国政報告

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大臣所信、難民認定、女性に対する暴力、選択的夫婦別姓制度、無戸籍者問題について

第197回臨時国会 2018年11月15日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

山下大臣、法務大臣就任おめでとうございます。山下大臣の派閥の先輩で政界を引退された谷垣元大臣は、私とは立場の違いがありましたが、委員会質疑では丁寧で、答弁をしていただきました。誠実に、丁寧に答弁をしてくださいました。山下大臣とは、憲法、アベノミクス、カジノ、核武装など政策や主張で相入れないものはありますが、法律家であり、建設的で分かりやすい御答弁を期待をしております。

今年の七月六日、東京拘置所で三人、大阪拘置所で二人、広島拘置所で一人、福岡拘置所で一人、計七人が死刑執行されました。そのうち六人が再審請求中でありました。同時に、多数の死刑執行に驚きと失望を禁じることができません。しかも、署名をされた上川前大臣は、死刑執行の前日、山下大臣の地元でもあります西日本でのまさに豪雨が予見され、気象庁の緊急会見が開かれた後、いわゆる赤坂自民亭という宴会のおかみとして参加されていたということは衝撃をもって受け止めました。

日弁連によりますと、昨年末現在、百四十二か国が法律で廃止あるいは十年以上死刑を執行していない事実上の廃止国であり、うち百六か国が全ての犯罪について死刑を廃止をしております。OECD加盟国のうち死刑を存置しているのは日本、韓国、アメリカだけですが、韓国は十年以上死刑執行していない事実上の死刑廃止国であり、アメリカは十九の州が死刑を廃止し、四つの州が死刑執行モラトリアムを宣言しています。死刑を国家として統一して執行しているのは、OECD加盟国の中で日本のみということです。

死刑廃止は国際的な潮流であり、国連の各人権委員会は死刑執行を続ける日本に対し、執行の停止と死刑廃止の検討を行うよう度々勧告をしております。二〇二〇年はオリンピック、パラリンピックや京都コングレスが開催され、日本が国際的な注目を集めます。人権後進国という不名誉なレッテルを貼られるのではないかと大変憂慮しております。

改めて国家による重大かつ深刻な人権侵害である死刑執行に対し強く抗議をし、質問に入ります。

まず、難民認定と入管法関連についてお伺いをいたします。

安倍政権は、言葉の誤用が非常に多いと言わざるを得ません。例えば、森友、加計問題でも、丁寧に説明と答弁をされる一方で、納得できる説明はされておりません。また、沖縄県民の心に寄り添いと言いながら、新基地建設においては県民の意思を踏みにじる行為を強行されています。

大臣、人は何に最も怒りを感じると思われるでしょうか。人は差別を受けたときに最も怒りを覚えるのではないでしょうか。

今年は明治百五十年で、政府は記念式典を行いました。沖縄県民は苦難の原点と受け止めています。また、安倍政権が二〇一三年に定めた主権回復の日、四月二十八日ですが、サンフランシスコ講和条約発効の一九五二年、昭和二十七年、当時、沖縄、奄美、小笠原は米国の施政権下のまま、沖縄では屈辱の日、奄美では痛恨の日と呼ばれているのを大臣は御存じでしょうか。明治維新後の富国強兵、帝国主義が、琉球処分、そして沖縄戦につながっているためです。沖縄戦が終わり、サンフランシスコ講和条約によって、日本の独立と引換えに沖縄は米軍支配下に置かれました。

復帰をして今日まで、現在も米軍専用施設の約七〇%が沖縄に集中し、事件や事故が後を絶ちません。さらに、沖縄県民が選挙で新基地建設反対の民意を再三示したにもかかわらず、新基地建設が強行されようとしています。沖縄県民の心に寄り添うと言葉だけが誠実で態度が不誠実では信頼を得ることはできないということを申し上げ、在留外国人の処遇と入管の問題について質問いたします。

私は、法務委員会で技能実習生や難民認定と入管の問題を度々質問してまいりました。残念ながら、改善されていないばかりか、適正の名の下にますます厳しい状況になるのではないかと危惧しております。環境整備が整わないまま新たな外国人を受け入れるための入管法改正には反対です。

山下大臣は所信表明で、外国人材の受入れとして入管法改正の必要性を強調されました。また、難民問題について、庇護が必要な申請者には早期に安定した在留許可をする等更なる配慮を行いと述べられました。

難民保護というのは受入れ国社会の人権意識を映す鏡、あるいは、刑務所を見ればその国の真の姿を見ることができると言われております。人権が制限された人をどう扱っているかで、その国のありようが見えるということだと思います。

