国政報告

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徴用工をめぐる最高裁判決、パスポートの通称使用、外国人労働者の受入れ拡大の入管法改正

第197回臨時国会 2018年11月29日 法務委員会

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。

横山委員長、私は、二十二日の法務委員会の冒頭で、この委員会運営においては野党の意見を尊重し、誠実に対応していただくようお願いをいたしました。残念ながら、誠実どころか余りの乱暴なこの委員会の設置に怒りを禁じ得ません。恐らく、参議院の職員も役所の職員も議員事務所も、多くがほとんど徹夜の作業を強いられたのではないかというふうに思われます。中立公平な立場であるべき委員長が、野党の意見に耳を貸すことなく、理性を失い常軌を逸した委員会の運営をされていること、そのことに強く抗議をし、質問いたします。

まず、徴用工をめぐる最高裁判決について伺います。

日本における朝鮮半島統治下で日本の製鉄所で労働を強いられたとし、元徴用工の韓国人四人が損害賠償を求めた訴訟で、韓国の最高裁は十月三十日、元徴用工のその請求を認めて、新日鉄住金に損害賠償の支払を命じる判決を言い渡しました。

韓国の最高裁は二〇一二年五月、上告審で、植民地支配の合法性について日韓両国が合意しないまま協定を結んだ状態で、日本の国家権力が関与した不法行為による損害賠償請求権が請求権協定で解決されたと見るのは難しいとして個人請求は消滅していないと判断、二審判決を破棄し、差し戻しました。ソウル高裁は、二〇一三年七月の差戻し審で新日鉄住金に約四千万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。しかし、被告の新日鉄住金は請求権は消滅したとする日本政府の見解に基づき上告し、朴槿恵政権は判決を先延ばしにし、文在寅政権となって今回の判決が出されたわけです。

この判決直後から、日本政府は、既に解決済みや、あり得ない判断などと抗議し、韓国政府を批判しています。河野外務大臣は即日、韓国の李洙勲駐日大使を外務省に呼び、日韓請求権協定に明らかに違反し、国際社会の常識では考えられないことが起きていると抗議をいたしました。日本の企業や日本国民に不利益が生じないよう、直ちに必要な措置を厳格にとってもらいたいと強く求めたと報じられています。

他国の独立した司法の判断が出たからといって、日本政府がこのような抗議を行い、メディアの多くが解決済みなどと報道し、ネット上ではすさまじい韓国批判が行われていることに、正直戸惑い、違和感を覚えました。

一九一〇年、大日本帝国と大韓帝国は日韓併合条約を締結し、日本が朝鮮半島を統治下に置き、三十六年に及ぶ植民地支配が始まりました。韓国は武力を背景に不法に締結させられたと主張し、日本は国際法に基づいて合法的に締結されたと主張したことから、認識の違いを超えることはできず、いわゆる玉虫色の決着をしたため、植民地支配に対する賠償は行われませんでした。

そこで、外務省にお伺いいたします。

日本政府は、請求権は完全かつ最終的に解決されたという立場を取っていますが、一九九一年八月二十七日の参議院の予算委員会で清水澄子議員の、請求権は解決済みとされてまいりましたが、今後も民間の請求権は一切認めない方針を貫くおつもりですかとの質問に対し、当時の外務省の柳井俊二条約局長は、日韓請求権協定におきまして両国間の請求権の問題は最終的かつ完全に解決したわけでございますと答弁した上で、その意味するところについては何と答弁されているのでしょうか、外務省の方にお尋ねいたします。

政府参考人(田村政美君)

お答え申し上げます。

個人の請求権を含め、日韓間の財産請求権の問題は、日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるというのが我が国政府の一貫した立場でございます。

具体的には、日韓両国は同協定第二条一で請求権の問題は完全かつ最終的に解決されたものであることを明示的に確認し、第二条三で一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対する全ての請求権に関していかなる主張もすることができないとしていることから、このような個人の請求権は法的に救済されないものとなっております。

糸数慶子君

「いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます。」というふうにそのときは答弁されています。完全かつ最終的に解決されたと言いながら、実は請求権協定も曖昧な部分を残したまま政治決着が図られたということだと思います。

過去の外務省見解を振り返ることなく、外交の最高責任者が感情的に韓国政府を批判することは、両国間の友好関係に水を差し、米朝首脳会談以降、朝鮮半島情勢が大きく変わろうとする中、日本が蚊帳の外に置かれてしまうのではないかと大変危惧しております。

法的な解決が行われても、日本が植民地支配したその道義的責任は消えないのだということを申し上げ、次の質問に入りたいと思います。

次に、パスポートの通称使用について伺います。

母親が旧姓使用しているお子さんのパスポートの通称使用についてでありますが、外務省は、一定の要件を満たした場合、パスポートに旧姓の通称を併記することを認めております。旧姓を認めているのは、戸籍謄抄本で旧姓であることが記載され、判断できるからです。それでは、戸籍で母親の旧姓が確認できるお子さんの通称使用についてお伺いをしたいと思います。

