国政報告

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刑法(性犯罪) ※参考人質疑

第193回国会 2017年6月16日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

本日は、橋爪参考人、そして山本参考人から本当に示唆に富む貴重なお話を伺うことができまして、心から感謝申し上げます。

特に、山本参考人におかれましては、御自身のそういうつらい体験をカミングアウトされたということで、同じ苦しみを持つ多くの人たちに勇気を与え、一方で、加害者に対してもこの被害者の苦しみを認識させ、加害行為に対する警告となったということは、心から敬意を表したいというふうに思います。

私は山本参考人にお伺いしたいと思いますが、昨日の委員会で、今回、強制性交等罪という名称を使用することを伺いました。この構成要件が狭くなったことも関係するわけですが、この強姦という言葉に代表されるように、名称、用語というのはとても重要だと思いますが、このことについて山本参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

参考人(山本潤君)

御質問ありがとうございます。

被害者の感覚からいうと、自分の意思に反して自分の体に侵入された、侵襲された、そういう経験だというふうに思っています。なので、侵入が非常に問題であって、例えば、現在の強制性交等罪は性器が挿入された場合、挿入させられた場合というふうになっていますけれども、たとえそれが物であったり指であったり、子供の場合は、なかなか陰茎を膣に挿入するのが難しいことから指とかを挿入するという被害が多く起こっていますけれども、そのようなものであったりした場合でも、意思に反して自分の境界線、バウンダリーと心理学用語で言いますけれども、侵襲されるということ自体が大きな心身にダメージをもたらす、そういう出来事です。

なので、私自身としては、法制審議会の要望書にも出しましたけれども、レイプは性的侵襲罪というふうに考えることが大事、そのような名称が使われるべきだというふうに考えています。

糸数慶子君

ありがとうございました。

続きまして、山本参考人、それから橋爪参考人にお伺いしたいと思います。

まず橋爪参考人に、昨日の委員会で、性犯罪の防止には性教育が重要だということを言及いたしました。この性犯罪の被害者にならない、あるいは加害者にもならないために、まず性教育が重要だというふうに思います。

この性教育へのすさまじいバッシングがあったのは、実はこれは二〇〇五年、第二次男女共同参画基本計画策定のその過程で、当時、たしか猪口議員が大変御苦労されたというふうに伺っております、男女共同参画担当大臣でもあった頃ですが。

これは、東京都立七生養護学校の先生たちが、子供たちに性犯罪の被害者にも加害者にもならないように願いを込めて行っていたこころとからだの学習、このような授業があったわけですが、男性器と女性器の部位や名称を織り込んだ歌や人形を使った授業方法であり、これは優れた教育実践だと評価されておりましたところが、これが過激であって大変だということで激しいバッシングにさらされてしまいました。やはりリプロダクティブヘルス・ライツ、これは教科書から削除されてしまいました。

学校で性教育もやりにくいという状況に追い込まれたわけですが、やはり性について正しい情報が乏しい中、子供たちに、ちまたにあふれるアダルトビデオや漫画などから情報を得ることで誤った知識を身に付けたことが大変なことだと思うわけです。これがデートDVとか、それから性犯罪にも少なからず関係していると思うわけですが、そういう性暴力被害を防止するために性教育の在り方についてどのような見解をお持ちでしょうか。まず、橋爪さんからお願いします。

参考人(橋爪隆君)

回答申し上げます。

確かに、刑法典を改正しましても、それだけでは性犯罪の防止はできません。やはり基本的な性に関する国民一般の感覚と申しますか、性差別の撤廃を徹底すること、さらに、特に異性につきまして、異性を専ら性的な興味の対象として扱うような観点を何とか防止して、お互いに異性のことを尊重し合うような啓蒙教育を徹底していくということが基本的には性犯罪の防止にとっては重要な観点であるというふうに考えております。

糸数慶子君

山本参考人にもお願いいたします。

参考人(山本潤君)

私たち刑法性犯罪を変えよう!プロジェクトは、ロビーイング活動と並行して、同意ワークショップというのをちゃぶ台返し女子アクションを中心に展開しています。昨今、大学でのキャンパスレイプが多発したことを受けて、やはり日本の社会で同意というのは一体何なのか、性における同意というのは一体どういうことを意味するのかということがなかなか認識されていないということを考えています。

海外、英米の大学では、その同意についてワークショップをするというのは、大学でももちろん高校生のときでも、どのような性的な一致を取るのかということについて教えられているというふうに聞いています。日本でもそのようなワークショップが展開できないかということで、現在、東大、慶応大学、創価大学の三つの大学で同意ワークショップを学生さんを中心に巻き込んで展開していますし、今後カリキュラムを作るというような話も上がっています。参加した方から、大学生では遅過ぎる、高校生、もう中学生ぐらいから自分はこれを受けたかったというふうな、そういう声も上がっています。

やはり性とは何か、同意とは何かということを青少年に教えて伝えていくということが大事ではないかと考えています。

糸数慶子君

先ほど東委員からもありましたが、本当に、子供が声を上げたくても上げられないという状況の中から考えていきますと、山本参考人の先ほどのお話を伺いましても、やはり小さいときから、どういう状況になったときに自分の身を守るのかということ、それをお話を伺いながらも、まさに肉親からこういう性被害を本当に受けたということを考えていきますと、いかに小さい頃から性教育が大事であるかということをつくづく感じます。

それと同時に、やはり勇気を出して被害者が声を上げたとき、その上げた声を社会がどう受け止めていくか、それがとても大事だと思います。本当に、どういう人に出会ってやはりちゃんと救われていくかというか、それを考えましたときに、私は参考人からも直接お伺いしたこともありますけれども、「STAND」の作者である大藪さんのような、そういう体験であるとか今の山本参考人のお話を本当に表に出して、あなたは悪くないということと、やはり価値ある人間だということ、決して物ではないということを、今も声を上げたくても上げられない、悩んでいる多くの方にいろんなチャンスを通して是非お話をして、一人でも多くの人がきちんとカミングアウトできるような、そういう状況を改めてつくっていただきたいと思います。

そして、今日のそのお話を、やはり私たちは法律を作っていく現場にいる者として、皆さんが考えていらっしゃることがまだまだこの刑法の中で十分ではないということを心して、これからまた三年後の見直しにきちんとつなげていけるように頑張っていきたいと思います。

今日は本当にありがとうございました。