全国難民弁護団連絡会議代表の渡邉彰悟弁護士は、難民認定を受けられない多くの難民たちは入管施設に無制限に収容され、心と体がむしばまれ、第二の迫害とも言える苦痛に直面していると訴えておられます。現状を御理解いただけるよう、具体的なケースを御紹介したいと思います。

本日、ここにも御家族の方がお見えでございますが、二〇一四年の四月二十日に来日されました一九八一年一月一日生まれのクルド人のメメットさん、この方の御家族が今日こちらにいらしております。成田で捕まり、牛久入管に十か月収容されていたので、収容されたのは今回で二度目ということです。

二〇一七年十月三十日、一度目の難民申請が認められなかったことで収容されました。メメットさんはトルコのガジアンテップ出身でありますが、トルコではクルド人の差別や迫害があり、クルドの国民民主主義党、HDPの党首ですら、与党エルドアン政権により逮捕されました。

メメットさんは、政治犯の疑いで逮捕され刑務所に入ったことがあります。出所後、二十四歳のときに徴兵されますが、要注意人物とみなされているため銃を持たされることはなく、ひたすらトイレやシャワーの掃除といった軍の中では最も下の地位に付けられたということであります。解放後、結婚したものの、トルコ政府の監視下に置かれ、何度も家まで視察に来て、毎回サインをさせられたということであります。そこで、これ以上はトルコで暮らせないと判断をし、四年前に来日されました。

四年の半分近くを収容所で過ごされています。しかし、メメットさんは首のヘルニアの持病があり、左半身がしびれる状態にあります。病院に連れていってもらえずに血圧の下が百以上の日々が続いたにもかかわらず、監視カメラ付きの部屋に一日中入れられ、適切な処置は受けられませんでした。ついに倒れて高輪病院に運ばれましたが、目撃者によりますと、倒れている状態にもかかわらず、手錠を掛けられていたということなんです。病院では検査を受けたそうですが、病名などは本人には知らされておらず、いまだ病気は治らず、苦しい日々を過ごしていらっしゃると言われております。

御家族は、本日傍聴されていらっしゃる妻のネルギスさん、そして小学校五年生の男のお子さんと小学校一年生と五歳の女のお子さんであります。収容されているため、長女の入学式と次女のヘルニアの手術に立ち会うこともできませんでした。

妻のネルギスさんは三人の子供を抱え、ストレスの余り非常に不安定な状態になっていらっしゃいます。親戚からの手助けもありますが、基本的にはみんな自分のことで手がいっぱいなので、どうしても負担が圧倒的に妻のネルギスさんに掛かってしまいます。

メメットさんに面会するときは二人のお子さんは学校を休まなければならないので、それこそ勉強どころではありません。最寄りの駅から家は遠いということですが、お金がないためバスは一切使わない。面会のために三人のお子さんを連れ川口から入管へ通うのに、電車賃が掛かる上、駅のホームや長時間の歩行は本当に危険であるという、そういう実態に置かれています。

こういうケースはまさに庇護が必要だと思いますが、このような御家族の方々の苦しみや悲しみを山下大臣はどう受け止めておられるのでしょうか。受け止められるでしょうか。

国務大臣(山下貴司君)

まず、委員が御紹介いただきました御家族もおいでであるということでございますが、誠に申し訳ありませんが、法務大臣としては、個別の事案についてはお答えは差し控えさせていただくというふうにお答えせざるを得ません。

その上で、入管法における難民というのが、難民条約上及び難民議定書で規定する難民と同じであって、基本的に、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けないことが、できない者又は望まない者をいうということになっております。

法務省におきましては、申請者が難民条約上の難民に該当するか否かについて、先ほど申し上げた国籍を有する者が迫害のために国籍国の外にいる場合のほか、無国籍者が迫害のために常居所を有していた国の外にいる場合も難民と定義しているわけでございますが、そういった事情について個別に審査の上、難民と定義すべき者を適正に認定していると承知しております。

ただ、条約上の難民とは認定できない場合であっても、本国情勢などを踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる場合には、我が国への在留を認める配慮をしているところでございます。

そういった真に庇護が必要な者への配慮として、本年一月から、我が国に正規に在留する者が難民申請した場合に、真に庇護が必要な者に対しては判明次第就労を認め、これまでより早期に生活の安定を図れるようにしているところでございます。

他方、残念ながら在留資格が認められない者に関しては、それぞれに個別の事情があるとは思います。しかし、原則として在留資格が認められない以上、退去強制ということに我が国の法制上なっているわけでございます。

