国政報告

議事録議事録一覧へ

共謀罪 国際犯罪防止条約、威力業務妨害罪と組織的威力業務妨害罪、6条の2第1項の構造、6条の2第2項

第193回国会 2017年6月8日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

前回質問いたしましたが、残った部分をまず冒頭にさせていただきたいと思います。

国際組織犯罪防止条約について伺います。

政府は、この条約に加入することによって組織犯罪に関する情報の交換や犯罪人引渡しが可能になると説明していますが、これまで十六年以上この条約に加入しないことで不都合があったでしょうか。あったのであれば、その事例をお示しください。

政府参考人(水嶋光一君)

お答えいたします。

一般論として申し上げますと、まず、本条約を締結していない現状におきましては、例えば、我が国が刑事共助条約を締結していない国に対して捜査共助を要請する場合、相手国にはこれに応じる国際法上の義務はありません。

また、中央当局間で直接共助要請をするのではなく、外交ルートを通じて行うことになりますので、一定の期間を要することになっており、迅速性に欠けるという点もあります。この点に関しましては、金融活動作業部会、FATFからは、我が国が本条約を締結していないことについて、国際的な共助要請につき、外交チャンネルを通じてなされることが要求されていることは過度の負担であるという旨の指摘を受けたこともあります。

次に、本条約を締結していない現状におきましては、例えば、我が国が他国に対して逃亡犯罪人の引渡しを請求する場合、相手国との間に逃亡犯罪人引渡条約が存在しないときは外交礼譲に基づいて相手国に請求することとなり、引渡しの実効性確保が必ずしも十分とは言えません。また、相手国が容疑者の引渡しを自国の国民であることのみを理由として行わない場合であっても、相手国は当該容疑者を訴追するための手続を取る義務も負うことがないということで、犯罪人が処罰を不当に免れるおそれがあると言えます。

さらに、現状では、我が国におきましては、本条約が犯罪化を求めております重大な犯罪の合意罪に該当する罪は、重大な犯罪のごく一部の罪に設けられているにすぎません。そのため、いわゆる双罰性というものを満たさないことになりまして、重大な犯罪の合意罪に係る国際的な捜査共助や逃亡犯罪人引渡しの要請を受けても協力をすることができない場合もあり得るというふうに理解しております。

糸数慶子君

答弁は簡潔にお願いしたいと思います。

この条約については、当初毎年、最近では二年に一回、締約国会議が開かれ、外務省からは毎回オブザーバー資格で出席しているということでありますが、それで何か不都合がございましたでしょうか。

政府参考人(水嶋光一君)

委員御指摘のとおり、我が国といたしましては締約国会議に毎回オブザーバーとして出席をしております。しかしながら、オブザーバーは、議論自体の参加は認められますが、議決権は認められておりません。このため、我が国の意見が締約国と同等の重きを置かれているとは言い難い面があります。

この締約国会議では、犯罪対策、組織犯罪対策におきます実質的に唯一の包括的かつ国際的なフォーラムであり、この締約国会議において、各種決議などを通じて国際的なルール作りが進められております。このプロセスに我が国としても積極的に参加をし発言をすることによってできる限り存在感を示しておりますけれども、やはりオブザーバー参加ということで発言力と影響力に制約を受けるというのが実態でございます。

糸数慶子君

もう少し具体的に答えていただきたかったのですが、残念です。

続きまして、ちょっと別の角度から質問したいと思います。

まず、威力業務妨害と組織的威力業務妨害について伺います。

沖縄では、辺野古新基地建設への抗議のために多くの市民が連日座込みをしていますが、六月二日には、キャンプ・シュワブゲート前で機動隊が市民を排除する際に、市民二人が負傷して緊急搬送がされました。

沖縄では、共謀罪法案の成立を見越して、先取りしたかのような警察の横暴なる振る舞いが目に余ります。

沖縄平和運動センターの山城博治議長が威力業務妨害容疑で逮捕、勾留の後、起訴され、現在、沖縄地方裁判所で刑事裁判が続いております。今年二月二十八日には、国連人権法や国際人道法の専門家のデービッド・ケイ氏ら四人が緊急アピールを出して、山城議長の逮捕や長期勾留に懸念を示し、日本の表現の自由や集会の自由への萎縮効果も懸念されると述べています。デービッド・ケイ氏は、我が国の表現の自由の現状を調査した国連の特別報告者でもあります。