これは具体的な事例でお示しをしたいと思いますが、谷さんと吉井さんは法律婚をしていて、夫の谷さんが筆頭者で、妻の吉井さんは旧姓を通称使用されています。お二人には三人のお子さんがいらっしゃいますが、二人の男のお子さんは父親の姓である谷を名のり、つまり戸籍名を名のっています。娘さんは母親の旧姓である吉井を学校でも通称使用されています。母親は旧姓併記のパスポートを持っています。娘さん、パスポートを作るためパスポートセンターに行ったところ、旧姓ではないため、通称を併記することはできないとされたそうです。しかし、戸籍謄本では母親の旧姓が確認できるため通称が可能なはずだと思い、職員にお願いをしたところ、改めてできないと言われたため、とうとう離婚をされ、娘さんを吉井さんの戸籍に入れて、母親の旧姓でのパスポートを作ることにしたそうです。この方法以外方法はないということでしたが、夫婦、親子として共同生活をしている家族が、自分のパスポートに通称を付記したいためにペーパー離婚までされたということであります。

しかし、外国人と結婚したお子さんについては母親の通称が併記されると伺っていますが、なぜ日本人同士だと不可能なのでしょうか。仮に、再婚され、親権が父親となった場合、お子さんの旧姓は吉井となるため、旧姓併記が可能となるのか伺います。できないのであれば、その根拠も併せてお示しください。外務省に伺います。

政府参考人(高橋克彦君)

お答えいたします。

旅券は日本政府が所持人の身分を国際的に保障する身分証明書でございます。旅券への氏名の表記は厳格に行う必要がございます。したがいまして、旅券に記載する氏名は戸籍に記載されている氏名を表記することを原則としております。

したがいまして、旧姓や通称といった別名の併記は必ず認められるものではございません。旅券への併記の適否については、申請内容を踏まえ個別に審査して判断することになります。

今委員の方から具体的な質問ございましたけれども、この場で個別の事案の判断について回答することは差し控えさせていただきたいと思います。

糸数慶子君

外国人と結婚した方のお子さんについては母親の通称が併記されるということなのですが、日本人の場合はそれができないということ、本当に時代遅れだと思います。改めて質問させていただきたいと思います。

次に、外国人労働者の受入れ拡大の入管法改正についてお伺いしたいと思います。

国の権力を一か所に集中させない仕組みとして、立法、行政、司法の三権分立があり、中でも、立法の権限は行政、司法よりやや強い権限を持つ国会中心主義を取っています、我が国は。しかし、安倍政権となってから、官邸中心主義かと思われるほど、政府をチェックするべき国会までもが理性を失ったかのような国会運営が続いています。

これは一昨日、大島理森衆議院議長は、自民、公明の国対委員長に対し、この法案は大変重い、政省令も多岐にわたる、施行前に法制度の全体像を明らかにすべきだと述べ、政省令ができた段階で政府から国会に報告するよう求められました。改めて異例のことだと思います。まず、大島議長が懸念をされ報告を求められたことをどのように山下法務大臣は受け止められているのか、お伺いいたします。

国務大臣(山下貴司君)

議長のこのお求めに対しては非常に重く受け止めております。

その上で、なぜこういった、要するに政省令ができた段階で国会に報告するよう求めたということにつきまして、これは入管法の体系上の問題によるところでございます。すなわち、今回新たに在留資格を認めます。これは在留資格の新設に関わることでございますが、在留資格の定め方は、入管法上、第二条の二によりまして、まず一項において在留資格について、そして二項については、例えば本邦において別表に掲げる活動を行うことというのを定めることとなっております。そして、別表上、在留資格とこの本邦において行う活動、これが別表において、これは法律の一部を成すわけでありますが、これが定めることとなっている。そして、その在留期間については、二条の二の三項において法務省令で定めるというふうになっております。

そして、この別表の定め方につきましては、これは概括的なところを法律事項として定めており、具体的な細部事項につきましては、例えば入管法七条の上陸基準省令におきまして、例えば我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して定められるべき事項についてはこの法務省令で定めるということになっておりまして、これが上陸基準省令というふうな構造にこの入管法の体系上なっているということを是非御理解賜ればというふうに思っております。

その上で、こういった出入国管理及び難民認定法は、本来的に上陸基準省令など法務省令等の下位法令に委ねるところが多いというところでございますが、先ほど申し上げたように、衆議院議長のお求めを深く受け止め、本改正法施行前に、この政省令事項を含む法制度の全体像を国会にしっかりと報告することによって制度の全容をお示ししたいというふうに考えております。

糸数慶子君

新たな外国人材の受入れは、今年二月の経済財政諮問会議における安倍首相による検討の指示に始まり、六月の経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太の方針というその状況の中で方向付けられ、入管法及び法務省設置法改正案、以下改正案と申しますが、その改正案の骨子が公表されたのは十月の十二日であり、最終的に十一月二日に閣議決定され、国会に上程されました。しかし、この間、検討の結果は示されたものの、それに至る検討の内容についてはほとんど明らかにされませんでした。

国会での審議が始まっても、衆議院で費やされた時間は僅か十七時間のみ、それも、失踪した技能実習生に対する聴取データ、その集計に誤りがあったことが発覚したにもかかわらず、そうした重大な問題に関して向き合おうともせず、採決ありきでこの度の入管法改正の審議が進められたこと、そのことに対し、改めて強く抗議いたします。

とりわけ、多くの人権侵害を引き起こし、国連の人権委員会を始めとした国際社会からも厳しい批判をされてきた技能実習制度を新たな受入れの枠組みの中に組み込むことについて、本気で考え直していただくことが必要だと考えます。