いずれにせよ、この所信表明でさせていただいた真に庇護を必要とする方への保護については、しっかり図ってまいりたいというふうに考えております。

糸数慶子君

まさに今大臣がお答えをされましたけれども、真に保護や庇護が必要な申請者に安定した在留が認められるように心からお願いをしたいと思います。

次の質問に入ります。

次に、人権政策について伺います。山下大臣の所信表明では、女性活躍については言及がありましたが、人権政策については言及がありませんでした。とりわけ女性の人権について、先ほど質問もございましたけれども、小川委員の方からもございましたが、とりわけ女性の人権について改めてお伺いをしたいと思います。

山下大臣も本日はパープルリボンを付けておられますが、今月十二日から二十五日は女性に対する暴力をなくす運動の期間であります。三人に一人以上がドメスティック・バイオレンス、つまりDVで亡くなっている中、人権を所管する法務大臣には、是非この期間、啓発活動に貢献をしていただきたいと思っております。

女性に対する暴力をなくすためにはどのような取組を行われるのか、法務大臣に伺います。

国務大臣(山下貴司君)

お答えいたします。

女性に対する暴力は、その女性の人権を著しく侵害するものであって、我が国が男女共同参画社会を形成していく上でも、政府一丸となって克服すべき重要な課題であると認識しております。

そしてまた、女性の人権について御指摘がございましたけれども、私自身、議員立法としてストーカー規制法改正法あるいはリベンジポルノ防止法などを議員立法としてさせていただいて、委員の皆様の御指導をいただきながら成立をさせていただいたところでもございます。

そういったことで、今法務省を預かる立場になっておるわけでございますが、今、政府においては、本月十二日から二十五日までの二週間、女性に対する暴力をなくす運動を実施し、社会の意識啓発など、女性に対する暴力の問題に対する取組を一層強化することとしております。

私自身も、こうした認識の下、女性に対する暴力根絶運動のシンボルであるパープルリボンを思いを持って付けさせていただいているところでございます。

まず、法務省における取組につきましては、法務省の人権擁護機関においては、女性の人権問題に関する専用相談電話、これは女性の人権ホットラインというものを設置して、女性をめぐる様々な人権問題に関する相談を受け付けているところでございます。特に、この女性に対する暴力をなくす運動の期間と重なる本月十二日から十八日までの七日間は、相談の受付期間を延長するなど、その体制を強化させていただいているところでございます。また、このホットラインのほか、ホームページにおいてインターネット人権相談、これも実施しておりまして、もちろん女性に対する暴力あるいは人権侵害についても二十四時間メールでも受け付けているところでございます。

また、日本司法支援センター、通称法テラスにおきましては、本年一月から、改正総合法律支援法に基づいて、DVやストーカー等の被害者を対象として被害の防止に関して必要な法律相談を実施しております。

引き続き、法務省におきましてもこれらの取組を着実に実施し、政府一丸となって女性に対する暴力や人権侵害の根絶に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。

糸数慶子君

次に、選択的夫婦別姓制度について伺います。

私は、法務委員となってから全ての法務大臣にこの問題を質問してまいりました。山下大臣にも同様に伺いますので、是非前向きの御答弁をお願いしたいと思います。

一九九六年二月に法制審議会が選択的夫婦別姓制度導入の民法改正案要綱を法務大臣に答申してから二十二年がたちました。しかし、いまだに法改正がされておりません。答申の柱のうち、婚外子相続分、再婚禁止期間、婚姻最低年齢の民法改正は行われましたが、選択的夫婦別姓だけが残された格好です。法制審議会が五年の歳月を掛け様々な検討を行って答申したにもかかわらず、政府は世論を理由に民法改正には消極的であります。

しかし、最近では家族の多様化や通称使用の広がりなどから、夫婦で違う名前を名のることに違和感がなくなり、民法改正に賛成する方も増えています。もはや反対する理由は見付かりません。

今年二月の内閣府の世論調査が公表され、国会質疑でも度々取り上げてきました。上川前大臣は、世代間の意見に大きな違いが見られたことなど、貴重なデータが含まれているものと考えられるとした上で、今後しっかりときめ細やかな分析をして、過去の世論調査の結果とともに比較検討を行うなどした上で、引き続き対応の検討をしていくと答弁をされました。