これは、警察による逮捕や起訴後の長期勾留について裁判所による司法的なチェックが十分働いていないことを示すものだと考えられますが、その点について法務大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員のお尋ねは、公判係属中の個別事件における裁判所の判断に関わる事柄でございます。したがいまして、法務大臣としてお答えすることは差し控えたいと考えております。

なお、一般論として申し上げれば、裁判所においては、逮捕状、勾留状の発付や保釈の許可、不許可を決するに当たりまして、法と証拠に基づいて適切に判断をしているものと認識をいたしております。

糸数慶子君

軽微なことで百五十日以上も拘束をするというのは大変遺憾であります。抗議を申し上げたいと思います。

沖縄の基地反対運動については威力業務妨害罪が適用されており、この犯罪についてはこのような市民運動や労働組合の活動に対して適用されてきたと考えられますが、この点について質問させていただきます。

ここ五年間の刑法上の威力業務妨害罪の検挙人員と、起訴された人員と、その有罪率をそれぞれお答えください。

政府参考人(高木勇人君)

警察庁の犯罪統計により確認をいたしましたところ、平成二十三年から二十七年までの五年間に、全国の都道府県警察における刑法の威力業務妨害罪による検挙人員は千二百七十五人でありました。

政府参考人(林眞琴君)

検察庁のレベルで申し上げますと、当局で把握している限りで、平成二十三年から二十七年までの五年間、全国の検察庁で刑法の威力業務妨害罪により新規通常受理した人員数は千七百三十五人で、起訴した人員数は六百八十九人であると承知しております。

最高裁判所長官代理者(平木正洋君)

刑法上の威力業務妨害罪の有罪率は統計として把握しておりませんが、次の二点については統計として把握しておりますので、申し上げます。

刑事通常第一審において、平成二十四年から平成二十八年までの間に刑法上の威力業務妨害罪を処断罪として有罪判決が言い渡された人員は、平成二十四年が五十八人、二十五年が五十八人、二十六年が四十九人、二十七年が七十二人、二十八年が七十五人であり、合計三百十二人でございます。

他方、平成二十四年から平成二十八年までの間に、法定刑の最も重い罪が刑法上の威力業務妨害罪の事件で全部無罪判決が言い渡された人員はゼロ人でございます。

先ほど法務省刑事局長がお答えになった平成二十三年から二十七年までの五年間について申し上げますと、前同様の有罪判決人員の合計は三百十九人であり、全部無罪判決人員の合計はゼロ人でございます。

なお、法務省刑事局長がお答えになった起訴人員の中には略式命令請求の人員が含まれていると承知しておりますが、判決言渡し人員にはそれに対応する数値は含まれておりません。

糸数慶子君

組織犯罪処罰法三条一項の組織的威力業務妨害罪について、同様に、ここ五年間の刑法上の検挙人員と、起訴された人員と、その有罪率をお答えください。

政府参考人(高木勇人君)

警察庁の犯罪統計によって確認をいたしましたところ、平成二十三年から二十七年までの五年間の全国の都道府県警察における組織的犯罪処罰法の組織的威力業務妨害罪による検挙人員は三人でございます。

政府参考人(林眞琴君)

法務省当局で把握している平成二十三年から二十七年までの五年間、全国の検察庁において組織的威力業務妨害罪により起訴した人員数はゼロ人であると承知しております。

最高裁判所長官代理者(平木正洋君)

組織的威力業務妨害罪の有罪率は統計として把握しておりませんが、次の二点については統計として把握しておりますので、申し上げます。

刑事通常第一審において、平成二十四年から平成二十八年までの間に組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律三条一項十二号違反の罪を処断罪として有罪判決が言い渡された人員及び法定刑の最も重い罪が同罪の事件で全部無罪判決が言い渡された人員は、いずれもゼロ人でございます。

なお、平成二十三年につきましても、前同様の有罪判決人員と無罪判決人員は、いずれもゼロ人でございます。

糸数慶子君

法案の計画罪の対象犯罪の二百七十七のこの罪の中には、刑法上の威力業務妨害罪はその対象に入っていませんが、組織的威力業務妨害罪はその対象に入っています。これは、九九年に成立した組織犯罪処罰法三条一項が、刑法上の威力業務妨害罪が三年以下の懲役、禁錮の罪であるのを五年以下の懲役、禁錮に引き上げて重罰化したためですが、九九年はまだ国際組織犯罪防止条約ができておらず、起草段階にありましたが、組織犯罪処罰法三条一項で組織的威力業務妨害罪や組織的信用毀損罪などを五年以下の懲役、禁錮に引き上げたのは、共謀罪の対象犯罪が長期四年以上の犯罪ということで、それを先取りして先に重罰化したのではないでしょうか。お答えください。

