国政報告

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共謀罪 ※参考人質疑

第193回国会 2017年6月13日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

参考人の皆様には大変貴重な御意見をいただき、感謝申し上げます。

まず、福田参考人と山下参考人にお伺いをいたします。

世界最強の盗聴システムを持つアメリカ、そしてフランス、共謀罪の発祥国と言われるイギリスなどで、テロ対策が進んだ国ですが、その国でここ数年テロが多発しています。テロ対策の監視対象が多く、情報処理が追い付いていないのではないかとも言われておりますが、テロ対策を行うことがテロを防止することにつながるのか、そもそもこの法案がテロ対策となり得るのかについてそれぞれ御所見をお伺いいたします。

参考人(福田充君)

このテロ等準備罪がテロ対策として有効に機能するかどうかということに関しましては、テロ等準備罪が規定している効力が及び得る範囲内で有効に機能するというふうに考えております。

それは、ここに挙げられております二百七十七の行為は確実に計画と実行準備行為の段階で処罰できるという環境を整えるわけでありますから、その環境を整えた上で、その二百七十七の項目がカバーしている項目をテロ対策として実施することが可能になります。やらなければできないわけですから、この二百七十七の項目をカバーすることが環境的に整うことによって、今後テロ対策というのはより多様な方法で実施することができると思っております。

かつ、しかしながら、それがイコール一〇〇%テロ事件を防止できることに直結するかというのはそれはまた別問題でありまして、御指摘のとおり、アメリカやイギリスやフランスでも共謀罪やこういったテロ対策の法制度は進んでおりますし、監視のインテリジェンス活動も年々強化されております。

実際にイギリスで発生した複数のテロでも、容疑者は実際にはこういった捜査当局からの監視対象であったということも言われております。監視対象であったけれども、しかしながら、インテリジェンス機関は見逃してしまうことがあるということであります。これは情報の5W1Hという問題もありまして、そのうちのフー、誰が危険人物かということはインテリジェンス機関も捕捉することはできるんですけれども、ホエン、いつ、ホエア、どこでそのテロが実行されるかというのは極めてインテリジェンス機関としても捕捉することが難しい状況があるということは各国同様に抱えている問題であります。

しかしながら、このインテリジェンスの活動については今回のテロ等準備罪の問題とは本質からやや外れるところだと思いますので、私の発言は以上としたいと思います。

参考人(山下幸夫君)

私は、別に今回の法案を成立させなければテロを防ぐことができないとか、そういう関係にはない。先ほどから言っておりますけれども、こういう法律ができたからテロを未然に防止できるわけではなくて、様々なそれ以外の、既に現行で我が国はたくさんのいろいろなテロ対策も含めた犯罪対策をしておりますし、こういう法律があるからテロを防げるわけではない。先ほどから言っているように、テロを根絶するために平和な世の中をつくるような活動をしていくことこそがテロを防ぐわけであって、こういう処罰規定を、しかも二百七十七も処罰できる計画罪を作って国民を不安にする、国民の日常的監視が不可欠になる、そのような法律を作ることは百害あって一利なしであるというふうに思っております。

糸数慶子君

先ほど福田参考人は、今回のテロ等準備罪とインテリジェンスは関係ないという意味合いの発言がありましたけれども、山下参考人はこの件についてどうお考えになるでしょうか。

参考人(山下幸夫君)

先ほどから言っておりますけれども、基本的に、組織的犯罪集団であるかとか、そこが計画をしたのかとかその準備行為をしたのかって、これはもう日常的に特定の団体の構成員又はその周辺者を監視しなければそういうことを摘発したり検挙することは不可能でありますので、それが不可欠になる。そうなりますと、現在は恐らくそれはいわゆる行政警察活動として公安警察が情報収集活動としてやっておりますけれども、今後はそれを捜査として計画より前の段階から日常的にそういう監視活動を行うことが可能になる。

そのような意味において、極めて危険なといいますか、国民のプライバシーや人権が侵害されるおそれのある極めて問題の多い法律であるというふうに思っております。

糸数慶子君

次に、村井参考人に伺いますが、五月三十日のこの法務委員会で、いわゆるロス疑惑、この事件の被疑者とされた方が、我が国において殺人罪で無罪が確定した後に、サイパンにおいてアメリカのロサンゼルス警察により殺人の共謀罪容疑で逮捕されたそのケースを引いて、今回の法案の計画罪については、独立罪としてその計画を実行した場合に成立する犯罪とは別個に二罪として処罰されるのか、それとも実行して成立する本犯に吸収されるのか尋ねましたところ、林刑事局長は、計画した犯罪が実行された場合にはテロ等準備罪を処罰する必要性は認められないので、結果的に実行された犯罪が処罰されるときはこれに吸収されると答弁していらっしゃいますけど、これについてどのような見解をお持ちでしょうか。

参考人(村井敏邦君)

