国政報告

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特定複合観光施設区域整備法案について

第196回国会 2018年7月12日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

この度、委員外の私に貴重な時間を割いて質問の時間を与えていただきましたこと、委員長始め与野党の皆様に心からお礼を申し上げます。

質問に入ります前に、この西日本豪雨で亡くなられた方に心からの御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方、心からお見舞いを申し上げます。

さて、沖縄は、本土復帰前の一九七〇年前後、一国二制度の下に、カジノを誘致しようという動きがありましたが、子供たちの学ぶ環境に悪影響が出るのではないかと県民、特に教職員の反対が強く、実現いたしませんでした。

ところが、三十年たった二〇〇一年にカジノの誘致が再び浮上してまいりました。当時、県議会議員だった私は観光議員連盟に所属をしておりましたので、大きな議論となりました。そこで、まずカジノを見ようということになり、アメリカのラスベガス、韓国、マカオ、シンガポール、モナコ、オーストラリアなど、世界中のカジノの実態を見てまいりました。その立場から、カジノはどうしても反対しなければならないという結論に達しました。そのことで、本日はこの強い思いでこの場に立たせていただきました。

まず、石井大臣にお伺いいたします。

これまで多くの委員の皆様から様々な懸念や反対意見が述べられてまいりましたが、報道各社の世論調査でも国民の多くが反対と答えています。なぜギャンブルで金もうけをする道を選ぶのか、国民の反対をどう大臣は受け止めていらっしゃるのでしょうか。

国務大臣(石井啓一君)

IRにつきましては、カジノに関しまして様々な弊害を心配する声があることは承知をしております。

この要因としましては、国民の皆様の声に対応して依存防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策を重層的かつ多段階的に講じたクリーンなカジノであることや、日本型IRの実現が観光や地域振興、雇用創出など日本の成長戦略に資する大きな効果を生むものであることについて、まさにこれからIRの整備が行われることから、現時点において実感を持ってイメージをしていただきにくいこと等が考えられます。

政府といたしましては、IR整備法案の策定に当たり、その制度の大枠についてパブリックコメントや説明会を実施し、国民の意見を伺う機会を設けてきたところでありますが、今後、単なるカジノ施設ではない日本型IRのイメージを具体的に共有させていただくための全国キャラバンを実施をしてまいります。

引き続き、国民の皆様に丁寧に説明を行うとともに、依存防止対策などに万全を期しながら、世界中から観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと考えております。

糸数慶子君

政府はカジノ誘致を地域振興策と位置付けていますが、むしろ逆に弊害に苦しんでいるのが私が調査した実態であります。

実は、数年前、韓国の江原ランドを視察いたしました。韓国には当時十七のカジノがあり、自国民が入場できるのは江原ランドだけでありました。ここは元々炭鉱の町として栄えておりましたが、閉山によりカジノを誘致いたしました。なぜカジノを誘致したのか。それは、地域経済の立て直し策として政府が核廃棄物処理場、産廃処理場、こういうことを提案されましたが、それは住民に拒否されまして、最後に提案されたのがカジノだったわけです。

これを受け入れて、ところが、その後、衰退する町にこの究極の選択をさせたわけですが、当初、地域住民を優先的に雇用するという条件でありました。全従業員四千人のうち、半数の二千人が地元から雇用されました。

しかし、私どもが視察した当時、地元住民からは後悔と落胆の声ばかりが聞かれました。それは、全国からやってくる客の中に、カジノで全財産をなくした自殺者が、この江原ランドの施設だけでも毎年五人から十人に上るということでありました。また、負けを取り戻そうと、乗ってきた車まで質に入れた挙げ句、浮浪者になる人が二、三千人も出ているということで、カジノでつくった借金のために一家離散するケースや、子供を学校に通わせるのに浮浪者がたむろしている、その状況を危険に感じ、ほかの町へ引っ越す親子、地元に残ったのは行き場のないお年寄りだけでありました。