外国人材の受入れとしては、人の受入れであります。労働者として迎え入れた人々の人権をこの社会がどうやって守っていくのかという問題であります。国会審議だけでなく、在留外国人の人々の上に、また日本の社会のそれぞれ地域、現場でどのようなことが起こっているのか十分に検証し、また全体での議論を行う場を設置し、包括的な移民政策を策定すべきだということを申し上げ、質問いたします。

一点目、透明性に欠ける入国管理局の在り方について伺います。

入管法改正案において具体的運用に関わる事項が定められておらず、新たに受け入れる外国人の在留資格や受入れの詳細といった制度の根幹に関わる部分については、閣議決定や関係閣僚会議、省令によって定めるとされています。入国管理局の今までの姿勢を見ますと、それが透明性を確保する形で行われるのか、疑問を抱かざるを得ません。

例えば、今お手元に資料を配付しております。この資料は、被退去強制令書発付者に対する仮放免措置に係る適切な運用と動静監視強化の更なる徹底について(指示)という文書でございます。それを見ていただければお分かりですが、外国人の収容が長期化していることは皆様御案内のことかと存じます。その原因の一つに、収容施設に入れられた外国人の身柄の拘束を仮に解く仮放免の許可が出づらくなっているということがあります。

内容は、仮放免を許可することが適当とは認められない者は、送還の見込みが立たない者であっても、収容に耐え難い傷病者でない限り、原則、送還が可能となるまで収容を継続し送還に努めるというふうにされています。しかも、文書の後ろの方はほとんど黒塗りであります。

収容とは、その者の身体を拘束し、自由を奪う行為であります。厳密かつ慎重、そして透明性の高い運用が行われるべきではないでしょうか。そのための方針が、このような入国管理局長の指示によって黒塗りばかりの秘密裏に決められてしまってよいのでしょうか。

出入国管理行政全般において、今後、透明性の向上についてどのように努めていくのか、入国管理局長の考えをお聞かせください。

政府参考人(和田雅樹君)

お答え申し上げます。

入国管理局といたしましても、行政の透明性が重要であるということは十分に認識しているつもりでございまして、例えばガイドラインでございますとか要領など、申請者の利便性に資する情報についてホームページで公開するなどしているところでございます。

一方、御指摘のございましたマスキングのあります退令仮放免者の運用に係る事務でございますが、これはその事務の性質上、当該マスキング部分に記載されております箇所を公にすることにより公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるほか、仮放免事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、該当部分についてマスキングを施しているものでございます。

このように、入国管理局の保有している情報の中には、業務の性質上、必ずしも公開に適さないものがあることについては御理解をいただいた上で、入国管理局といたしましても、行政の透明性の向上に努めていくよう、努めてまいりたいと考えているところでございます。

糸数慶子君

ただいまの答弁は納得がいきませんが、時間が参りましたので、続きは午後の質疑に回したいと思います。

ありがとうございました。

<午後 対政府質疑>

糸数慶子君

沖縄の風、糸数慶子です。午前に引き続き、質問させていただきます。

改正案は、当面するその労働力不足への対応であり、中長期的な政策は今後の課題とされています。しかし、外国人労働者政策の大きな転換でもあるわけですが、このような重要な課題において拙速な、あるいは場当たり的な対応は許されません。

そこで、在留外国人を含む日本社会の構成を反映した多様なメンバーから成る組織を設置し、包括的かつ恒常的に中長期的な政策について検討する場を設置する必要があると考えますが、これについて大臣の見解を伺います。

政府参考人(和田雅樹君)

外国人材の受入れの在り方につきましては、これまで、昨年六月に閣議決定されました未来投資戦略に基づきまして真に必要な分野に着目しつつ検討を行い、本年二月の経済財政諮問会議においても御議論いただいたところでございます。

これを受けまして、総理大臣の御指示により、内閣官房及び法務省を中心といたしまして本年二月から五月までの間にタスクフォースを開催し関係省庁とともに検討を行い、本年六月の骨太の方針二〇一八に制度の基本的な方向性が盛り込まれたものでございます。その上で、本年七月の外国人材の受入れ・共生に係る関係閣僚会議におきまして新たな外国人材の受入れ制度の実施に向けた取組に関する検討の方向性が示され、改正法案の骨子が十月の閣僚会議において了承されたものでございます。

このように、政府といたしましては、喫緊の課題である現下の深刻な人手不足に対応するため、新たな外国人材の受入れ制度については様々な御意見も踏まえつつ積極的、継続的に検討を重ねてきたものでございまして、この法案に関しまして御指摘のような検討の場を設けるということは考えてはおりませんが、一方で、我々は、例えば政策懇談会など様々な場におきまして様々な御意見を聴取しながら入管行政の在り方について検討しているところでございます。

糸数慶子君

既に、今年の六月末における在留外国人の数ですが、二百六十三万七千人、これ速報値でございますけど、二百六十三万七千人に上っており、総人口の約二%を超えております。また、現状においても年四十万人に上る流入があり、移民受入れ大国であるとの指摘もあるわけです。

将来の日本社会に対して新たな外国人材の受入れがどのような結果、例えば人口構成、社会保障、経済成長、財政、医療、教育、地域社会などなどをもたらすか、一九八〇年代後半以降の経緯を踏まえて、その見通しを明らかにしていただきたいと思います。

