数慶子君

次に、消滅時効についてお尋ねいたします。

今回、消滅時効の規定が改正され、時効の起算点として、債権者が権利を行使することができることを知ったときからという債権者の主観による主観的起算点が導入されました。改正後は、原則として主観的起算点によることとなりますが、主観的起算点は客観的起算点と比較すると不明確であると思われます。

主観的起算点を原則とすることとしたその理由をお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

消滅時効の制度の見直しの点について、まず御説明しておきたいと思います。

現行の民法第百七十条から第百七十四条まで、それから商法五百二十二条では、五年あるいは三年、二年又は一年といった短期間の消滅時効の特例を定めております。しかし、これらの規定は、その適用の有無の判断が困難であったり、社会経済情勢の変化に伴って合理性の説明が困難なものとなったりしております。そこで、これらの短期消滅時効の特例を廃止した上で、基本的な時効期間については統一化を図り、シンプルなものとすることが合理的であると考えられたわけでございます。これが短期消滅時効の特例の廃止という問題でございます。

もっとも、その特例を単純に廃止するだけでありますと、例えば現在二年とされる生産者や卸売商人の売買代金債権の時効期間が今度は十年に大きく延長されるということになるわけですが、これに対しましては、法制審議会において関係諸団体からヒアリングを行った際に、領収書の保存費用など弁済の証拠保全のための費用が増加するおそれがあるという懸念なども示されました。さらに、現在五年で時効が完成いたします商行為債権につきましても、商取引の実情として多数の取引債権に適用されており、現在の規律を前提として安定した実務運用が行われているため、改正の影響を極力抑える必要があるとの指摘が関係各界から強く寄せられました。

これらの指摘等を踏まえますと、短期消滅時効の特例を廃止して時効期間の統一化を図るには、現行法では権利を行使することができるときという、これは客観的な基準でございますが、そのときから十年とされる原則的な時効期間そのものをより短くすることを検討する必要があったわけでございます。

他方で、権利を行使することができるときから十年という原則的な時効期間を、商行為債権の消滅時効を参考にして仮に権利を行使することができるときから五年とすることに対しましては、例えば、今度は不当利得に基づく債権ですとか安全配慮義務違反に基づく損害賠償債権など、権利行使が可能であることを容易に知ることができない債権の債権者が大きな不利益を被るとして、この点に対しましても強い反対がございました。

以上の問題状況を踏まえ検討が進められました結果、現行法の、権利を行使することができるときからの十年という現行法の時効期間を維持した上で、権利を行使することができることを知ったときから五年の時効期間を追加し、そのいずれかが完成した場合には時効により債権が消滅するとの案が大方の賛同を得るに至ったわけでございます。

この債権者の認識に着目した五年の時効期間の導入により、権利行使が可能であることを容易に知ることができない債権の時効期間が短くなることを避けながらも、その余の多くの債権については時効期間が短くなり、改正の影響が抑えられるものでございます。そこで、改正法案においても、債権の消滅時効に権利を行使することができることを知ったときから五年の時効期間を追加することとしております。

こういった起算点の異なる短期と長期の権利消滅期間を設ける法制は、比較法的に見ましても、ドイツですとかフランスなどの諸外国においてもあるところでございます。

糸数慶子君

今回の改正で消滅時効が十年間から五年間になることにより、施行日を挟んで、施行日前の債権の時効は十年間で施行日後の債権の時効は五年間であるという逆転現象が生ずることになるわけですが、この逆転現象による社会の混乱も予想されますが、問題はないのでしょうか。また、これに対する経過措置等は講じているのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

債権の消滅時効一般についての時効期間に関する経過措置におきましては、債権の発生時点、ただし、法律行為に基づくものにつきましては法律行為の時点を基準時として、改正法の施行後に発生した債権に改正法が適用されることとしております。要するに、行為の時点を基準時とした上で改正法の施行後に発生した債権に改正法が適用されると、これが基準でございます。改正法の附則の第十条四項に定めるところでございます。

したがいまして、御指摘がありましたとおり、改正法案によって消滅時効の期間が短縮される債権については、債権の発生時点を改正法適用の基準時とすることにより、改正法案の施行直後に発生した債権の方がその施行直前に発生した債権よりも先に時効消滅するという事態、これも生ずるわけではございます。しかし、債権者といたしましては、その債権が生じた時点における消滅時効期間を前提として時効管理などを行うのが通常であると考えられるため、債権の発生時点を改正法適用の基準時といたしましてもその予測や期待を害することはないと考えられます。通常の時効管理というのは発生時を基準と考えると思いますので、その点では特段の問題はなかろうということでございます。

また、債権が時効消滅することについて利害関係を有します第三者にとりましても、客観的に明確な債権の発生時点を基準時とすることが合理的であると考えられるところでございます。このように、債権の時効消滅の利害関係者の予測可能性の観点からは、債権の発生時点を改正法適用の基準時とするのが合理的でございます。