昨年十二月五日の法務委員会で、御理解をいただけない六十代、七十代のインターネットの使用が少ない世代なので、インターネットだけの周知では理解も議論も深まらないのではないかと申し上げ、小野瀬民事局長は、国民的な議論が深まることが重要と認識しておりまして、周知の在り方につきましても工夫の余地があるか検討してまいりたいと答弁をされていました。残念ながら、誠実に対応されているとは言えません。

ウエブサイトに二月公表の世論調査結果がアップされなかったことについて、山下大臣は十月十九日の会見で、内閣府における公表から約八か月も要したというのは極めて遺憾、今後は国民の皆様への情報発信を速やかにするよう、改めて私から指示したと述べていらっしゃいます。

そこで大臣に伺いますが、国民の理解が深まるよう今後どのような取組を行われるのか、具体的にお示しください。

国務大臣(山下貴司君)

お答えいたします。

まず、法務省では、選択的夫婦別氏制度についての国民の理解の一助としていただくため、法務省のホームページ内に選択的夫婦別氏制度の趣旨、政府内における検討経過、世論調査の結果等を掲載しております。この記事につきましては、先月中旬、更新作業を行いましたが、その際には、法務省のトップページに選択的夫婦別氏制度についてのバナーを掲載させていただいたほか、世論調査の結果を新たにグラフ化したものも掲載するなどの改良を加えさせていただきました。このグラフについては、おおむね五年ごとに行われてきたこれまでの調査結果の推移だけではなく、昨年十二月の調査における調査対象者の男女別、年代別、未婚、既婚の別、子供の有無の別による調査結果も併せて掲載するなどの工夫をさせていただきました。

法務省では、これらの取組によって、選択的夫婦別氏制度を始め家族の在り方をめぐる諸問題に関して国民の理解が深まることを期待しておりますが、今後の更なる情報発信の工夫についても、引き続き検討して実施してまいりたいと考えております。

糸数慶子君

今の御答弁は極めて遺憾でございます。大臣も内閣府における公表から八か月も要したというのは極めて遺憾というふうにおっしゃいますけれども、これはやはり、これまで小川委員からもございましたし、また国民の間でも、とりわけこれから結婚するという若い人たち、そういう若年者の間ではかなりこのことに対して賛成という、そういう結果が出ていることも事実でございます。その世論の動向を見極めるというのであれば、やはり今の答弁では不満でございます。これからの取組に期待をしつつ、改めてまた次も質問させていただきたいと思います。

次に、嫡出推定と親子法制について伺います。

民法七百七十二条の嫡出推定規定の見直しなどを検討するなど、嫡出推定制度を中心とした親子法制の在り方に関する研究会が発足し、十月十八日に第一回研究会が開催されました。

嫡出推定規定のために出生届が提出されず無戸籍となっている子供の問題が二〇〇七年に大きく取り上げられ、規定の見直しを求める声が高まっていましたが、当初、法務省は同規定には合理性があるとして見直しに消極的でしたが、無戸籍者の実態調査や無戸籍の解消に向けた取組を求める声を受け、実態調査が行われたと承知をしております。

法務省は八月十日時点で七百十五人の無戸籍者を把握されていますが、実態は明らかではなく、更なる取組の必要性が求められ、上川前法務大臣が研究会立ち上げの意向を示されていました。研究会では、生殖補助医療で生まれた子供の法的な親子関係を定める議論も行う予定と承知をしています。

私は、何度か法制審議会に諮問していただくよう求めてまいりましたが、研究会で議論することになったその経緯と、研究会の人選がどのように行われたのか、お伺いしたいと思います。

国務大臣(山下貴司君)

御指摘の民法が定める嫡出推定制度については、いわゆる無戸籍者問題の一因となっているとの指摘がなされております。そしてまた、無戸籍者として把握された方を対象として行った調査についても、無戸籍となった理由として嫡出推定制度の存在を挙げた方が全体の八割近くに上ることが判明いたしました。

こうした状況を踏まえて、先月、平成三十年十月に嫡出推定制度を中心とした親子法制の在り方に関する研究会が発足いたしましたことから、これは、法制審議会への諮問の前に嫡出推定制度についての論点の整理等を行うために、法務省の担当官もこれに参加しております、そして検討を進めることにしているものでございます。

研究会の委員の人選につきまして、この研究会自体は民間団体が主催するものでありまして、これは、例えば東京大学の大村敦志教授を座長として、親子法制を専門とする研究者や法律実務家等が委員として参加しているものと承知しております。

糸数慶子君

ありがとうございました。

ほかにも通告をしておりましたが、もう時間がなくなりましたので、通告した質問はまた改めてお伺いをしたいと思います。

これで私の質問を終わります。ありがとうございました。