政府参考人(和田雅樹君)

今回の制度の導入によりまして、現下の深刻な人手不足に対応いたしまして受け入れる分野の存続、発展が実現されるということになると考えておりますが、そのほか、その受入れが各方面にどのような結果をもたらすかと、こういうことについて正確に展望することはなかなか難しいところであろうかと思います。ただ、各方面にそれぞれに変化があればこれも検証しつつ、必要な対応を行っていくこととなろうかと思います。

糸数慶子君

次に、出入国在留管理庁が外国人の受入れ環境整備の司令塔的役割を果たすことについて伺います。

改正案では、現在の入国管理局を格上げして出入国在留管理庁を設置することとされました。同庁の任務は、出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ることとされ、また同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることとされています。しかし、外国人の権利擁護や利便性向上に関することは全く記載されておらず、共生や支援といった単語はありません。

六月十五日に閣議決定された骨太の方針には、外国人の受入れ環境の整備は法務省が総合的調整機能を持つ司令塔的役割を果たすとされました。また、七月二十四日の関係閣僚会議に出された外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策、これ案でありますが、対策では、労働や在留資格に限らず生活者としての外国人に対する支援として、言語、教育、医療・保険・福祉サービス、防災など多種多様な分野にまたがる課題が挙げられています。

外国人材の受入れ・共生のための幅広い支援は省庁横断的な対応を求められていますが、そもそも出入国及び在留の管理を本務とする法務省とは行政の質が大きく異なります。

そこで、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策を実施する別個の組織を設立すべきものと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(山下貴司君)

お答えいたします。

まず、この新たな出入国在留管理庁や、あるいは法務省設置法におきまして、例えば特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることとされておるのですが、まさにその内閣の重要政策というのが外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策、これをしっかりと作ることであるということでございます。

それが先ほど御紹介のありました本年七月二十四日付けの閣議口頭了解ということでございますけれども、この閣議口頭了解に基づいて、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議、これが設置され、私と官房長官が議長を務めるということになっておりまして、ここにおいて、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の年内取りまとめに向けて作業を加速化させるということになっておるわけでございます。

そして、今回の設置法の改正によって新設される出入国在留管理庁においては、外国人の出入国及び在留の管理という、これはこれまでやってきたことではございますけれども、更に外国人の受入れ環境の整備に関する総合調整等に一体的かつ効率的に取り組んでいくこととなります。

法務省は、これは司令塔機能を仰せ付かっておるわけでございますけれども、それはやはり、これまで法務省というのはこの外国人の受入れ、共生の本当に基盤であります出入国管理、そして在留管理に携わっていたということ、そして人権擁護、これも持っていたということを踏まえてのことでありますが、こうした法務省の司令塔機能の下でこの関係閣僚会議ということをしっかりとやっていきたいと思っております。

別の組織につきましては、という御提言ではありますが、これは既に各府省庁が持っている権限を政府一丸となって受け入れ、そして共生のために活用することによって、地方公共団体とも協力しつつ、外国人の受入れ環境の整備を進めていくというのが適当ではなかろうかというふうに考えております。

糸数慶子君

今大臣の答弁ございましたけれども、実際には現場の対応としてはやはりかなりの問題があるということをあえて冒頭に申し上げたつもりでございますけれども、やはりそういう外国人の権利擁護、それから利便性の向上に関しては、共生や支援、言葉だけではなくて、実際にやっていただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

次に、人手不足分野を定めるこの基準についてでありますが、骨太の方針におきましては、新たな在留資格による外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材の確保のための取組、例えば女性、高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等を行ってもなお当該業種の存続、発展のために外国人材の受入れが必要と認められる業種において行うとされています。

他方、改正案では、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人による不足する人材の確保を図るべき産業上の分野、これ第二条の三第二項二号でありますが、特定産業分野として外国人労働者を受け入れることとして法務省令で定めることになっています。

特定産業分野の意味するところは、骨太の方針で言う業種と同じものなのか、違うものなのか、明らかにしていただきたい。

政府参考人(和田雅樹君)

御指摘のございました骨太の方針二〇一八に記載されました受入れが必要と認められる業種、これにつきましては、骨太の二〇一八の別の段落では、業種の特性を考慮した業種別の受入れ方針を決定するなどとも記載されているものでございます。この業種別受入れ方針につきましては、改正法案の中の言葉を使いますと、分野別運用方針となるわけでございます。

骨太の方針二〇一八に言う受入れが必要と認められる業種につきましては、これを改正法案に記載したものが人材の確保を図るべき産業上の分野と、このような言い方になるところでございます。

糸数慶子君

また、人手不足に関して、具体的にどのような要件を満たせば特定産業分野とされることになるのか、その具体的な判断基準について明らかにしていただきたいと思います。

客観的な指標を用いる場合、どのような指標を使い、どのような基準で決めることになるのでしょうか。

特定技能一号と特定技能二号の受入れ分野が異なり、特定技能一号は十四分野、特定技能二号は二分野になるとの報道がありますが、一号と二号の特定産業分野が異なることを容認する法令上の根拠は何なのか、お示しいただきたいと思います。

政府参考人(和田雅樹君)

