国政報告

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事実婚について

第196回国会 2018年7月5日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

今回、生存配偶者の居住権、特別寄与の対象から事実婚や同性パートナーが排除されていることから、本日は特に事実婚について質問いたします。


〔委員長退席、理事若松謙維君着席〕


私、これまで、度々、選択的夫婦別姓が実現しないために法律婚を希望しながら事実婚を余儀なくされている方がいらっしゃること、法律婚の推奨といいながら、それぞれが婚姻後も名前を名のり続けたいカップルを婚姻制度から排除していることについて質問してまいりました。事実婚を選択している方がどれくらいいらっしゃるのか、事実婚と法律婚とではどのような取扱いの違いがあるのかなどについて質問したいと思います。

先ほどもございましたけれども、法務省にお伺いいたします。法律婚をしていない事実婚カップルの数は把握されているでしょうか。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

一般に、事実婚とは、法律上の婚姻関係にある夫婦と同様の社会的実態はあるが婚姻届が提出されていない男女の関係をいうものとされております。このように、事実婚は社会的実態のみによって成立するものでございますので、法務省におきましてはその件数を把握しておりません。

糸数慶子君

把握されていないということでありますが、これは先ほどの質問の中でも出ておりましたけれども、この事実婚の実数を把握することはできなくても、サンプル調査のような何らかのその調査を行う必要があるのではないでしょうか。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

先ほど申し上げましたとおり、事実婚の関係にある者の人数等の実態について、その詳細把握しているものではございませんが、その実態把握につきましては、御指摘のサンプル調査をする場合を含めまして、当事者のプライバシーの問題ですとか、あるいは事実婚をどのように定義するのかといった問題等があることから、そのような調査をすることの相当性あるいはその調査方法等につきましては極めて慎重な検討を要するものと考えております。

糸数慶子君

どれくらいの事実婚の方がいらっしゃり、またどのような不都合があるか、そういうことを把握することで今後の制度設計にも役に立つというふうに考えますが、上川大臣は調査の必要性はないというふうにお考えでしょうか、伺います。

国務大臣(上川陽子君)

現代の社会におきまして、婚姻によりまして氏を変えたくない場合や、また配偶者の相続権を発生させたくない場合など、様々な理由で事実婚を選択をしていらっしゃる方々がいらっしゃるということについては承知をしているところでございます。これらの方々を民法上どのように取り扱うか、すなわち、法律婚の場合と同様の取扱いをすべきかどうかにつきましては、家族の在り方に関わる重要な問題であるというふうに認識をしております。社会の情勢、国民の意識等を踏まえつつ、慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。

調査のことについて御質問がございまして、今後、この法律案、制定をして施行という段階になり、またその状況も踏まえながら、この多様な家族の在り方についてしっかりと向き合ってまいりたいというふうに考えておりまして、今の段階でどのような形ですることがその検討としてふさわしいかどうかということにつきましてもこれからということでございますので、今申し上げるということにつきましてはできない状況でございます。

糸数慶子君

残念でございますけれど、諸外国においてはいろんな形で調査がなされているという事実もございます。是非前向きに検討していただきたいと思っておりましたけれども、答弁の状況では、取りあえず今は調査するという御意思はお持ちじゃないということなんでしょうか。

国務大臣(上川陽子君)

今この場所でそのようなことについて申し上げることがなかなか難しい、つまり、検討をすることそのものを検討しなければいけないということでございますので、その意味で、今の段階での真摯なお答えということでの受取を是非していただきたいというふうに思っております。


〔理事若松謙維君退席、委員長着席〕

糸数慶子君

では、次に参りたいと思います。

法律婚と事実婚では取扱いに様々な違いがあるわけですが、税法上の権利利益においても法律婚と事実婚とではどのような違いがあるのか、主なものを国税庁にお伺いいたします。

政府参考人(山名規雄君)

お答え申し上げます。

所得税法と相続税法を例に取りますと、これらに規定されている配偶者はいずれも民法の借用概念であると解されていることから、事実婚のパートナーは所得税法及び相続税法上の配偶者に該当しないことになります。

