国政報告

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民法(債権) 定型約款、法定利率、暴利行為、中間利息控除、消費者概念、民法(家族法)改正

第193回国会 2017年5月23日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

十六日に質問できなかった定型約款に関して、まず質問したいと思います。

定型約款については、個別に相手方と合意をすることなく内容を変更できるとされています。これも、効果が重大であるにもかかわらず、要件は大変抽象的であります。定型約款を変更できる要件の一つに定型約款の変更が相手方の一般の利益に適合するときとありますが、相手方の一般の利益というのは具体的にどのような場合を想定しているのか、お答えいただきたいと思います。

また、もう一つの要件である、変更の必要性、変更後の内容の相当性などの変更に係る事情に照らして合理的なものというのも極めて抽象的であります。こちらについてももう少し具体的に、どのような判断基準となるのか、お示しいただきたいと思います。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

改正法案においては、定型約款準備者が相手方と合意をすることなく一方的に契約の内容を変更する、いわゆる定型約款の変更ですが、その要件といたしまして、定型約款の変更が相手方の一般の利益に適合するとき、これは一項一号でございます、それから、変更が契約の目的に反せず、かつ、変更に係る事情に照らして合理的な変更であるときであることを要するものとしております。こちらの方が二号でございます。

このうち、一号の相手方の一般の利益に適合するときというのは、特定の相手方の利益に適合することでは足りず、変更の内容が相手方全員の利益に適合する場合を意味するものでございます。この場合に相手方の合意がなくても一方的に契約の内容を変更することができるということといたしましたのは、要するに、相手方の一般の利益に適合するときであれば、通常、相手方が変更に合意すると言えるからでございます。この具体例としては、例えば、継続的に一定のサービスを有料で提供する契約において、顧客である相手方が支払義務を負う金額を減額する場合のほか、定型約款準備者が提供するサービスの内容を拡充するような場合、こういったものが想定されるところでございます。

次に、変更が契約の目的に反せず、かつ、変更に係る事情に照らして合理的な変更であるとき、これを定型約款の変更の要件とした理由でございますが、法令の変更や経済情勢、経営状況に変動があったときなどに、それに対応して定型約款を変更する必要性があるため、契約の目的に反しないことなどの厳格な要件の下でこのような変更も許容すべきものと考えられるからであります。

そして、変更に係る事情に照らして合理的な変更であるときという要件については、変更に係る事情といたしまして、変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容が例示されていることからも明らかなとおり、これは、事業者側の事情のみならず、相手方の事情も含めて総合的に考慮した上で客観的に見て合理的であると言えなければならないという趣旨でございます。したがいまして、相手方の事情として、変更後の契約内容が顧客にどのような不利益をどの程度与えるのか、あるいはその軽減措置が図られているのか、軽減措置の効果がどのようなものであるのかといったことを考慮することは当然のことでございます。

以上でございます。

糸数慶子君

定型約款のこの変更については、定型約款準備者が変更後の定型約款の内容及びその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならないというふうに規定されています。しかし、今なおインターネットを利用できない高齢の方も大勢いらっしゃるわけですが、そういう方々に約款の変更を周知するのはその他適切な方法ということになるわけですが、具体的にはどのような方法になるのでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

まず、改正法案の説明でございますが、定型約款の変更をするには、五百四十八条の四第一項各号に掲げます先ほど申し上げました実体的な要件のほか、定型約款準備者は、定型約款を変更する旨と変更後の定型約款の内容や変更の効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならないこととされております。そして、五百四十八条の四の第三項では、定型約款の変更が相手方一般の利益に適合する場合に当たらない場合において、効力発生時期が到来するまでにこの周知をしなかったときには、相手方保護の観点から変更の効力は生じないこととしております。

この周知でございますが、周知というのは広く知らせることを意味するものでございます。相手方にインターネットを利用できない方が含まれている場合であっても、その方も他の者を介するなどして変更後の定型約款の内容などを知り得るところですので、直ちにインターネットの利用以外の方法によることまで必要となり、例えば書面などによる個別の通知が必要になるわけではないと考えられます。また、この定型約款の変更は契約の締結後に行われるものであるため、相手方の住所などが判明しないケースもありますが、そのようなケースにおいてはインターネットを利用した周知は安価で効果的なものとして評価をすることも可能でございます。