お答え申し上げます。

改正法案で言います特定産業分野といいますのは、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいうところでございます。そして、これに該当するかどうかということにつきましては、生産性の向上ですとか国内人材確保のための取組及び人手不足の状況などを総合的に勘案した上で、できる限り客観的な指標を用いて判断されるべきものであると考えているところでございます。

それでは、そこでどのような指標を使うかでございますけれども、有効求人倍率でございますとか各業種における公的統計、業界団体を通じた所属機関への調査などが考えられるところでございますが、各業種の特性などを踏まえまして、関係省庁との協議を行い、適切に評価を行ってまいりたいと考えているところでございます。

そして、特定技能一号及び特定技能二号のいずれにつきましても特定産業分野において受入れを行うものでありまして、法律上、この分野には違いはございません。御指摘のように、特定技能一号は十四分野、特定技能二号は二分野という報道があることは承知をいたしておりますけれども、これはあくまでも、現時点において特定技能一号又は特定技能二号の活用を希望する意向が示されたものの数が、特定技能一号については十四分野、特定技能二号については二分野であるという、この意味でございまして、特定技能一号と特定技能二号の特定産業分野が法律上別のものになるというものではございません。

糸数慶子君

では、改めて伺いますが、それを容認する法令上の根拠、改めてお伺いします。

政府参考人(和田雅樹君)

容認しているわけではございませんで、特定産業分野というのは同じものでございます。特定産業分野は同じなんですが、その特定産業分野のもの全てが技能一号、二号がなるというわけではございません。その特定産業分野、つまり人手不足の分野の中でも、特にその業所管省庁等と協議をいたしまして希望されて人を入れるところというのが、実際に受入れを行う、分野別基本方針が作られる分野になるわけでございます。

糸数慶子君

よく分からないのですが、次に進みます。

まず、分野別運用方針のこの定義でありますが、十一月二十八日の参議院本会議の質疑におきまして、立憲民主党・民友会の石橋議員の代表質問に対する安倍内閣総理大臣の答弁に、受入れ分野については、本法案の成立後に定められる分野別運用方針に明記の上、省令で定めるものですがとありました。さらに、現在、業所管省庁において分野別運用方針に定めることとなる分野を検討中であり、どのような職種又は作業の範囲で実際に試験等が免除されることとなるかについても検討中とありました。

分野別運用方針を作成することになっていますが、その分野の意味するところは何を示すのでしょうか。また、全てが検討中ということですが、検討中ということが審議をしたと言えるのでしょうか、伺います。

国務大臣(山下貴司君)

これ、定義上、法案においては、分野別運用方針の分野については、これは改正法案の別表一の二の表、特定技能の項の下欄に規定しておりまして、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものというふうに定義しております。

これ、なぜ法務省令で定めるかということにつきまして、これは午前中にも若干御紹介したんですが、入管法というのは、入国、在留する外国人の動向や経済社会情勢の変化に対応するために、出入国管理、在留管理の仕組み、在留資格の種別や本邦において行われる活動については法律事項として定めているんですが、そうした先ほど言ったような外国人の動向や経済社会の情勢の変化に即応するために、在留資格に関する具体的な細部事項は臨機に対応が可能な法務省令等の下位法令に委ねているというところでございます。

そうしたことから、この分野につきましては、これは先ほど申し上げたように、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野というふうな認定は、これはやはり様々な情報に基づいて臨機に、様々な情報に基づいて判断がしなければならないということ、そして、外国人材の受入れというのは、もとより、生産性向上や国内人材確保のための取組を行うことが前提となっておりますが、その前提となる生産性向上や国内人材確保のための取組を行っていただくということであることにつきましては、業界ごとに異なる事情や時間の経過とともに変化する雇用情勢を踏まえて個別に検討していく必要があるということから、やはりこれはあらかじめ法律で定めるというよりは、これは省令などで定めるというのが適当であろうということで、このように省令事項としているわけでございます。

省令は、やはり法案ができて、そこから、授権をいただいてから定めるものでございますので、あっ、省令というか分野別基本方針ですね。これは関係閣僚会議で定めるものでございますが、その授権をいただいてから関係閣僚によって共同して定めることになっておりますので、そういう立て付けになっているということでございます。

糸数慶子君

いっぱいお答えいただきましたけれども、私は余りよく理解できないという状態です。どうしてこんなに急いでこの法案を成立させようとしているのか、理解できません。

日本語能力及び技能水準について、ではお伺いをしたいと思います。

技術水準を測るものとしては職種別の技能検定試験百三十職種が確立していますが、分野別の技能水準は、この技能検定試験によるのか、あるいは分野別に何らかの新たな試験方法をつくることになるのでしょうか。もし、分野別の新たな試験ならば、具体的にどのような評価基準、評価方法とするのでしょうか。また、具体的な試験の実施時期、それから実施場所、これは国内か国外か、実施機関、予算等についても明らかにしていただきたいと思います。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

今回の受入れ制度におきまして外国人材に求める技能水準は、受入れ分野ごとに業所管省庁が定める試験などによって確認されることとなります。

その具体的な試験でございますけれども、これは、業所管省庁におきまして、先ほど御指摘のございました既存の技能検定試験を使う場合もありましょうけれども、新たに試験を作成する場合もありましょうし、そこは適切な試験についてどのようなものを使うかということを現在検討されているものと考えているところでございます。その上で、試験の評価基準、評価方法、実施時期、実施場所、実施機関などの項目を含めまして、最終的に分野別運用方針の一項目として決定されることとなります。