政府参考人(林眞琴君)

組織的犯罪処罰法は、国連総会においてTOC条約が採択される以前の平成十一年八月に成立したものでございます。この組織的犯罪処罰法において、この組織的威力業務妨害罪を設けて、その法定刑を五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金としたことと、この同条、このTOC条約に基づく組織的な犯罪の合意罪を設けることの間にお尋ねのような関係はございません。

糸数慶子君

威力業務妨害罪と組織的威力業務妨害罪の違いは、組織犯罪処罰法三条一項が定める団体性と組織性の要件を満たすかどうかですが、その計画の段階ではその違いは極めて曖昧であり、これまで刑法上の威力業務妨害罪が適用されていたようなケースについても、組織的犯罪集団の要件を満たすとして、組織的威力業務妨害罪の計画をしたとして計画罪が成立するとされるケースが多くなるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

組織的犯罪処罰法におけるこの団体の要件、これ自体も極めて厳格な要件でございまして、これまでも、先ほど申し上げましたように、組織的例えば威力業務妨害罪の起訴件数、この五年間にもゼロ人でございました。

そういったことに加えまして、今回のテロ等準備罪におきましては、この計画は組織的犯罪集団が関与するという計画でございまして、組織的犯罪集団という存在について、主体について厳格な要件を定めておりますので、このようなものから、この組織的犯罪集団の厳格な要件は恣意的に運用されるわけではございませんので、このテロ等準備罪が成立する事例が多発するとか、そういうようなことはないと考えております。

糸数慶子君

刑法上の威力業務妨害の計画は犯罪とならないけれども、組織的威力業務妨害の計画は犯罪となるというのは、余りにもその境界が曖昧であります。この法案が成立したら、計画罪を成立させる方向で、組織的威力業務妨害の計画罪が多く認められるようになり、普通の市民運動や労働組合の活動に対して適用されることになるのではないでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

一般論で申し上げれば、その御指摘のような、普通の市民運動を行う団体あるいは労働組合などは正当な活動を目的としておりまして、犯罪の実行を結合関係の基礎としての共同の目的としているとは考えられませんので、これが組織的犯罪集団に該当することは想定し難いと考えております。

したがいまして、そのような団体に対してテロ等準備罪が適用され、そのようなテロ等準備罪の成立が多発するというようなことは考えにくいと思います。

糸数慶子君

法案にはそのような懸念を払拭するような、歯止めとなるような文言が何もないように思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

これまでもるる申し上げておりますが、テロ等準備罪は、一つに組織的犯罪集団が関与する犯罪ということ、それから重大な犯罪の計画行為、そしてその計画に基づく実行準備行為と、この三つの厳格な要件を設けております。このことによりまして、また、各要件については明文の中で定義規定を置いているわけでございまして、具体的に明確に規定しているわけでございます。

そういったことから、その一般の団体、先ほど申し上げられたような普通の市民運動や労働組合の活動などがこの対象になるということは、そういったものに恣意的に適用することはできないということになっております。

糸数慶子君

それでは次に、六条の二第一項の構造について伺います。

法案六条の二の第一項は「組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者」と規定されていますが、これは、現行法である組織犯罪処罰法三条一項が「次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、」という、その規定の書きぶりを踏襲していると考えられますが、いかがでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

委員御指摘のとおりであります。

糸数慶子君

現行法の三条一項の組織というのは実行部隊のことを指すと解されているのでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

組織的犯罪処罰法の三条一項で使われている組織につきましては、これは当該罪に当たる行為を実行するための組織と規定されております。典型的には、これは、犯罪行為を実行するための言わば犯罪実行部隊としての組織がこれに当たります。

糸数慶子君

法案六条の二第一項の組織にも、同様に実行部隊を指すと考えられるのでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

改正後の組織的犯罪処罰法六条の二第一項において、組織というものも、これも同様に、当該行為を実行するための組織と規定されております。この当該行為を実行するための組織とは、別表第四に掲げる一定の重大な犯罪に当たる行為を実行することを目的として成り立っている組織のことをいいます。