もっとも、定型約款の変更には多様なものが含まれ得るところから、インターネットを利用した周知では足りないケースもあるものと考えられます。例えば、顧客の不利益を軽減する措置がとられており、その措置があるからこそ定型約款の変更が合理的であると言うことができるといったケースにおきましては、顧客の年齢層などの属性などにもよるところではございますが、各顧客に個別に書面で通知をし、軽減措置を実行する機会を与えなければならないことも、こういったこともあり得るものと解されるところでございます。

このように、定型約款の変更に当たりましては、個別の事案に応じて適切な方法による周知を行うことが求められているものでありまして、その趣旨を十分に周知してまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

その他の適切な方法にということで今お伺いしたわけですが、インターネットを利用できない方々に対する個別の通知をきちんとやっていただくということで受け止めてよろしいでしょうか。

政府参考人(小川秀樹君)

もちろん、先ほど申し上げましたように、個別の事案によるわけですし、内容などによるわけですが、いずれにいたしましても、適切な通知が行われるように私どもとしても十分周知してまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

次に、十一日の参考人質疑で参考人から伺った御意見に関連してお尋ねしたいと思います。

まず、本法案の提案理由の一つである国民一般に分かりやすいものとするということについてお伺いいたします。

鳥畑参考人は、債務者保証の部分について、以前に比べて分かりやすくなったかもしれないが、国民一般にとってはまだ難しいままではないかと述べられました。これは、保証の規定に限らず、民法を国民一般に分かりやすいものとするために更なる検討が必要であると思われますが、それに対する御認識を伺いたいと思います。

政府参考人(小川秀樹君)

まず、裁判の実務におきましては、多数の事件について民法を解釈あるいは適用する中で膨大な数の判例が蓄積されてきております。さらに、学説なども、確立した学説上の考え方が実務で広く受け入れられ、言わば不文のルールとして解釈の前提となっているものも多くございます。しかし、それらの中には、条文からは必ずしも容易に読み取ることのできないものも少なくないため、法律の専門家でない国民一般にとっては民法が定める基本的なルールが分かりにくい状態になっているという指摘がございます。

そのため、改正法案におきましては、民法のうち取引社会を支える最も基本的な法的インフラであります契約に関する規定を中心に、社会経済の変化への対応を図るための見直しを行うだけでなく、これに加えて国民一般に分かりやすいものとする観点からの見直しも行うこととしたものでございます。

民法を国民一般に分かりやすいものとするとの観点は重要でございまして、この点は、今後とも、社会経済の変化を踏まえて、裁判例や学説上の考え方の一つであったものが実務に広く受け入れられて確立したルールとなり、それが基本的なルールに該当すると判断するに至ったときはその明文化を検討することは、これはあり得るというふうに考えております。

もっとも、民法の債権関係の規定は取引社会を支える最も基本的な法的インフラであることから、その規定内容の見直しは取引社会に多大な影響を及ぼすおそれがあるなど、その改正に伴う社会的なコスト、これも大きなものとなり得るところでございます。

そのため、法務省といたしましては、社会経済の変化への対応の必要性と改正に要するコストを勘案しながら、改正法案の施行後の状況を注視した上で更なる民法改正の必要性について検討してまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

次に、個人保証についてお伺いいたします。

山野目参考人は、今回改正対象とならなかった項目のうち改正対象とすべきであったと思われる項目についての私の質問に対して、個人保証の出口に対するコントロール、つまり、今回規定された公正証書の作成という入口のコントロールを擦り抜けて保証せざるを得なくなった方についての責任の制限を挙げられました。山野目参考人は、この個人保証の出口コントロールについて、今後も政府において引き続き必要な見直しを考えていただきたいと述べられています。

この点についての政府の考えをお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

まず、法制審議会におきましても、個人保証人の責任を事後的に減免する法的な仕組みを設けることの当否、これが検討されたものと承知しております。これに対しましては、保証債務の額が保証人の資力を超えている場合には、その超過部分は元々回収することができないのであるから、債務の減免などを認めても債権者を害することはないということ、それから、負担している債務が保証債務のみである者は、このような仕組みを導入することによって破産などの手続によらずに生活再建を図ることが可能となることなどを理由といたしまして賛成する意見もございました。