したがいまして、例えば、適用対象者等が所得税法及び相続税法上配偶者に限定されております所得税の配偶者控除、相続税の配偶者の税額軽減、婚姻二十年以上の配偶者から居住用不動産等の贈与があった場合の贈与税の配偶者控除の特例といったものにつきましては、事実婚のパートナーは適用を受けることはできないということになります。

糸数慶子君

このほかにも、住民税の配偶者控除や障害者控除、医療費控除でも事実婚は対象外であります。また、国の不妊治療の助成金も事実婚は対象外、生命保険の死亡保険金の受取も配偶者か二親等以内の血族と限定しているところが多く、事実婚を認める場合でも煩雑な手続が求められ、その結果、認められない場合もあるわけです。これらは一部であり、枚挙にいとまはありません。

それで、法務省に伺いますが、民法上では法律婚と事実婚とでは取扱いにどのような違いがあるのでしょうか、お伺いいたします。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

事実婚につきましては、その社会的実態において婚姻関係と異なるものではございませんので、夫婦に関する規定の多くは事実婚についても準用ないし類推適用されるものと解されております。これに対しまして、配偶者の相続権ですとか、あるいは夫婦同氏の制度、それから、これ現行法の下でありますけれども、成年擬制の制度、あるいは嫡出推定制度等、こういったような規定につきましては、一般に法律上の婚姻に固有の効果であると考えられておりまして、事実婚には準用ないし類推適用されないと解されております。

糸数慶子君

今るる挙げていただきましたが、親権についてお伺いしたいと思います。

法律婚した夫婦の子は共同親権ですが、事実婚では、父母双方と法律上の親子関係が形成されたとしても、子の親権者は父母のどちらか一方となります。父母と子供が共同生活をしながら、財産管理権や法定代理権もどちらか一方しか持てないわけです。子供にとってこのような不利益をどう考えられるのでしょうか。法務省に伺います。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

事実婚につきましては、現在事実婚の状態にあるか否か、あるいは事実婚の状態がいつの時点で始まり、いつの時点で終了したかを客観的に判断することが難しいという問題がございます。そのため、事実婚の状態にある父母に共同して親権を行使することができると、このようにいたしますと、子の親権が今誰に帰属するか、現在誰に帰属しているのかという点が不明確になりまして、かえって子に不利益を生じさせる、こういったようなおそれもございます。

このため、父母が法律上の婚姻している場合に限って共同して親権を行うこととしております現行制度には合理性があるものと考えております。

糸数慶子君

法務省はそうお答えになりましたけれども、上川大臣はこのことについてどのように考えていらっしゃるのでしょうか、伺います。

国務大臣(上川陽子君)

ただいま民事局長が答弁をしたところでございまして、父母が法律上の婚姻をしている場合に限りまして共同して親権を行うということにしている現行制度でございますけれども、こうした合理性にのっとって対応するということでございます。

事実婚につきましての問題につきましては、先ほど答弁をしたとおりというふうに考えております。

糸数慶子君

次に、単独親権者の親が死亡した場合、一方の親に親権を移行するためにはどのような手続が必要でしょうか。法務省に伺います。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

子について単独で親権を行使していた親権者が死亡していた場合に、生存している他方の親が子の親権者になることができるか否か、仮にできるとしてどのような手続が必要であるかにつきましては、民法には明文の規定がございませんで、解釈に委ねられております。

その上で申し上げますと、一般には、単独で親権を行使する親が死亡した場合には、原則として、子について親権を行う者がないときに該当しますので未成年後見が開始することとなりますが、生存している親が親権者として適任であると認められる場合には、生存している親は親権者変更の手続を経ることによって親権者になることができると解されているものと承知しております。

糸数慶子君

改めて伺いますけれども、今御答弁いただきましたけれども、単独者の親が死亡した場合、一方の親に親権を移行するためにどのような手続が必要かというふうに伺いました。例えば、手続が完了するまでに、その確定するまでの空白期間が生じるということなんでしょうか。これは大きな不利益が生じるというふうに思いますが、改めて伺います。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