したがいまして、現行の先ほど引用された組織的犯罪処罰法三条一項の組織と同様に、典型的には犯罪実行部隊としての組織がこれに当たります。

糸数慶子君

現行法三条の組織については、団体の内部の者である必要はないと解されているのでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

まず、組織とは、指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいいます。そして、組織的犯罪処罰法二条一項では、この団体の目的又は意思を実現する行為の全部又は一部について、この組織により反復して行われることを団体の要件として定めております。

これを前提として、組織的犯罪処罰法三条一項は、同項各号に掲げる罪に当たる行為を実行するための組織により行われたことを構成要件の一つとして定めております。この組織が先ほど申し上げたいわゆる犯罪実行部隊でございます。このような犯罪実行部隊としての組織は、犯罪の実行のためのものとして臨時的なものであってもよく、また、構成員の交代によってもその同一性が保持されるという意味での独立性も必要としないと解されております。

このように、その組織の定義からも、また組織の役割からしても、通常、組織は団体の構成員から成り、組織的犯罪集団の内部にあって団体の意思決定に基づく犯罪の実行に当たるものでございますけれども、組織が臨時的なものであってもよく、指揮命令によってあらかじめ定められた役割分担に従って一体として行動することによって犯罪を実行する者であればそれは足りることでございますので、構成員以外の者が当該罪に当たる行為を実行するための組織に含まれているということを否定するものではございません。

糸数慶子君

そういたしますと、法案六条の二第一項の組織についても同様に、団体、すなわち組織的犯罪集団の構成員である必要はないということになるのでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

改正後の組織的犯罪処罰法六条の二の組織につきましても、組織的犯罪処罰法三条一項の組織と同様に、構成員以外の者が当該行為を実行するための組織に含まれていることを否定するものではございません。

糸数慶子君

林刑事局長は、法案六条の二の第一項の計画をする者は組織的犯罪集団の構成員である必要はないと答弁されていますが、それはこれまで述べたことからそのように答弁されていると理解してよろしいでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

今、先ほど述べたのは、この組織というものについて構成員以外の者が入り得るかということについてでございました。それで、今委員が御指摘になったものは、これは、計画する者は組織的犯罪集団の構成員である必要があるかどうか、こういったことに対する答弁であったと認識しております。

御指摘の答弁につきましては、まず第一に、テロ等準備罪は組織的犯罪集団の構成員でなければ犯罪が成立しないという身分犯の構成は取っていないこと、ただ、組織的犯罪集団と無関係の者が組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行を計画することは考え難いこと、他方で、組織的犯罪集団の構成員ではないが組織的犯罪集団と関わり合いがある者、その周辺者については、一定の重大な犯罪の計画に加わり、一定の重大な犯罪の実行部隊である組織の一員として関与するなどの事情がない限り、テロ等準備罪で処罰されることはないということを述べたものでございます。

糸数慶子君

また、林刑事局長は、計画をする者に対して、組織犯罪集団の構成員でない者が幇助すれば本罪の幇助犯が成立することもあり得ると答弁されたと思いますが、いかがですか。

政府参考人(林眞琴君)

御指摘の答弁は、例えば、テロ等準備罪の被疑者に計画する場所を提供した者において、提供の相手方が組織的犯罪集団であることはもとより、提供した場所において組織的犯罪集団の団体の活動として組織により行われる一定の重大な犯罪の計画が行われていることを認識しているような場合でなければテロ等準備罪の幇助犯というものは成立しないこと、また、組織的犯罪集団に関わりのない方々が組織的犯罪集団に場所を提供することは考え難い上、ましてや、先ほど、今申し上げたような認識に基づいて提供することは想定されないこと、したがって、テロ等準備罪の幇助犯が成立するのは組織的な犯罪集団の構成員及びその周辺者に限られるということを述べたものでございます。

糸数慶子君

今回、法案に組織的犯罪集団という概念を取り入れて主体を限定したと説明されていますが、計画する主体である組織に属する者は組織的犯罪集団の構成員でなくてもよいとか、計画する者を幇助した者に本罪の幇助犯が成立するということなど、組織的犯罪集団の構成員以外の者が計画すれば計画罪が成立するというのでは何の限定にもなっていないのではないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(林眞琴君)