しかし、他方では、破産などの手続によらずに裁判所が保証人の資産状況を適切に把握することは困難であり、保証債務が保証人の資力に比して過大となっているかどうかの基準の設定も容易ではないこと、それから、保証人の責任が事後的に減免されることがあるとなると、その可能性を念頭に融資をせざるを得なくなり、主債務者の信用を補完するという保証の持つ機能が低下し、その結果、円滑な資金調達に支障が生ずるおそれがあるといった理由を挙げて、このような仕組みに反対する意見も強く主張されたところでございます。

法制審議会におきましては、このような議論を経ました上で、円滑な資金調達に支障が生ずる懸念を払拭することができないことを重く見て、最終的には保証人の責任の範囲を事後的に制限する法的な仕組みを設けることは見送ることとされたというふうに承知しております。

これを踏まえまして、改正法案においても個人保証人の責任そのものを限定する規律を設けるとはしておらないわけでございまして、保証人の責任を強制的に減免するなどして事後的に制限する法的な仕組みの創設については慎重な検討が必要であるものというふうに認識しているところでございます。

糸数慶子君

それでは、これまで質問いたしましたものの政府の答弁に対して疑問が残った内容について再度お伺いをしたいと思います。

まず、法定利率の表示についてお伺いをしたいと思います。

法定利率が三%から変動した場合の新しい利率の表示についての質問に対し、民法中に規定するのは困難であるが、変動後の法定利率について十分に周知するという答弁がございました。

確かに、法定利率が変動するたびに民法改正をするのは難しいことは分かります。しかし、今の仕組みでは、法定利率が変動した後も条文上は改正後の最初の法定利率である三%が残ることになり、変動後の利率は、法務省が予定している周知によらない場合は基準割合を見て判断しなくてはなりません。

最初の利率変動の場合はそれでもまだいいでしょうが、本改正が施行されたとして、何十年も経過すると、その間に何回か利率が変動することがあり得るわけです。その場合、最初の基準割合から見ていくしか方法がなくなるわけですが、変動後の法定利率は民法上に直接規定しなくても法務大臣が告示するということも可能であります。そうすれば、現在の法定利率は明白ですし、また変動のその判断についても変動時以降の基準割合のみを参照すれば可能となります。現に、法定利率変動の判断基準となる基準割合は法務大臣が告示することとされています。

現在想定されている法定利率の変動を法務省による周知のみに頼る方法を見直して、変動後の法定利率についても告示等をするつもりはないでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

改正法案では、当初の法定利率を三%と定めた上で、法定利率の変動の仕組み自体を規定しております。他方で、その変動後の数値自体は将来の不確定な数値に基づいて算出されるものでございますので、法律では具体的にこれを規定しておりません。そして、委員御指摘のとおり、改正法案では、法務大臣が基準割合を告示、告示は国の場合には官報によるのが通常でございますが、基準割合を告示することとはしておりますが、変動後の法定利率自体を告示することとはしておりません。

もっとも、改正法案の仕組みの下では、法定利率が変動することが確定してから現に変動するまでの間、この間に一年程度の期間の猶予がございます。そのため、実際に法定利率が変動する場合には、法務省といたしましては、この猶予期間の中で、官報によってする周知にとどまらず、より国民に伝わりやすい方法によって、これはもう本当に十分な広報を行いまして、変動後の法定利率がどのようなものとなるのかを国民各層に対して十分周知していくという所存でございます。

糸数慶子君

次に、中間利息控除の利率についてお尋ねいたします。

中間利息控除は、用いる利率が低いほど被害者保護になるため、法定利率より低い利率とするべきであるという考えについて、辰巳参考人は、損害賠償として適正なものを保障するためには中間利息控除と法定利率は必ずしも同一にする必要はなく、分けて考えてもいいのではないかと述べられております。  被害者の逸失利益を現在価値に割り戻すと考えますと、今の低金利において三%でも高いと思われますが、改めて法務省の認識をお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

