国政報告

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刑法(性犯罪) 委員会での質問打ち切り、共謀罪中間報告と強行採決に抗議、強姦罪の罪名を変更する理由

第193回国会 2017年6月15日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

質問に入ります前に、委員長並びに政府、そして委員の皆様に一言申し上げたいと思います。

昨日、秋野公造委員長が法務委員会で審議中のいわゆる共謀罪法案の中間報告を行い、その後、採決となりました。まず、このことについて強く抗議いたします。

共謀罪法案の対政府質疑は、衆議院で三十時間二十分、参考人質疑は五時間五十分でした。一方、参議院におきましては、僅か十七時間五十分、参考人質疑は五時間でした。十三日の法務委員会の対政府質疑では、少数会派の質疑のみ行われませんでした。当然、本日の委員会ではその質疑ができるものだと思っておりましたので、本会議での採決によりそれはかないませんでした。

今回の共謀罪法案は、米軍基地建設に反対する沖縄県民にとって、政府に抵抗する行為を未然に一網打尽にする意図があるのではないかとの懸念も上がっておりました。それを解消すべく、特に質問内容を書面で丁寧に通告し、答弁者についても、できるだけ詳しく答弁していただきたいということから、主に参考人に伺ってまいりました。多くの疑問や懸念が解消されないまま、質問する権利が委員長の中間報告により断たれたことに強く抗議をいたします。通告しておりました質問内容は、質問主意書で改めて提出をさせていただきたいと思います。

委員長、昨日の議院運営委員長の解任決議案の提案理由趣旨説明で、吉川沙織議員は、委員会中心主義を取っている参議院において、委員会での審議を途中で打ち切り、本会議でその議事を決するようなことは、立法府の良識の府参議院としての自殺行為であると述べられました。その際、昭和三十八年七月五日の申合せが引用されました。「参議院の各会派は、議院の正常な運営を図るため、少数意見の尊重と議員の審議権確保に留意するとともに、議院の品位と秩序の保持に互いに協力する」とした上で、二点について言及されました。「一、議案の中間報告は、審査につき委員会中心主義を採用している国会法の趣旨にかんがみ、みだりに行なわないものとする」、「二、中間報告に関連し、本会議の運営が混乱した実情にかんがみ、今回のような中間報告は行なわないよう努力すること。」ということでありました。当時の参議院議長は、議長所信で、議案の審議は常に十分行わなければならないとした上で、このような議事の進め方を避けるよう最善を尽くす所存であると述べられています。

秋野委員長、このような先達のその努力を踏みにじり、良識の府の参議院の歴史に汚点を残されたということを申し上げ、本日の議題である刑法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。

四月六日の法務委員会で、金田大臣に対し、性犯罪、性暴力は魂の殺人と言われ、性犯罪の厳罰化は性暴力の被害者の悲願であり、緊急、切迫した課題であるにもかかわらず、共謀罪法案を先行したことについて私は抗議をし、早期実現を求める被害者の声を真剣に受け止めておられるのか伺いました。これについて金田大臣は、明治四十年に現行刑法が制定されて以来初めて性犯罪の構成要件等を大幅に見直すなどの点につきまして非常に大きな意義があるものと認識していると答弁をされました。

本会議での趣旨説明、質疑もなく、国会の最終盤に共謀罪法案の強行採決の批判をかわすかのごとく駆け足の審議ではなく、十分な審議時間を確保した上で充実した審議を行うべきと考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員のただいまの御指摘に対しましては、本法案、非常に大きな意義があるという点は私は変わっておりません。しかしながら、国会審議の在り方というのは国会においてお決めになるべき事柄でございますので、この場で私がお答えすべきことではありません。

しかしながら、いずれにしましても、提出いたしました法案の必要性、あるいはその内容については誠実かつ丁寧に説明を尽くさせていただく所存であります。

その上で、本法案についても、前も申し上げておりますが、国民生活の安心と安全にとって大変重要なものであります。そして、大きな意義がある法案でございますから、国会における御審議の上、できる限り速やかに成立をさせていただきたいものと考えておる次第であります。