いわゆる身分犯の形で組織的犯罪集団の構成員に限るというような法的な構成は取っておりませんが、テロ等準備罪は、その構成要件の中に組織的犯罪集団の関与といった要件を設けたことによりまして、その主体が組織的犯罪集団の構成員及びその周辺者に限定されており、こういったことから、組織的犯罪集団の主体の限定であるというこれまでの説明は適切なものであると考えております。

糸数慶子君

先ほど、組織は実行部隊のことを指すということでしたが、現行法三条一項の組織は、実際に犯罪が実行された場合に適用されるので実行部隊の実行は明確であるというふうに考えられるのに対して、改正案六条の二の第一項の組織は、まだ実行に着手されるよりもずっと前の段階のことなので実行部隊を特定するのはかなり困難を伴うと考えられます。

法案を作成する際に現行法三条一項を参照したためにそのような無理が生じているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

計画といいますのは、組織的犯罪集団の団体の活動として一定の重大な犯罪を実行するための組織により行われるものの遂行について具体的かつ現実的な合意をすることが必要でございます。この場合に、組織的犯罪、この具体的な犯罪実行をどういった組織によって実行するかということは計画の中の非常に重要な要素でございます。

犯罪の実行部隊の特定に計画の段階では困難が伴うという御指摘ではございますけれども、他の計画の要素に比べてその点が特に困難であるとは考えておりません。刑事訴訟法の規定に従って必要な、かつ適正な捜査を尽くしてその特定、解明に努めていくこととなると考えております。

糸数慶子君

計画罪の成立範囲を明確化するためには、組織という組織的犯罪集団の外の人間を対象としないで、組織的犯罪集団の内部の者が計画した場合だけで計画罪が成立するという規定の仕方ができたのではないでしょうか。どうしてそのような限定はしないのでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪については、計画をした犯罪の実行の可能性が高い上に、一たび実行されると重大な結果等が生ずることが多く、特に悪質で違法性が高い、また未然防止の必要性が高いという点に着目しまして、実行の着手前の計画行為と実行準備行為が行われた場合に処罰するという考え方を取っております。

こういった危険性及び未然防止の必要性は、もとより、通常の場合は組織的犯罪集団の構成員らが計画を行うこととなると考えておりますけれども、それ以外の者がそこに加わっている場合でありましてもそれと同等の危険性や未然防止の必要性が認められる場合がありますので、あえてこれをテロ等準備罪の処罰の範囲外に置く理由はないと考えられるところでございます。

糸数慶子君

六条の二第二項について伺います。

組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者が準備行為をした場合に処罰する規定ですが、この規定も現行法三条二項の規定の書きぶりを踏襲した規定でしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

委員御指摘のとおりであります。

糸数慶子君

例えばどういう犯罪を想定されているでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

例えば、ある暴力団がある町を縄張としてみかじめ料の徴収を行っていたところ、その町において暴力団排除運動を実施し、暴力団へのみかじめ料の支払を拒絶する活動が行われるようになったことから、当該暴力団の構成員らが、この自らの縄張を維持するために、こういった暴力団排除運動を主導している者を殺害することを計画し、その準備行為を行った場合、こういったような事例がこれに該当すると考えております。

糸数慶子君

第二項の対象となる者は、一項の組織的犯罪集団の構成員でない者が対象でしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

この点につきましても、六条の二第一項と同様に、この六条の二第二項のテロ等準備罪につきましても身分犯という構成は取っておりません。しかし、第二項のテロ等準備罪は、組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持、拡大する目的で犯罪の実行を計画することが必要な罪でありますので、その対象となりますのは、そのような目的で犯罪を実行することができる者に限られることとなります。

つまり、不正権益とは、団体の威力に基づく一定の地域又は分野における支配力であって、当該団体の構成員による犯罪その他の不正行為により当該団体又はその構成員が継続的に利益を得ることを容易にすべきもの、このように定義されておりますので、不正権益目的が存在するというためには、実行される犯罪が不正権益を得させるなどの目的に直接資する行為であることを要すると解されておりますので、そういったことが認識できる者というものは、組織的犯罪集団の構成員はもとよりでございますが、その周辺者に限られるということになると考えております。

糸数慶子君

まだ何点か通告しておりますけれども、時間が参りましたので今日の私の質問は終わりたいと思います。次に回したいと思います。