まず、改正法案の説明でございますが、改正法案におきましては、法定利率の適用場面に関する現状の制度の枠組みを維持することといたしまして、中間利息の控除を行う際には、損害賠償の請求権の発生時点、例えば交通事故の場合でありますと事故の時点を基準時といたしまして、その時点における法定利率を適用することとしております。

委員御指摘のとおり、被害者保護の観点からは、中間利息控除に用いる利率については、法定利率よりも更に引き下げるべきではないかとの御意見があったことは承知しているところでございます。もっとも、法定利率は交通事故の損害賠償に関してみても、一方で遅延損害金の割合に用いられ、他方で逸失利益の中間利息控除に用いられるなど、その適用場面は一様ではございません。したがいまして、このうち中間利息控除に用いる利率のみを引き下げることはかえって不公平感を増すことにもなる上、その引下げ幅によっては損害賠償額が著しく高額化し過ぎるという問題が生じまして、現在の損害賠償実務を混乱させるおそれもございます。

さらに、運用利率を参照するといっても、厳密に言えば、運用主体の属性や状況、想定される運用期間などによって異なるものでございまして、その制度趣旨を踏まえた適切な数値の設定は極めて困難と言うほかございません。

そこで、改正法案においては、中間利息の控除を行う際の利率としては法定利率を用いることとしたものでございまして、このことには合理性はあるものというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

それでは、暴利行為についてお伺いしたいと思います。

暴利行為の規定を設けることについては、小川民事局長より、この要件の具体化が困難である旨の答弁がありました。また、高須参考人からも同様の意見が述べられました。

しかし、一般的に暴利行為と言われる、相手方の困窮、さらに経験不足等に乗じて著しく過大な利益を得ることを目的とする行為については、民法第九十条の公序良俗という一般条項ではなく、より具体的な規定を設けるべきであるというふうに思います。高須参考人も、更に議論を重ねて内容を提示できればよかったというふうに述べられていらっしゃいます。

暴利行為についての規定を設けることについて、今後も検討を続けるべきであるというふうに思いますが、見解をお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

法制審議会では、古い判例を参考といたしまして、暴利行為を無効とする明文の規定を設けることが検討されました。

しかし、何をもって暴利行為というかを抽象的な要件で規定すると取引への萎縮効果が生ずるとして、経済団体を中心に明文の規定を設けることに反対する意見がございました。また、最近の下級審裁判例では、暴利行為として無効となる範囲が広がりつつあるんだという見方もございました。

すなわち、最近の下級審裁判例を分析し、契約を無効とするかどうかの判断に当たっては、利益の絶対的な大きさだけでなく、相手方がそのような負担を課せられる理由の存否のほか、相手方の財産状態、さらには主観的態様なども考慮しているとして、著しく過当な利益という要件ではなく、不当な利益という要件とする方がより適切であるという指摘もございました。

このように、無効とされるべき暴利行為の内容が確立しているとは言い難い現状において、このような近時の裁判例をも踏まえて、その要件を適切に設定することは困難でありまして、必ずしも予測可能性を確保するという目的を達することはできない上、現時点で一定の要件を設定することで将来の議論の発展を阻害しかねないということも考えられたわけでございます。

そこで、改正法案におきましては、法制審議会における議論の状況を踏まえ、暴利行為に関する規定を設けることとはせず、引き続き、個別の事案に応じた現行法第九十条の解釈に委ねることとしたわけでございます。

今後のことですが、このように、暴利行為の明文化については、暴利行為という法理自体を否定的に評価する立場だけでなく、肯定的に評価する立場からもあるべき要件を具体的に設定することの困難さが指摘されているというふうに言えようかと思います。

したがいまして、暴利行為に関する明文の規定を設けるには、少なくとも、具体的な事案を前提とした最高裁判例や下級審裁判例が蓄積し、これについての学説上の議論が積み重ねられて、暴利行為についての適切な要件設定の議論が可能となることが必要ではないかと考えられるところでございます。

以上申し上げましたように、暴利行為については、引き続き個別の事案に応じた現行法第九十条の解釈に委ねることとした判断には、現状においても合理性があると考えられ、暴利行為を明文化することについては、これは、今後の実務運用の進展などを踏まえました上で慎重な検討が必要になるものというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