政府はカジノを地域振興策と位置付けていますが、ギャンブルは敗者からお金を巻き上げるシステムであり、振興策としては極めて不健全であり、成長産業とは言えないのではないかというふうに思います。実際、今、アメリカの議会の調査ですが、カジノ導入による社会的負荷はカジノの収益の四倍から六倍に上るとされ、韓国でも同じ結果が出ていると言っております。日本の国会も、導入前にこのような海外の実態を見ておくことが必要であると思います。

大臣、なぜこれが成長産業となるのでしょうか、御見解をお聞かせください。

国務大臣(石井啓一君)

日本型のIRは、カジノ施設のみならず、様々な誘客施設が一体となった総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出等の効果が非常に大きいと期待をされております。

我が国の日本型IRにおきましては、日本各地に存在をしております豊かな自然、固有の歴史、文化、伝統、食などの魅力を生かしつつ、これらを更に磨き上げ、IR施設全体としてこれまでにないスケールとクオリティーで魅力を発信することで、今委員から御紹介いただいた韓国など他国のIRにはない独自性と高い国際競争力を有し、幅広く世界中の観光客を引き付けることを目指しております。日本型IRの整備によりまして、新たな需要を生み出しまして、地域経済にも大いに貢献するものと考えております。

さらに、IR区域への来訪客に日本各地の魅力を発信をし、かつチケット手配などを通じて全国各地に送り出す送客機能を持たせることによりまして、IRが世界と日本の各地とをつなぐ交流のハブとなり、日本全体の経済成長につながると考えております。

糸数慶子君

依存症対策について伺います。

依存症対策をしなければならないことこそが問題であり、最も効果的な依存症対策はギャンブル施設をつくらないことだと断言いたします。

韓国では、ギャンブル産業は十六・五兆円と言われますが、ギャンブル依存症対策には七十八兆円が試算されています。これがなぜ経済効果と言えるのでしょうか、石井国交大臣に伺います。簡潔にお答えください。

政府参考人(中川真君)

お答え申し上げます。

IRに関して、新たな依存が生まれるのではないかという御懸念があることは重々承知しておりますし、また、それゆえにこのIR推進法案の当委員会での御審議の中でも様々な議論がなされ、そして附帯決議の中でもこの依存対策の重要性が強調され、さらには、たしか私の記憶では、当参議院内閣委員会におきましてこのIR推進法案そのものが修正されまして、カジノ施設の利用に伴うギャンブル依存症等の悪影響の防止がIR推進法の中に明確に規定されたという経緯をたどっていたというふうに考えてございます。

今、韓国の御指摘がございましたけれども、韓国の当局が出しているコスト要因の計算についても承知をしておりますけれども、そのコストの見通しの積算など個々の論点を見ますと、通常では使われない手法が用いられていたりとか、そこに掲載されている数字そのものについてはどこまで正確に、かつ韓国の国民に正しく伝えられているのかということなどをきちんと検証しなければいけないものだろうと思っております。

また、日本でIRを整備することに伴うそのリスクあるいはコストの把握につきましては、当委員会を含め、これまでも再々御答弁申し上げておりますとおり、現時点で日本のどこにどういう大きさのIRが、どういう事業内容のIRができないか、できるのか、それが確定していない段階では、国民に責任を持ってお示しするような試算を提供することが困難であるということにつきましては御理解を賜りたいというふうに思います。

糸数慶子君

今るるおっしゃいましたけれども、私、韓国の江原ランドに四回行きました。依存症の根深さを具体的に御紹介いたします。

一日八千人から一万人が訪れる江原ランドは、同じ施設内に韓国賭博中毒センターが設置されております。カジノ入場者は一か月十五日以内という入場制限がありますが、これを超えた人は中毒センターで相談を受けなければなりません。賭博依存率は、西洋人の二、三%に対し、韓国人は八%と高いのが特徴ということでした。アルコールや薬物中毒患者と違って外見からは分かりにくく自覚がないため、財産をすっかり使い果たした挙げ句に自殺してしまう人が多いということでした。