なお、試験の場所でございますが、原則として国外において実施することといたしておりますけれども、例えば特定技能外国人材が入国、在留を認められた分野と別の分野に転職する場合でございますとか、あるいは留学生が特定技能に移行する場合など、既に中長期在留者として本邦に在留される人、こういう人が受験することも考えられますので、試験を国内で実施する場合もあるというふうに考えているところでございます。

糸数慶子君

次に、この日本語能力に関する試験としては、国際交流基金と日本国際教育支援協会が運営するもの、これを始め幾つかの代表的な試験が存在いたしますが、こうした日本語能力試験と今回提案されている分野別日本語能力試験とはどのような点で違うのでしょうか。

政府参考人(和田雅樹君)

骨太の方針二〇一八の中におきまして、日本語能力水準は、日本語能力試験などにより、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することが確認されることを基本としつつ、受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定める、こうされているところでございます。これを受けまして、業所管省庁におきまして、必要な日本語能力水準を測るために適切な試験を分野別運用方針に定め、実施することといたしております。

その具体的な試験につきましては、業所管省庁において、既存の日本語能力試験あるいはJ.TEST、各省庁あるいは民間団体が新たに作成する試験など適切な試験について検討しているところでございまして、いずれの試験においても必要な日本語能力水準が確認できるものと考えているところでございます。

糸数慶子君

分野別日本語能力試験はどのような機関が作成し、具体的にどのような評価基準、評価方法とするのか、また、具体的な試験の実施時期、実施場所、予算についても明らかにしてください。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

試験の評価基準でございますとか評価方法につきましても、業所管省庁において適切に検討されているものと考えているところでございます。

また、試験をいつどこで実施するかにつきましても、業所管省庁において検討し、分野別運用方針の一項目として決定されることとなります。

なお、試験は原則として国外において実施することとしておりますが、留学生の人が特定技能に移行する場合など、既に中長期在留者として本邦に在留する方が受験することも考えられますので、国内で実施する場合もあると考えているところでございます。

糸数慶子君

次に、受入れ停止及び再開措置の判断基準、そのことについて伺います。

特定産業分野において必要とされる人材が確保されたと認めるときは、特定産業分野を所管する関係行政機関の長は受入れ停止の措置をとることとされています。これは第七条の二第三項なんですが、その具体的な判断基準について伺います。

客観的な指標を用いる場合、どのような指標を使い、どのような基準で受入れ停止措置を決めることになるのでしょうか。また、受入れ再開の措置をとる場合、同条第五項にございますが、その具体的な判断基準についてお示しいただきたいと思います。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

本法案では、御指摘のとおり、不足する人材の確保を図るべきとされていた産業上の分野において必要とされる人材が確保された、こう認められるときには外国人の受入れを停止する仕組みを盛り込んでいるところでございます。

具体的には、その分野の業所管省庁大臣が、受入れの開始に当たり、人手不足の状況を判断するために使用した客観的な指標などについて、受入れ開始後もその動向を継続的に把握することにより、人手不足の状況の変化を的確に把握、検証することとします。これは分野ごとになされるわけでございますが、その上で、その分野において必要とされる人材が確保されたと認めるときは、法務大臣に対して受入れ停止の措置を求め、法務大臣が外国人の受入れを停止する措置をとることとなります。

また、具体的な判断基準等につきましては、法律に基づいて、法律成立後に策定する分野別運用方針において定めることとしているところでございますが、このことは受入れ再開の措置についても同様でございます。

糸数慶子君

技能実習から特定技能一号への移行について伺います。

法務省は、技能実習二号修了後に、一定の期間帰国することなく継続して特定技能一号として働くことを認めるとしていますが、技能実習制度の目的とされている技能移転という、この制度の趣旨との整合性が全く取れません。どう説明するのでしょうか。技能実習二号修了者には、移行時点で日本に在留する者だけでなく、過去に技能実習生として在留した者も含まれるのでしょうか。もし含まれる場合、何年前まで遡って可能と考えるのでしょうか、伺います。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

技能実習二号修了後に特定技能に移行し、就労目的で在留された方も、その後には我が国で培った技能などを本国に持ち帰り、必要な技能移転を行っていただくことになりますので、技能実習法の目的や理念とは整合が取れているものと考えているところでございます。

なお、技能実習二号修了者は特定技能一号の技能試験などを免除されることとなりますが、移行時点で我が国に在留する方だけではなく、基本的には過去に技能実習生として在留されていた方、こういった方も含まれることとすることと考えております。

糸数慶子君

もし含まれる場合は、何年前まで遡って可能でしょうか。

政府参考人(和田雅樹君)

特に年数に制限を設けているものではございません。

糸数慶子君

次に、悪質な紹介業者等の排除について伺います。

これは、十一月二十八日の参議院本会議の質疑において、仁比議員の代表質問に対する安倍総理大臣の答弁に、外国人材又はその親族が保証金等を徴収されている場合は、特定技能外国人としての受入れができないこと等を法務省令で定めることを検討しているとありますが、徴収されてしまってからでは未然にブローカーの搾取を防ぐということにはならないのではないでしょうか。