改めてやはり暴利行為についての規定を設けることについて今後も検討を続けていくという御答弁をいただきましたので、改めて御検討を続けていただくということを申し上げたいと思います。

次に、消費者概念の民法典への導入についてお伺いいたします。

この点につきまして辰巳参考人は、消費者を代表とする契約弱者というものを取り込んでいくことは可能なのではないかというふうに述べられています。

民法は私法の一般法であると言われますが、消費者あるいは契約弱者に関する一般的なルールを民法上に取り入れることは可能であり、また取り入れるべきであるというふうに思いますが、この点についての御認識を改めてお伺いいたします。

政府参考人(小川秀樹君)

お答えいたします。

法制審議会におきましては、市民社会の構成員が多様化し、構成員の間には経験、知識などにおいて格差が生じていることなどから、消費者の概念を民法に取り入れるかどうか、取り入れる場合にこれらの概念をどのように定義するか、また、取り入れる場合にどのような規定を民法に設け、どのような規定を特別法に委ねるのかといった点についての議論がされたわけでございます。また、御指摘いただきましたように、このような観点からは、消費者以外の属性に基づく弱者についての特別なルールを設けることも検討の対象となり得るものと考えられるわけでございます。

しかし、民法は私法の一般法でございまして、そのことを踏まえますと、取引当事者の情報ですとか交渉力の格差の是正を図るなど消費者の保護それ自体を目的とする規定を設けるのであれば、これはやはり特別法であります消費者契約法によるなど、問題とされている弱者の属性に応じた特別法によってその保護を図るのが基本になるものと考えられるわけでございます。そこで、改正法案では、消費者や契約弱者に関するルールは設けることとはしなかったというものでございます。

以上でございます。

糸数慶子君

金田大臣にお伺いしたいと思います。今後の民法改正についてお尋ねいたします。

私、今回いろいろ御質問いたしました。そして、ほかの委員の方々からも御質問ありました。参考人の方々からも、引き続き民法の改正について検討を続けるべきであるとの意見が述べられました。例えば、山野目参考人は、「二〇〇九年の法務大臣の諮問に立ち返りますと、まず、そもそも今般の民法の見直しは、国民の日常生活や経済活動に関わりの深い契約のルールをより良いものにしようという観点から始められたものであり、この観点からの仕事はこれからも続けられなければなりません。」というふうにおっしゃっていらっしゃいます。

本法案の提出理由とされている社会経済情勢の変化、これはこれからもますます大きくなっていくというふうに思われます。今回、民法制定から百二十年という時間が経過して初めて抜本的な改正が行われるわけですが、民法を社会経済の実情に合ったものにするための努力はこれで終わるものではありません。今後、百二十年後ということではなく、必要に応じて民法の見直しを行っていくつもりはございますでしょうか。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員からのただいまの御質問にお答えをいたします。

民法制定以降これまでの間におきます我が国の社会経済情勢というものは、一つは、取引量が劇的に増大するという状況、それに取引の内容が複雑化、高度化しているという状況、あるいはその一方で情報伝達の手段が飛躍的に発展しているという状況など、様々な面において著しい変化を遂げているわけでありまして、今回の改正法案はこうした社会経済の変化に対応することを目的としているわけであります。今後も民法を社会経済の変化に対応させていくということは極めて重要であると、このように認識をいたしております。

他方で、民法の債権関係の規定というのは取引社会を支える最も基本的な法的なインフラであることから、その規定内容を変更することに伴う社会的なコストというものにも留意が必要であろうかと考えます。

そこで、法務省といたしましては、社会経済の変化への対応の必要性と改正に要する社会的なコストを勘案しながら、改正法案の施行後の状況を注視した上で、更なる民法改正の必要性について検討していくということになろうかと考えております。

糸数慶子君

今回の債権法の分野の改正でありますが、そのほかの民法総則そして物権法については、これは部分的な改正は行われたものの、全面的な改正は行われてはおりません。さらに、法制審議会から九六年に答申されました家族法分野についても部分的な改正にとどまっております。