糸数慶子君

では、具体的にお伺いしたいと思います。

まず、部会において、改正後の百七十七条の罪名について、性的侵入、そして性的侵襲などの名称が適当であるという意見がありました。今回、強制性交等罪という名称を使用する理由をお聞かせください。

政府参考人(林眞琴君)

まず、今回、罪名自体を改める必要があったということがまず第一点でございます。これは、従来の強姦罪の客体、女性のみであったものを今回は男性をも含むものとしたこと、そしてまた、従来、強姦罪と同等に処罰しようとする性的行為を姦淫、性交から肛門性交や口腔性交を含む性交等に広げることにした、こういったことから考えますと、まず現行の強姦罪という罪名を改める必要があると考えました。

その上で、この罪名を考える上で、強姦罪は、まず、強制わいせつ罪、現行の強制わいせつ罪の加重類型であるということを考えまして、暴行又は脅迫を用いて相手方の同意なく性的行為に及ぶ点が強制わいせつ罪と共通している点、まずこの点に着目し、かつその場合の処罰対象となる行為が性交等に改められたということも併せ考えまして、今回、強制性交等罪としたものでございます。強制という、暴行、脅迫を用いて相手方の同意なく性的行為に及ぶという点についての意味が強制という点に表れており、その処罰対象が、先ほど姦淫というものを性交等というものに改めたということを前提といたしまして、これを合わせまして強制性交等罪としたものでございます。

糸数慶子君

強姦罪の構成要件が姦淫から性交、肛門性交又は口腔性交とされています。部会ではどのような意見があったのでしょうか。構成要件が狭くなった理由も併せてお聞かせください。

政府参考人(林眞琴君)

お尋ねについては、例えば強制性交等罪、今の強姦罪でございますが、これについての構成要件について、部会において異物の挿入行為を含めるか否かという点が一つ意見が交わされました。この点は、今回の法案では、強制性交等罪の性交等というものについては、膣あるいは肛門あるいは口腔、これに陰茎を挿入するということを対象としているわけでございますけれども、陰茎以外に異物あるいは指、このようなものが挿入される場合についてこれを含めるかどうか、こういう点についての議論があったわけでございます。

この点については、こういった例えば膣に対する指あるいは異物の挿入というものはこれを対象に含めるべきであるという意見がございましたけれども、他方で、この場合に陰茎以外に指あるいはさらに異物の挿入ということを含めてまいりますと、その場合に、異物についても様々な異物がございますので、どこまでの異物というものを処罰対象とすればいいか、この外延を画するのは非常に困難であると、こういった意見がございまして、最終的には、この異物については今回の処罰対象とせずに、その点については強制わいせつ、現行と同様に強制わいせつの中で処罰をしていくということの意見に収れんしたわけでございます。

糸数慶子君

昨年の二月、国連女性差別撤廃委員会の政府報告審査において、カダリ委員から配偶者間レイプを犯罪とするその規定がないことについて指摘がありました。

配偶者間レイプを今回対象としなかったその理由は何でしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

まず、現行の刑法の文言上、配偶者間における強姦罪、今回、改正後では強制性交等罪になりますが、文言上、配偶者間における罪の成立は全く否定しておりません。そして、これに反対する、こういった考え方について反対する判例もございません。そういったことから、配偶者間の強姦罪について、これが成立するという確認規定を置くようなこと、これについては必要がないと考えた、判断した結果でございます。

むしろ、配偶者間に限って、現在否定されていない状況の中で配偶者間に限って明文の規定を設けた場合には、配偶者以外の親密な関係においては強姦罪が成立しないかのような誤解を招きかねず、かえって問題が生じ得るという意見もあったところでございます。

糸数慶子君

一橋大学の本庄武教授は、夫婦間強姦が成立することについて、わざわざ明文の規定を設けて確認する必要がないとされた夫婦間であっても性的自由が尊重されなければならないとのメッセージを発することは、実務にとっては不要かもしれないが、社会に向けてはなお意味があるはずである、それをしないことにより、旧来どおり誤った観念が維持されることになれば泣き寝入りの状態が依然として続くことになりかねないと述べていらっしゃいます。

配偶者からの暴力に関するデータを見ますと、年々増えています。配偶者間においても強姦罪が成立することを明示する規定を置くことはメッセージを発する点で意義があると思うのですが、いかがでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