外国人労働者は様々な要因から権利の脆弱性を抱えており、容易に人権侵害の被害者となり得る存在です。現にこれまで、労働者の国際的な移動には常に搾取の構造が伴ってきました。技能実習制度においては送り出し機関の認定制や監理団体の許可制が取られていますが、手数料や事前研修費、渡航費等により技能実習生が多額の債務を負う状況が続いており、実質的な改善には結び付いていないのが現状であります。

これをどういった省令を作ることで未然に防げるとお考えでしょうか。どのような具体的かつ有効な防止策を実施する予定でしょうか、大臣に伺います。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

今回の受入れ制度におきましては、外国人材から保証金などを徴収する悪質なブローカーの介在を防止するため、外国人材又はその親族が保証金などを徴収されている場合は特定技能外国人としての受入れができないことなどを法務省令で定めることを検討しております。

その上で、在留資格認定証明書の交付申請時におきまして、あっせん機関などの介在がある場合は、特定技能外国人や受入れ機関が各あっせん機関等に支払う費用の額及び内訳を十分に理解して合意していること、こういったことを明らかにする書類などの提出を求めることを検討しておりまして、これらによりまして保証金の徴収をされていないことの確認を的確に行うほか、受入れ機関及び登録支援機関に対して保証金が徴収されている場合には受入れは認められないことを周知、指導を徹底することを検討しているところでございます。

また、悪質ブローカーに関する情報の共有を図っていくということが重要であり、技能実習制度における二国間取決めでございますとか、EPA協定に基づく受入れ枠組みなど、既存のチャンネルに加え、在京大使館を通じるなどして相手国政府と緊密な連携を図っていくことを考えております。

これらの方策によりまして、悪質なブローカーの介在防止に努めてまいりたいと考えているところでございます。

糸数慶子君

ただいまの答弁ではなかなか未然に防ぐことはできないのではないかと思います。

次に、転職の自由の実質的な保障について伺います。

法務省の説明資料では、入国、在留を認めた分野での転職可とされていますが、改正案では何ら触れていません。しかし、技能実習制度において転職の自由を認められないことが人権侵害を引き起こすことは大きな要因となっている、そのことを考えれば、転職の自由を保障することは外国人労働者を保護するためにも必要だと思います。

転職の自由を実際に保障するためには、外国人労働者が求人情報にアクセスしやすい環境を整えることが必要です。具体的には、公共職業安定機関により求人情報を収集するとともに、インターネットの活用なども考えられます。

転職の自由を実質的に保障するため、具体的にどのような対策を考えていらっしゃるのでしょうか。

政府参考人(和田雅樹君)

今回の制度で受け入れることとなります在留資格、特定技能の外国人は、入国、在留が認められた分野での転職を認めることとしております。御指摘のとおり、外国人が求人情報にアクセスしやすい環境を整えることは重要であると、こう考えているところでございます。

まず、本改正案におきましては、受入れ機関又は登録支援機関が主体となりまして、特定技能一号の外国人に対し、支援計画に基づく支援を適正に実施することを義務付けております。そして、その支援内容の一つとして、特定技能一号外国人からの相談に対応して、必要に応じてハローワークの紹介や求人情報の提供などの転職支援を行うことを予定しております。

そして、改正法案では、受入れ機関などからの届出を通じて支援の実施状況を的確に把握し、必要に応じて受入れ機関などに報告を求めたり、立入検査や改善命令を行うなどして、転職支援を含む支援の適正な実施を担保する仕組みを設けているところでございます。

特定技能の外国人に限らず、一般に、在留外国人につきましては、日本人と同様にハローワークの職業紹介事業を利用することができますが、全てのハローワークにおいて、十言語による職業相談に対応するため、通訳を交えて三者で通話を行う多言語コンタクトセンターを設置しているほか、全国多数のハローワークの相談窓口に通訳員を配置するなどの対応を行っていると承知しているところでございます。

なお、御指摘のとおり、外国人がインターネットを利用して求人情報を得ることはもとより自由ですが、受入れ機関などがその利用を不当に制限していることは、私生活上の自由の不当な制限として是正の対象になるものと考えているところでございます。

糸数慶子君

次に、家族の帯同について伺います。

改正案では特定技能一号には家族滞在を認めないこととしていますが、長期にわたり家族と離れて暮らすことは、外国人労働者本人ばかりでなく、その家族にも大きなマイナスの影響を与えることは言うまでもありません。特に、技能実習から特定技能に移行する者は、最長で十年間、家族と離れて暮らすことになります。こうした処遇は人道上も極めて問題であります。

したがって、在留資格と家族の帯同との関係を画一的に決めるのではなく、特定技能一号でも在留状況に問題がない者について、一定の在留期間を経ていれば家族の帯同を認めるということにしてはいかがでしょうか。特に、技能実習からの移行者は長期にわたり家族と離れているので、技能実習二号又は三号修了者については在留状況に問題がなければ家族の帯同を認めることとしてはどうでしょうか、御見解を伺います。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

技能ですとか技術・人文知識・国際業務など、いわゆる就労資格の外国人の家族に対して、現在、家族滞在の在留資格を付与しているところでございます。

この家族滞在の在留資格は、入管法上、日本に在留する者の扶養を受ける配偶者又は子に対する独立した在留資格でございまして、在留期間に上限のある技能実習や研修及び長期の滞在が想定されていない短期滞在の在留資格で滞在する者の家族は家族滞在の対象から除外されているところでございます。