大臣、負の効果を真剣に受け止め、立ち止まる勇気を持っていただきたいということを切に望みます。

次に、通告をしておりましたけれども、時間がなくなってまいりましたので、一つ飛ばして五番目に参りたいと思います。

ギャンブル依存症と向き合う医療従事者、それから、支援団体だけではなく、日弁連、司法書士連合会、児童養護施設協議会などがカジノ解禁に反対の声明や意見書を出しています。また、カジノ誘致の候補地とされている地方議会や学会などからも意見書が多く出ています。

この声を大臣は踏みにじってまでも多くの問題をはらんだギャンブルが必要だと考えていらっしゃるのでしょうか。

国務大臣(石井啓一君)

IRにつきましては、確かにカジノに関しまして様々な弊害を心配する声があることは承知をしてございます。

カジノの設置につきましては、例えば、依存防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策として、厳格な入場規制や広告勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところであり、政府としては、IR整備法案の策定に当たり、その制度の大枠についてパブリックコメントや説明会を実施し、国民の意見を丁寧に伺う機会を設けてきたところであります。

現段階におきましては、このように国民の皆様の声に対応して、依存防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策を重層的かつ多段階的に講じたクリーンなカジノであることや、日本型IRの実現が観光や地域振興、雇用創出など日本の成長戦略に資する大きな効果を生み出すものであることについて、まさにこれからIRの整備が行われることから、実感を持ってイメージをしにくいと考えられます。

今後、単なるカジノ施設ではない日本型IRのイメージを具体的に共有させていただくための全国キャラバンを実施をしてまいります。

引き続き、国民の皆様に丁寧に説明を行うとともに、依存防止対策などに万全を期しながら、世界中から観光客を集める滞在型観光を推進してまいります。

糸数慶子君

私、カジノを含むIRによる外国人観光客の誘致を政府は見込んでいるようですが、衆議院で参考人でありました新里弁護士が、想定されるカジノ客の七、八割は日本人だということを報告をしておりました。オーストラリアも見てまいりましたけれども、外国人の観光客を見込んだけれども成り立たず、結果的には自国民に開放しているということでありました。政府に対しましては、このカジノの利用客、外国人と日本人の割合を具体的に試算をしていただきたいと思います。

さて、時間がなくなりましたので、もう質問これで終わりにいたしますけれども、パドックという言葉を御存じでしょうか。競馬用語のことではありません。マカオでは、カジノの周辺で十代と見られる若い女性が大勢たむろし、露出度の高いファッションで男性に声を掛け、客が見付かるまでぐるぐるホテルの中を歩き回っていることから、競馬場のパドックとやゆされておりました。若い女性が昼夜を問わず客引きをさせられているその背景には、裏組織の過酷な監視があると聞きました。若い女性がカジノとセットになった商品として使い捨てされているという現実も見てまいりました。カジノの闇はむしろ地域を閉塞に追い込むのではないでしょうか。

これまでカジノの現場を見てきた立場で様々な問題点を挙げてまいりましたが、この問題は、私が今手元に持っておりますが、沢木耕太郎さんの「波の音が消えるまで」というこの本の中に克明につづられております。石井大臣、カジノを解禁する前に是非御一読していただけますようにお勧めをしたいと思います。

沖縄は基地で経済が成り立っているとまで言われてまいりましたが、決してそうではありません。沖縄の観光収入は毎年増え続けておりますし、むしろ基地が経済の阻害要因となっております。

沖縄の観光はハワイがお手本だというふうに言ってきております。

委員長(柘植芳文君)

時間が過ぎておりますので、おまとめください。

糸数慶子君

ハワイはカジノを導入しておりません。地元の自然を壊すことなく豊かに育て、伝統に培われた芸能や文化、独自の魅力を持っております。

食文化を素材とすれば、観光資源は私たちの足下に限りなく広がっております。これこそがまさに外国からのお客様をもてなすことであって、決してギャンブルで外国の方々を呼び込むことではないということを強く申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。