こういった配偶者間でも強姦罪あるいは強制性交等罪が成立するということは、これまでの検討会あるいは法制審の中での議論の中でも共通の認識として、例えば法曹、法律実務家の間で共通の認識としてそういうものは成立するんだと、それを前提で議論がなされておりました。その中で、それが共通の認識だとしてもやはりメッセージとして出す意味はあるんじゃないかという意見があったことも承知しておりますけれども、やはりその点につきましては、法文の中で、そういったメッセージを示すために法文にそれを書き込むということは、やはり先ほど申し上げたような弊害もあるものですから、その点は、やはり法文、条文の中でそれを書くということはやはり適切ではないだろうと、このように考えた次第でございます。

もとより、配偶者間でもこういった強姦罪あるいは性犯罪、強制性交等罪は成立するんだという考え方、これについてはもっともっと更に社会に対してそういったメッセージを発信していくべきであるというような必要性については全くそのとおりだと思いますので、それについては法文以外の部分での広報啓発活動というようなところで行っていくのが相当であろうと考えた次第であります。

糸数慶子君

それでは、関連してなんですが、警察における配偶者からの暴力事案等の相談件数についてお伺いをしたいと思います。いらっしゃいますか、通告はしておりませんけれども。

それでは、平成二十七年、私の手元にある資料の中には六万三千百四十一件と警察における配偶者からの暴力の事案等の相談件数が大変多く上がっております。それから、内閣府の調査によりましても、配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数というのが随分上がっております、十一万千六百三十件という、そういうデータに基づいて先ほどもお伺いしたわけでございますけど、是非、そういう意味でも、配偶者からの暴力に関するデータを、そして、やはり配偶者間においても強姦罪が成立するという明示をきちんとその規定の中に置くことは大事ではないかということで質問させていただきました。

次に、祖父と孫、兄と妹などの関係については対象とはなっておりません。これ、実際に広島の産婦人科のお話によりますと、聞いた話でございますが、兄と妹間で子供をもうけたケースもあるというふうに聞き及んでおりますが、実態把握をされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

今回、法案の検討に至るまでの間に、法務省といたしましても、性犯罪の罰則に関する検討会、さらにはその後の法制審議会の部会、こういったところで、特に、地位、関係性を利用した性的行為の起訴事例というものを調査いたしました。その中では、実の親子間あるいは養親子間の事案、もちろんこれは多くを占めておったわけでございますが、それ以外に兄妹間、きょうだい間の事案でありますとか、兄について強姦罪や児童福祉法違反の罪等で起訴された事案もございました。

それを前提に、兄妹間の性暴力の実態につきましては、更に法制審議会の部会の中で補充的なヒアリングというものが行われたのでございますが、そのときのヒアリングにおきましては、やはり兄と父親による性暴力の被害者であって近親姦の虐待被害者当事者のための自助グループの活動をしている方から、こういった兄妹間の性暴力の実態等についても御意見を伺ったところでございます。

今回、この兄妹間とかそういう形での、それをその直接的な関係での性的行為、これについてを処罰する形での構成要件、こういったものを設けたわけではございませんけれども、今回の法改正に至る間において性被害の実態ということを十分に見極める意味の中で、こういったヒアリングの中では委員御指摘の兄妹間の性暴力の実態についても伺ったところでございます。

糸数慶子君

実は、私が直接相談を受けたケースなんですが、先ほど申し上げました祖父と孫、それから義理の父親にレイプをされた小学生、実際に五年前にその相談を受けて、母親の苦しむ状況を見て、その娘が何とか義理の父親を告発をしたいという相談がありました。その相談を受けて、実は五年前は沖縄にはできておりませんでしたけれども、どちらにそういう状況を相談したらいいのかということで、大阪にありますSACHICOというところへ案内をしてまいりました。そこでは、まず産婦人科の医師、それから警察、さらには弁護士、そろってまず三者でその小学生の女の子の話を実際に聞いていただけました。