御指摘のとおり、先ほど申し上げましたとおり、原則として未成年後見ということになりますので、その後見人の選任ということになりますし、また親権者変更の手続ということになりますので、その手続につきましては一定の期間が掛かると。その間は未成年後見人あるいは変更後の親権者という者が実際上はいないという、そういう状況というものが、期間というものが手続の進行中は生じるということにはなろうかと思います。

糸数慶子君

これは大いに問題だということを指摘をしたいと思います。

事実婚夫婦には特別養子縁組で養親となることは可能でしょうか。

政府参考人(小野瀬厚君)

お答えいたします。

民法の八百十七条の三の第一項でございますが、特別養子縁組において養親となる者は配偶者のある者でなければならないというふうに規定しております。したがいまして、養親となる者は法律上の配偶者を有する者でなければなりませんで、事実婚のカップルは特別養子縁組においては養親となることはできないということになります。

糸数慶子君

今挙げていただいただけでも、法律婚と事実婚とでは大きな差があることが分かりました。

現行でも様々な差別があるのに、新たに設ける制度に差を付けることについては参考人からも厳しい指摘がありました。特に、二宮参考人は、上川法務大臣が、事実婚、同性婚など多様な生き方を排除するものではない、特に多様な家族の在り方に関する状況に十分熟慮し、今後も必要な検討を行うと発言されたことについて、今次改正に反映させなくて、排除するものではない、十分留意しと言えるのかと厳しく指摘をされています。また、上川大臣が、事実婚では、遺言とか事前の契約を結べば対応できると答弁していることについて、法律婚カップルの場合には求められない自助努力をなぜ事実婚の人たちに求めるのか、同じ家庭、共同生活であるのにそこに区別があるということは、やはり排除の論理があるように思われてならないと指摘をされています。

このような指摘について、大臣はどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

国務大臣(上川陽子君)

先日、参考人の質疑におきまして、二宮参考人からただいま委員御指摘のような内容の御発言があったということについては承知をしているところでございます。

本法律案につきましては、先回も申し上げたところでございますが、事実婚あるいは同性婚などの多様な生き方にも一定の配慮をするものでございまして、これを排除するものではないということについてはこれまでも答弁してきたとおりでございます。

この法律案が成立して施行された場合におきましては、その施行状況、また社会経済情勢の変化、特に多様な家族の在り方に関する状況等につきまして十分に留意しつつ、また今後も必要な検討を行っていくということについては繰り返し申し上げたところでございます。

糸数慶子君

憲法や条約に照らして差別的な規定を見直してきているという状況で新たな差別規定を設けることは、二〇二〇年に提出することになっている女性差別撤廃条約第九回政府報告の審査でも厳しい指摘がなされるものと思われます。

このことについて、男女共同参画担当大臣を経験された上川大臣の御見解をお伺いいたします。

国務大臣(上川陽子君)

御指摘のとおり、本法律案におきましては、配偶者居住権や特別寄与料など、被相続人の法律上の配偶者や被相続人の法律上の親族に該当する者とそれ以外の者との間で異なる取扱いをしているものが含まれているところでございます。

もっとも、これは、被相続人に権利を有していた者や、また債務を負っていた者等の利害関係人が不測の損害を受けることや、また相続をめぐる紛争が過度に長期化、複雑化することなどを防止するなど、合理的な理由に基づくものでありまして、不合理な差別には当たらないものというふうに考えております。この点につきましては、本法律案の成立後、国内のみならず、国際機関に対しましても丁寧に説明してまいりたいというふうに考えております。

また、先ほど申し上げたとおりでありまして、この法律案が施行された場合におきましては、その施行状況や、また社会経済情勢の変化等に十分に留意しつつ、相続法制の在り方につきまして今後も必要な検討を行っていくということにつきましては大変重要であるというふうに考えております。

糸数慶子君

時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。