そこで、金田大臣にお伺いいたします。

参議院厚生労働委員会で四月二十日、事実婚カップルの不妊治療費用の助成を求められた塩崎厚生労働大臣は、多様化している家族の在り方などを受け止めていかなければならない、社会はどんどん変化をして家族観も変化をしていると述べた上で、前向きに検討する意向を示されました。

かつて政府は選択的夫婦別姓制度について、国民意識の動向を把握しつつ、結婚に伴う氏の変更が職業生活にもたらしている支障を解消する観点からも選択的夫婦別氏制度について国民の議論が深まるよう引き続き努めるというふうに答弁をしていました。ところが、安倍政権になると、このことに対して賛成が増えたにもかかわらず、我が国の家族の在り方に深く関わるものであり、国民の間にも様々な意見があることから慎重な検討が必要であるというふうに後退をしております。

家族の多様化や考え方が様々あるのに選択肢を増やすことに慎重であるということは、これは一部の価値観だけを尊重し、多様化を認めないということになりますが、金田大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員の御質問にお答えをします。

まず、民法全般についてのお尋ねであります。

今回の改正対象以外の分野におきましても、民法を社会経済の変化に適切に対応させていくこと、これは重要であると、このように認識をいたしております。例えば、相続法制の分野につきましては、高齢化社会の進展あるいは家族の在り方に関する国民意識の変化といった社会情勢に鑑み、法制審議会民法(相続関係)部会の場において平成二十七年四月から調査審議が進められているところであります。今後とも、具体的な改正の必要性を見極めながら個別に見直しを検討してまいることになろうかと、このように考えている次第であります。

そして、ただいまの質問の中にございました平成八年、一九九六年の答申についての御指摘でございますが、平成八年の法制審議会答申では、この答申では、選択的夫婦別氏制度を導入すること、あるいは女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることといったことが盛り込まれたところでございました。

このうち選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、我が国の家族の在り方に深く関わる事柄でありまして、国民の大方の理解を得て行うべきものと考えておるところであります。今後も引き続き国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら、慎重に対応を検討する必要があるのではないかと、このように考えておる次第であります。

そしてまた、婚姻開始年齢につきましてでございますが、他方、平成二十一年の民法の成年年齢に関する法制審議会においても、民法の成年年齢を引き下げる場合には、婚姻適齢については男女とも十八歳とすべきであるとされたところでございます。民法の成年年齢の引下げと併せて検討する必要があるものと認識をいたしております。

民法の成年年齢を十八歳に引き下げる内容の民法改正案につきましては、現在、法案提出に向けた準備作業を進めているところでありまして、適切な時期に法案を提出したいものと考えておる次第であります。

糸数慶子君

大臣、私の質問の中身、ちゃんとお聞きになられたんでしょうか。

先ほど私が質問いたしましたのは、やはりこの大臣の答弁を伺っておりますと、一部の価値観だけを尊重している、そのように思えてなりません。今、法改正されないために、やむを得ず事実婚に至る、又は通称使用では不便だからとペーパー離婚をするカップルが増え続けています。法律婚主義といいながら、名前を名のり続けたいカップルには法律婚させない制度を放置しているというのが現状であります。残念でございます。

国連の人権条約機関から度々法改正を勧告されておりますけれども、政府は不誠実な対応を取り続けています。一方で、この条約加盟に必要だからといって、衆議院でのあの法務委員会での共謀罪の法案を強行可決をしています。条約加盟に必要だからと共謀罪法案を強行可決している状況の中で、国連からも人権の観点で、私が今質問いたしましたこの件については度々勧告を受けてもなかなか変えていかない。私は、これが人権を尊重する国家なのかと疑わざるを得ません。

やはり、国連の人権条約機関から度々法改正を勧告されております。もっともっと真摯に受け止めて、そして国民の状況に合わせて変えていく。それも、一部の価値観だけを尊重しているということは認めるわけにはいきません。どうしても今のこの状況を本当に不利益を被っている方々がいらっしゃるということも改めて申し上げたいと思います。

やはり政府の都合のいいように条約を恣意的に使っている、これが今の現実ではないかと思います。もう少し国際的にも通用するような、人権をきちんと守っていく、国連の人権条約をきちんと真正面から受け止めていく、それを是非政府は誠実に対応していただきたいということを強く申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

以上です。ありがとうございました。