先ほども仁比委員から質問がありましたけれども、例えばレイプの被害に遭った人がなかなか告発できない理由の一つに、例えば警察であるとか、あるいは男性の医師であるとか、被害を受けて大変傷ついているにもかかわらず、改めて、例えば先ほどもありました、処女であるのか、あるいはまたどうしてそんな時間にこういう場所を歩いていたのか、あるいは、ひどい質問によると、どうしてそのような服装をしていたのか、そういうふうにして、その被害に遭った女性があたかもその被害に遭っていくような条件があったのではないかと、被害に遭った人を責め立てるような、そういう質問の仕方、そのようなことでいわゆるセカンドレイプ、再び女性が傷を改めて付けられる、そのためになかなか告発ができないという、そういう実態が実際にありました。沖縄でも、九五年の少女の暴行事件以来、実は訴えたくても訴えることができなかったという人たちが随分声を上げてまいりましたが、それはある意味、対応してくださる警察や病院がこの事件をきっかけにして随分対応の仕方が変わってきた、それで勇気を出して告発をするという一つの、ある意味一つ進んだ事例ではありましたが、しかしまだ勇気を出してしっかりと告発のできない被害者が多いということも実態であります。

先ほどの話に戻りますけれども、私が実際に相談を受けたその小学生は、そこのSACHICOという支援センター、そこで多くの先生方やNPOの方々に励まされて、実際にその義理の父親を訴えました、告訴いたしました。実際に有罪が決定いたしまして、ただ、その親子は沖縄に住むことができずに、全然違う県に移って現在生活をしておりますけれども、そういう意味でも、やはり被害を受けた人たちに対しては、あなたは悪くないという、そういう心のケアということをしっかりやっていくということも大変大切ではないかというふうに思います。

先ほど、祖父と孫、そして兄や妹などのその関係、そういうその対象の実態把握、是非やっていただきたいと思いますが、御決意をお伺いしたいと思います。

政府参考人(林眞琴君)

今回、様々な議論がある中で、今度、現に監護する者、監護者において監護者性交等罪というものをつくったわけでございます。もちろん、今御指摘の場合の祖父との関係、これも祖父が監護者に当たるのであれば今回の監護者性交等罪にも当たりますけれども、そうでなければ、そういった祖父との関係とだけでは今回の監護者性交等罪は成立しないわけでございます。

いずれにいたしましても、様々な議論の中で今回のような構成要件とさせていただきましたので、これについて今後の、先ほどございましたように、施行後三年を目途としてこういった検討を行うということになりますと、今回つくりました監護者性交等罪というものの実際の運用状況でありますとか、そういったものを実際の被害実態との比較において検討しなくちゃいけないということでございますので、委員御指摘のような場合の祖父との関係でありますとか、先ほどの兄との関係とか妹との関係とか、こういったことについても、こういった実態を十分に把握した上で検討していくことになろうかと思います。

糸数慶子君

こういう性犯罪の再発防止には、やはり性教育、性表現の在り方に対する検討も必要であるというふうに思いますが、これについて金田大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

国務大臣(金田勝年君)

糸数委員の御指摘のような性教育、性表現の在り方についての検討ということになりますと、私ども法務省限りで検討できることには限界があるとは思われますけれども、いずれにしましても、犯罪の再発防止というのは重要な課題であると、このように考えておる次第であります。

例えば、刑事施設におきましては、強姦等の性犯罪を行った者のうち、常習性や反復性が認められるなど性犯罪の原因となる認知の偏りあるいは自己統制力の不足といったような点がある者を選定をいたしまして、性犯罪につながる問題性の大きさに応じて高密度、中密度、低密度というふうに振り分けた上で性犯罪再犯防止指導を行っておるところでありまして、一定の再犯抑止効果が認められたものと承知をいたしております。

また、保護観察所におきましても、性犯罪者に対しましては性犯罪者処遇プログラムというものを実施しております。そして、一定の再犯抑止効果が認められたと、このように承知をしておるところでございます。

今後とも、私ども法務省といたしましても、関係機関と連携をいたしまして再犯防止のための施策の検討に努めていきたいと、このように考えておる次第であります。

糸数慶子君

本来でしたら、参考人質疑をやはりしていただいて、その後で質問ができましたならば更に充実した審議ができたのではないかなと思います。明日またあるようですから、改めて参考人質疑をさせていただきながら、三年後の改正に関しましてはしっかりと取り組んでいくということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。