アメリカの場合には、吸収されずに独立で処罰されるというのがある意味では共謀罪の一つの大きな特徴なんですね。日本の場合には、従来のやり取りの中でも吸収されるというふうに言われてきています。ただ、吸収されるという保証はありません。

先ほども言いましたけれども、今度計画罪になった場合に、共謀罪について議論したものが、共謀共同正犯ですが、共謀共同正犯と計画罪というのは別物であるというように議論することも可能なのですね。刑事局長がそういうふうに、いや、吸収されるんだということを言うならば、この計画罪というのはもう少し共謀罪に接着したものでないと、接着というのは似たような形じゃないと、ちょっと吸収というのでなくて独立罪だという議論も出てくる可能性があります。

その辺りは、しかし捜査機関としてはどちらでもいいんですね。吸収されようが何であろうが、計画罪というのが察知できれば捜査ができるということになりますから。その辺りは、しかし大変、吸収されるというんじゃなきゃ日本の従来の法制度からいっておかしいだろうというふうには思いますが、保証はないというように言う以外はないだろうと思います。

糸数慶子君

山下参考人にお伺いいたしますが、スノーデン氏によるXキースコア情報の、先ほど省略をされました、レジュメにはありますけれども省略をされましたが、この点についての御意見をお伺いしたいと思います。

参考人(山下幸夫君)

最近、スノーデン氏はXキースコアという、ネット上でキーワードを入れると、その発言というんですかね、そういうことを言っている人をサーチして情報が得られるという、そういうソフトをアメリカの国家安全保障局、NSAから日本政府に既に提供されているという、そして今後、この共謀罪、計画罪が、法案が実現すればそういうものが、そのツールが使われるようになるであろうということを彼が最近発言しているところであります。

したがって、そういう形でネットのいろんな様々な情報、この間、金田法務大臣なども、LINEとかそういうあらゆるSNSにおける様々な情報のやり取りも、それも計画の手段としてあり得るということで、それが捜査の対象になり得るということを認めているところですが、このXキースコアという、そういうソフトというかツールもそういう形で使われるおそれがあるということでございます。

糸数慶子君

村井参考人にお伺いいたしますが、本法案がテロ対策にはならない、むしろ弊害が大きいという見解を先ほども述べられました。村井参考人が考えられる最も有効なテロ対策、あるいはテロが起こらないために何が大切であるというふうに考えられていらっしゃるでしょうかということと、これから政府や政治家に求められるものがありましたらお伺いしたいと思います。

参考人(村井敏邦君)

恐怖政治をしくつもりならば、有効なのは、ターゲットとされる危険な人物に全部監視を付けて、監視どころか拘置してしまうということがいいでしょう。そういうふうに提案、そういうふうにしなければテロは防げないんだというふうに言っている元捜査官もいるようです。しかし、これは私の推奨するところでない。これはかえって大変恐ろしい事態になる。まさにテロリズムです、これが。本当の意味でのテロリズムがこれだろうというふうに思いますが、だからこういう社会にはしたくない。

そうするとどうするかということになると、一朝一夕の形ではいきませんけれども、現にイギリスでもフランスでも起きていますが、ISに走る人たちに対してどういう対策をするかというと、子供たちの意見ですね、特に子供や青年の意見をよく聞いて、その不満、問題とするところを酌み上げて対策を立てるという形で、福祉政策ですけれども、行う、あるいは就職を世話する。そういう形での、もし今国際的なテロをISという形で仮に例として取るならば、そういうのが国際的に行われているところです、民間団体において、民間の個人がですね。そういう形を我々もやらなきゃいかぬだろうということになります。そういう形でないとなかなかテロに走る人たちを抑えることはできないだろうと。

それから、自由をやはり享受することの楽しさを人々に感じてもらう以外ないですね。自由を抑圧することによってテロを防ぐんではなくして、自由というのがいかに大事であるかということを知ることによってテロに走ることはなくなるだろうというふうに思っております。

糸数慶子君

山下参考人にお伺いしたいと思います。

衆参これまでの審議もされておりますけれども、今後、国会審議に、どういうような国会審議を望まれるのでしょうか、お伺いいたします。

参考人(山下幸夫君)

冒頭の意見でも述べましたけれども、単に時間が経過したから可決するとかではなく、やっぱり徹底した審議をしていただきたいということと、国連の特別報告者のカナタチさんからもあのような指摘があったわけですから、そのような声にも耳を傾け、また様々な、今後この法案が適用されるかもしれない例えば沖縄の現地で運動に関わっている方とか、そういう声も聞きながら、もっと慎重に、そして時間を掛けてじっくりと、やっぱり刑事法の体系を、根本的にこれを変えようとする法律ですから、時間を掛けてしっかり国民の納得のいく、そういう議論をここでしていただきたい。

というか、今日、例えば今日とか採決をすることなく、とにかく時間を掛けて、この国会で採決するのではなく時間を掛けて、半年でも一年でも時間を掛けてしっかり議論をして、国民の納得の得られる形でこの議論を尽くしていただきたいと思っております。

糸数慶子君

終わります。ありがとうございました。