そして、その結果として、改正法案の施行後に発生した債権の方がその施行前に発生した債権よりも先に時効消滅するという、先ほど逆転現象と御指摘がございましたが、そういった事態は生ずることにはなるわけですが、これによって予想外の不利益を被る者は想定し難いということを考慮いたしますと、特段の問題はないものと考えられるところでございます。そのため、改正法案の施行直後に発生した債権の方がその施行直前に発生した債権よりも先に時効消滅するという委員御指摘のような事態を防止するような経過措置は特に設けることとはしておりませんが、この点につきましては、法律の変更によって社会に混乱を招くことのないように十分に周知を図ることとしたいというふうに考えております。

糸数慶子君

今回、商事消滅時効も廃止され、民法の消滅時効に統一されることになっています。商事消滅時効は客観的起算点から五年間でしたが、民法では主観的起算点から五年間、客観的起算点から十年間で時効となります。つまり、商事消滅時効については、民事とは反対に改正前とそして同じ時効期間かそれより長くなることになりますが、その影響はどの程度あるのでしょうか、また、これについて問題はないのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

いわゆる整備法案におきましては、民法中の職業別の短期消滅時効の規定などの削除と併せまして、商法第五百二十二条、商事の消滅時効に関する規定でございますが、これを削除することとしておりまして、その結果、商行為によって生じた債権についての消滅時効期間は、改正後の民法の消滅時効期間の規律により、「権利を行使することができることを知った時から五年間」、あるいは「権利を行使することができる時から十年間」のいずれか早いものの経過によって消滅するということになります。要するに、一般原則のとおりになるということでございます。

このように商事消滅時効の規定を廃止した理由でございますが、例えば銀行の貸付債権は五年の商事消滅時効が適用されるわけですが、信用金庫、これは商人ではないというふうにされておりますので、信用金庫の貸付債権には民法の十年の消滅時効が適用されるというのがこれまでの仕切りでございました。時代の変化に伴いまして、商行為によって生じたか否かにより時効期間に差が生ずることを合理的に説明することが、今の銀行ですとか信用金庫の例から見ましても明らかなように、なかなか合理的に説明することが難しくなっていること、さらに、商事消滅時効については民法の時効とどちらが適用されるのかが争いとなることも多く、その判断も容易でない事案が少なくないこと、こういった点を踏まえたものが消滅時効の規定の廃止の理由でございます。

もっとも、商事債権につきましては、基本的に当事者間の契約に基づいて発生するものがほとんどでありまして、客観的に権利を行使することができるときには権利を行使することができることを知っているのが通常であると考えられます。要するに、客観的な起算点と主観的な起算点で大きな違いは出てこないだろうというところでございます。したがいまして、商事債権に関する取扱いについては、主観的な起算点から考えますと、実質においては大きな変更はないと考えられるわけでございまして、その影響は小さいものと私どもは認識しているところでございます。

糸数慶子君

それでは、保証について伺います。保証については既に多くの質問がなされていますが、改めて伺います。

第三者保証については公正証書の作成が必要とされ、保証人の保護が図られていますが、保証の意思を確認する保証意思宣明公正証書を作成した後、そのまま執行認諾文言付きの公正証書が作成されてしまう、その可能性があります。執行認諾文言付公正証書は債務名義となるため、裁判が行われることなく保証人に対して強制執行することが可能となります。これは保証人保護の観点から大いに問題があると思われますが、この点についての認識及び対策について伺います。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

まず、執行認諾文言付きの公正証書による問題ということでございますが、平成十六年頃、本人に無断で作成された委任状が利用されて、本人が知らない間に執行認諾文言付きの公正証書が作成されるといった濫用事例の発生が指摘されたことがございます。執行認諾文言が付された保証契約の公正証書は、これは必ずしも本人が公証役場に出向いて作成する必要はなかったため、代理人の嘱託によっても作成することができますので、こういった点をもとといたしまして今申し上げましたような濫用事例の発生の問題が生じたものでございます。

この問題につきましては、公証人法施行規則の改正によって、代理人の嘱託により公正証書が作成された場合には公正証書作成の事実を書面により本人に通知しなければならないことといたしましたことに加えまして、執行認諾文言が付されている場合にはその意味を通知するという特別の様式で、執行認諾文言というのはこういうもので、強制執行を掛けられますよということを説明する、そういうこととしております。そういった対応は既にしたところでございます。

また、改正法案において作成が求められる保証意思確認のための公正証書は、保証人本人が自ら公証人に直接口頭で必要な事項について述べることなどが法律上要求されておりますため、公証役場への出頭が必要でございます。したがいまして、保証人の意思確認のための公正証書を作成する際はもとより、これと併せて、執行認諾文言付きの保証契約の公正証書を仮に作成するといたしましても、その際には問題の発生を防止する措置がとられている状況にございます。

法改正後は、公証人において保証人になろうとする者の意思確認を厳密に行うことにより、委員の御懸念のような事態はこれまで以上に防ぐことができるものと考えられるところでございます。

法務省といたしましては、今後も、公証人による適切な直接の意思確認、これが実施されるよう十分監督をしてまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

時間が参りましたので終わりますが、通告いたしました件に関しては、また次回に回したいと思います。

ありがとうございました。