これは、家族滞在の在留資格には扶養者に公の支援によらない十分な扶養能力を求めることによるものでございまして、また、子弟の教育など、その受入れに係る一定の社会的コストが掛かるところ、一定期間の後、確実に出国することが予定されている外国人について、その家族に係るコストも含めて、社会全体としてそのコストを負担することについてのコンセンサスが得られているとは認められないためでございます。

今回新たに創設する特定技能一号につきましても、原則一年ごとに更新を行い、上限を五年として帰国を前提とする在留資格でございまして、在留資格に上限のある前述の在留資格と同様に、その家族に対して家族滞在の在留資格を付与しないこととしているものでございます。

今回新たに受け入れる外国人を家族と併せて受け入れることにつきましては、社会的コストが掛かるものであることから、幅広い視点から国民的なコンセンサスを得る必要があると考えているところでございます。

また、人道的な配慮といたしまして、帰国休暇でございますとか、家族の呼び寄せなどを支援の一環として行うことも併せて検討しているところでございます。

糸数慶子君

次に、永住申請要件について伺います。

永住申請には、「原則として引き続き十年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き五年以上在留していることを要する。」ということが条件とされています。

法務省から提出されている案によれば、特定技能一号の在留資格で就労する五年間のその期間を永住申請に必要な就労資格五年の要件とはみなさないとしています。そうすると、技能実習から特定技能一号へ移行し十年在留しても、永住申請の要件は満たされないこととなります。

特定技能一号の在留資格で就労するこの五年の期間を永住申請に必要な就労資格要件とみなさない理由は何でしょうか、大臣に伺います。

国務大臣(山下貴司君)

永住許可につきましては、これは法律上、素行が善良であること、そして独立の生計を営むに足る資産又は技能を有すること、法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合すると認めることの三つの要件、これを全て満たす必要がございます。

そして、この三つの要件のうちの最後の国益要件ですね。これにつきまして、これの判断基準として永住許可に関するガイドラインが設けられており、これについて、「原則として引き続き十年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き五年以上在留していることを要する。」というふうにしているわけでございます。

まず、前提として、ガイドラインの要件を満たしたから自動的に永住が認められるわけではないということはお伝えしておかなければならないということでございます。ガイドラインは、あくまでも、永住許可要件の一つである国益要件、これを認定するための一つの基準でございまして、自動的に認めるものではないというのが一点。

もう一つは、この「就労資格又は居住資格をもって引き続き五年以上在留していることを要する。」という要件でございますが、この趣旨は、永住許可を与えるに当たって、更新というのもあり得るわけでございますけれども、安定した就労資格又は居住資格の在留資格によって五年を超えて継続して在留した実績を求めているということでございます。

これに照らせば、特定技能一号というのは、在留資格はもう五年ということで限られているわけでございます。そうなると、何らかの在留資格に変更しない限りは、在留許可に関するガイドラインに言う安定した就労資格又は居住資格を持って引き続き五年以上在留しているという、そういった継続的な在留が認められないことから、これらのガイドラインただし書に言う就労資格ということにその趣旨から合致しないのではないかというふうに考えておりまして、そこにつきましては、ガイドラインただし書に言う就労資格には含めず、永住を許可しないという方向で検討しているところでございます。

糸数慶子君

次に、雇用契約、報酬額について伺います。

特定技能雇用契約は、法務省令で定める基準に適合するものでなければならない、これは第二条の五第一項とされておりますけど、法務省令で定める基準としてどのようなことが想定されているのでしょうか。

特に、報酬額については差別的取扱いをしてはならない、これ、同条二項としておりますが、技能実習制度では、従来から日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上とされてきたわけですが、実際には最低賃金レベルに張り付いており、同等報酬は実現できていない状況です。より客観的で数値で示される基準としなければ実効性は担保できないと考えますが、具体的にどのような基準を定めることが検討されているのでしょうか、伺います。

政府参考人(和田雅樹君)

お答えいたします。

今回の受入れ制度につきましては、法律におきまして、外国人であることを理由として報酬等に関して差別的な取扱いをしてはならない、このように規定しております。さらに、これを受けます法務省令におきまして、日本人と同等額以上の報酬とすること、これを規定することを予定しているものでございます。

この同等報酬基準につきましては、入国前の在留資格認定証明書の交付申請及び入国後の在留期間更新許可申請などに係る審査におきまして、受入れ機関に対して、一定の専門性を有する特定技能外国人の報酬の額が同等の業務に従事する日本人と同等額以上であることを示すための書面の提出を求めることを予定しております。

また、今回の受入れ制度におきましては、所属機関に求める届出事項を拡充しておりまして、所属機関に特定技能外国人に対する報酬の支払状況の定期的な届出を義務付けることとし、この届出による情報を活用して報酬の同等性が維持されていることを確認する、このようにしているところでございます。そして、報酬の同等性が維持されていないと認めた場合には、所属機関に対する指導、助言を行うほか、必要に応じて立入検査や改善命令を行うことを予定しております。

これらの方策によりまして、同等報酬基準の実効性を確保していきたいと考えているところでございます。

糸数慶子君

時間が参りましたので終わりたいと思います。

通告したのは、またいずれの質問に回したいと思います。

ありがとうございました。